第31話:初陣
師匠につれられてきた
魔王城の前、開けた荒野。
「――全員、来い」
魔王の声が響いた瞬間、地面に無数の魔法陣が浮かび上がった。
「な、なに……!?」
きあが、足元の光に目を見開く。
「エナガさん! あけびさん!」
叫んだ次の瞬間、師匠、エナガ、あけび、ルートの姿が、光の中に吸い込まれるように消えていった。
「――!!」
「みんな……!」
残されたのは、ようた、きあ、スター、そしてファードの姿をした偽物。
「……これは、まずいね」
スターが、周囲を見渡しながら呟く。地の底から、無数の魔王軍の兵士が這い出てくる。
「わ、わわわ……! どうしよう……!」
きあが、思わず後退る。
「大丈夫」
スターが、静かに前に出た。
「俺が見える範囲は、そんなに悪くない。……ちゃんと連携すれば、抜けられる」
「見える範囲って……」
「先読みだよ。細かいことはいいから、俺の指示に従って」
いつもの飄々とした調子から、少しだけ引き締まった声に変わる。
「ようた、お前は防御を頼む。氷で足止めしてくれ」
「は、はい……!」
ようたが、震えながらも前に出る。
「――ふぶき」
小さな吹雪が、迫りくる兵士たちの足元を凍らせていく。
「効いてる……! やった……!」
「油断するな。まだ数は多い」
スターの声に、ようたが表情を引き締める。
「きあは、俺とようたの援護。回復と、隙を見て幻惑を」
「わ、分かった!」
きあが、深呼吸してから、両手を掲げる。
「――パール・チャージ」
淡いピンクの光が広がり、近くの兵士たちの動きが鈍る。
「今だ!」
スターが飛び出し、「ドューラ・レヘス」と唱える。放たれたサイコパワーが、兵士たちを一気に薙ぎ払った。
「や、やった……!」
「まだだ。次、来るぞ」
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一方、少し離れた場所で、ファードの姿をした偽物は、静かに戦況を見つめていた。
「……」
戦いには参加せず、ただ、じっとその場に立ち尽くしている。
「ファード! こっちも手伝って!」
きあが叫ぶが、返事はない。
「……ファード?」
その体が、ふっと、揺らいだ。
「な……」
きあの目の前で、ファードの輪郭が、風のように解けていく。
「……! やっぱり!」
きあの叫びに、スターとようたが振り返る。
「な、なに、今の……!」
「ファードが……! 消えた……!」
三人は、呆然と、ファードが立っていたはずの場所を見つめた。
風だけが、そこを静かに吹き抜けていった。
だが、驚いている暇はなかった。
「――まだ終わってないぞ!」
スターの声に、二人は我に返る。押し寄せる兵士たちの群れは、まだ終わりが見えなかった。
三人は、互いに背を預け合いながら、初めての本格的な戦いに、必死で食らいついていった。
ノシ




