↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/79

第26話:賑やかな食卓



家に帰ってきた一行は、久しぶりに全員で食卓を囲んでいた。あけびが腕によりをかけて作った料理が、所狭しとテーブルに並んでいる。


「わあああ!! すごい量!!」


きあが、目を輝かせながら料理を覗き込む。


「あけびさんが作ってくれたんですよね! すごい……!」


ようたも、おずおずとテーブルに近づく。


「よ、よそってもいいですか……?」


「もちろん! いっぱい食べて!」


あけびが、ようたの皿に大盛りでよそう。


「わ、こんなに……!」


「足りなかったらまだあるから、遠慮しないでね」


ようたの目が、じんわりと潤む。


「……ありがとうございます」


「なんでそこで泣きそうになるのよ」


エナガが、呆れたように笑いながらツッコむ。


一方、テーブルの端では、きあがルートの隣にぴったりとくっついていた。


「チアさん、これ食べます? はい、あーん」


「い、いい、自分で食べる」


「えー、遠慮しないでよ〜」


「遠慮してるわけじゃない」


じたばたと抵抗するルートを見て、あけびとエナガが顔を見合わせて笑う。


「なんか、賑やかになったわね」


「うん! こういうの、良いよね!」


スターは、少し離れた場所で、静かに料理をつつきながら、その様子を眺めていた。


「……お前は、こっち来ないの?」


エナガが尋ねると、スターは肩をすくめる。


「別に。ここからでも十分見えるし」


「変な子ね」


「褒め言葉として受け取っておくよ」


そこへ、師匠が、豪快に椅子に腰を下ろす。


「さーて、みんな揃ったところで、乾杯といくか」


「乾杯って、お茶でだけどね」


「細かいことはいいんだ、うへへ」


師匠がコップを掲げると、全員がそれに続いた。


「かんぱーい!!」


賑やかな声が、食卓に響く。


「……」


その様子を眺めながら、ルートだけが、少しだけ複雑な表情を浮かべていた。


「……ルート? どうしたの」


あけびが、そっと声をかける。


「……いや。なんでもない」


ルートは、それ以上何も言わず、ただ静かに、賑やかな食卓を見つめていた。


彼だけが知っている記憶――誰にもまだ言えていない、あの砦で見たもの――を胸の奥にしまい込んだまま。


「チアさん、あーんって言ってるのに!」


「うるさい、後にしろ」


「えー!」


そんなやり取りに、また笑い声が上がる。


賑やかな夜は、まだ、始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。