第25話:新しい仲間
石を取り戻した一行は、拠点を後にし、帰路についていた。ファードは相変わらず、あけびの隣にぴったりとくっついている。
「あけびさん、次はいつ一緒に戦えますか!?」
「え、いや、まだ弟子とか言ってないよね……?」
そんなやり取りをしながら、一行が街道沿いの村に差し掛かった時だった。
「――あ」
師匠が、ふと足を止めた。道の端、木陰にうずくまるように、一人の少年が座り込んでいる。ふわふわとした、もふもふの髪。淡いベージュとラベンダーの服。
「大丈夫か、お前」
師匠が声をかけると、少年はびくっと肩を震わせた。
「ひゃ……! す、すみません、邪魔でしたよね、どきます……」
「いや、そうじゃなくて。具合悪そうだったから」
「あ……その、色々気を遣いすぎて、ちょっと疲れちゃって……」
少年は、消え入りそうな声で言う。
「何やってたんだ?」
「村の人たちの荷物運びとか、井戸の修理とか、頼まれごと、色々……。でも、全部中途半端で、結局あんまり役に立ててなくて……」
師匠は、少年をまじまじと見つめた。
「……お前、魔力使えるか?」
「え? はい、少しは……氷とか、水とか、風とか……でも、どれも大したことなくて……」
「ほう」
師匠の目が、わずかに光った。
「何でも少しずつできる、ね。……面白い」
「え……?」
「お前、名前は」
「よ、ようた、です」
「ようた。私について来るか? じっくり、時間かけて磨いてやる」
ようたが、ぽかんと師匠を見上げる。
「……ぼ、僕なんかで、いいんですか……?」
「いいも何も、お前は原石だよ。まだ誰も、ちゃんと磨いてやってないだけだ」
その一言に、ようたの目に、みるみる涙が浮かんだ。
「……っ、はい……! お願いします……!」
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村の広場に差し掛かると、今度は別の声が響いた。
「わあああ!! すごい人たち発見!!」
小柄な少女が、興味津々な様子で駆け寄ってくる。ハート型のアホ毛に、大きなリボン。
「ねえねえ、あなたたち、魔法使いさん!? 強そう!!」
「あ、ああ……」
ルートが、少し戸惑った様子で答える。
少女は、ルートの顔をまじまじと見つめた。
「……あ! あなた、すっごく強そうな魔力してる! 名前は!?」
「……チア・ルートだが」
「チアさん!! わたし、きあ!! ねえねえ、わたしも強くなりたいの! 弟子にして!!」
「は……?」
「お願い!! わたし、頭は良い方だと思うの! きっと役に立つから!!」
いきなり距離を詰めてくるきあに、ルートが一歩後退る。
「いや、俺は、弟子を取るような柄じゃ……」
「えー! いいじゃん! ね、ね!」
きあが、ルートの腕にぎゅっとしがみつく。
「な、離れろ!」
その様子を見ていたエナガが、ぷっと吹き出した。
「あんた、すごい懐かれてるじゃない」
「他人事だと思って……!」
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一行が、村を出て少し進んだところで、今度は空を見上げていたエナガが、ふと足を止めた。
「……?」
夜空に、一筋の流れ星が落ちていく。その軌跡を追うように、目を細める。
「――お前、そこにいるんだろ」
エナガの言葉に、木の上から、ひょいと一人の少年が飛び降りてきた。紺と黒の帽子、大きな☆の意匠。落ち着いた、それでいてどこか楽しそうな表情。
「バレてたか。さすがだね」
「気配、丸わかりだったわよ。……何の用?」
「ん、別に。ちょっと、面白そうな魔力の持ち主がいるって聞いてさ。会いに来た」
少年は、飄々とした様子でエナガを見つめる。
「……お前、名前は」
「スター。よろしく」
「スター、ね」
エナガは、少しの間、値踏みするように少年を見つめた。
「……面白い子ね。ついてきなさいよ」
「言われなくても、そのつもりだったよ」
スターは、余裕の笑みを浮かべたまま、静かに一行の後ろについていった。
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こうして、一行に、新たな三つの顔が加わることになった。
「なんか、一気に賑やかになったね……」
あけびが、増えた顔ぶれを見渡しながら呟く。
「これから忙しくなりそうね」
エナガも、苦笑しながら空を見上げた。
まだ知らない戦いが、静かに、その先で待ち構えていることも知らずに。
ノシ




