第18話:分け合う力
奪還の依頼を受けた三人は、その日のうちに情報を集めるため、宿の一室に集まっていた。
「で、どうやって取り返すのよ。相手、姿すら見せなかったのよ」
「正面から追っても、また同じように逃げられるだけだろうな」
ルートが腕を組み、考え込む。
「もっと根本的に、力が足りてない。今のままじゃ、追いついても捕まえられない」
「じゃあどうすんの」
重い沈黙が流れる。あけびが、居心地悪そうに視線を泳がせた。
「……あのさ」
ルートが、ぽつりと切り出した。
「実は、ずっと言ってなかったことがある」
「……?」
ルートは懐から、小さな布包みを取り出す。開くと、中にはうっすらと光る、小さな欠片があった。
「これ……」
「石の欠片だ。デラードフォームになれる、あの石の」
「なっ……! あんた、なんでそんなもの持ってんのよ!」
「以前の任務の報酬として、貰った。……正直、ずっと使い道に迷ってた」
エナガが、驚いた顔でルートを見る。
「じゃあ、それを使えば……」
「ああ。俺一人で使えば、単独でならもう少し戦力になれる。……だが」
ルートは、その欠片をじっと見つめた。
「これを俺一人のために使うのは、もう違う気がする」
「え……」
「割って、三人で分ける」
「……本気で言ってる?」
「本気だ」
ルートは、迷いのない目でエナガとあけびを見た。
「一人で強くなったところで、あの時みたいに、また何もできずに終わる。それより……」
一瞬、言葉に詰まる。
「それより、お前らと一緒に戦った方が、確実だと思っただけだ」
あけびが、目を丸くする。
「ルート……」
「な、なんだよその顔」
「いや、なんか、ちょっと感動しちゃって……」
「うるさい、茶化すな」
エナガが、ふっと笑った。
「……ありがと。じゃあ、遠慮なく貰うわ」
「ああ」
ルートは石の欠片を、そっと机に置いた。
「均等に分ける。……いや」
少し考えて、付け加える。
「あけびは前衛で一番危険を背負う。多めに渡す。俺は……この際、少なくていい」
「え、いいの?」
「いい。俺は、技巧で補う」
こうして、欠片は三つに割られた。あけびに多く、エナガに標準、ルートに少なく。
小さな光の粒が、それぞれの手のひらに吸い込まれていく。
「……なんか、あったかい」
「これが、私たちの力になるのね」
三人の間に、これまでとは違う、静かな連帯感が生まれていた。
「よし」
ルートが、立ち上がる。
「奪還に行くぞ。今度こそ、逃さない」
ノシ




