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信じていた仲間に処分された俺、禁忌スキル《奪還の王》で最強になる ~奪われた力も居場所も、今度は全部取り戻す~  作者: 夜天 颯
第三章 帰る者

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58.最後の門


 移動路の出口に近づいたところで、白い扉のような構造が見えた。

 両開きに見えるが、完全に閉じている。表面には青い線が走り、中央には円形の認証盤のようなものが埋め込まれていた。


「……門、か」

『上層接続封鎖機構と推定します』

「推定じゃなくて当たりだろ、これ」


 奏真が認証盤へ近づこうとした、その瞬間だった。


 扉の左右に立っていた柱が、同時に音を立てた。


 ひび。

 崩れ。

 そして内側から現れる人型。


「またかよ!」


 現れたのは、白い装甲をまとった門番みたいな守護体だった。

 今までより細い。だが、その分だけ動きが速そうに見える。しかも二体。


 アリシスが即座に反応する。


 門番守護体。二体。

 危険度:高。

 連携傾向あり。

 一体は近接、一体は遠隔補助。


「面倒だな……!」


 右の個体が前へ出る。近接型。

 左は後方で腕を広げ、青い光の輪を作り始めた。遠隔補助だ。


 まずい。

 二体連携されると厄介すぎる。


「ノア、後ろの補助型を止められるか!」

『試行します!』

「セレス、援護は無理するな!」

「でも、やる!」


 近接型が突っこんでくる。


 速い。

 前の守護体より細いぶん、直線の踏み込みが鋭い。


 奏真は横へ流し、武器を振るう。

 だが浅い。外装はやはり硬い。


 その瞬間、後方の補助型が青い輪を放った。

 近接型の体へその輪が重なり、速度が一段上がる。


「おいおい……!」


 次の一撃が速すぎる。

 受けたらまずい。奏真は柱の陰へ飛び込んだ。


『後方個体の支援機能、確認』

 ノアの光弾が補助型へ飛ぶ。だが、相手も小さい障壁を張って受け流す。


「セレス!」

「うん!」


 セレスの放った淡い光が、補助型の足元へ広がった。

 大きなダメージじゃない。けれど輪の展開が一瞬遅れる。


 それで十分だった。


 アリシスが走る。


 補助型の発動前硬直:二秒弱。

 近接型単独時、右肩接続部に弱点。


「右肩!」


 奏真は柱を蹴って飛び出す。


 近接型が振り向く。

 刃が来る。だが、今はその前より“発動後の戻り”が見えていた。


 踏み込み。

 刃の振り抜き。

 戻りのわずかな遅れ。


 そこへ武器を叩き込む。


 右肩接続部。

 白い装甲がきしみ、青い光がにじんだ。


「よし!」


 だが、倒しきれない。

 すぐに補助型の輪が再展開される。


『補助の再接続を確認』

「面倒すぎるだろ……!」


 なら、先に補助型を落とすしかない。


「ノア、セレス! 一瞬でいい、近接型止めろ!」

『了解』

「やる!」


 ノアの光弾。

 セレスの細い凍結光。

 その二つが重なり、近接型の脚をほんの一瞬だけ止める。


 その間に奏真は反転し、後方の補助型へ走った。


 補助型は防御輪を展開する。

 だが、今度はその流れが見える。


 輪の中心。

 補助出力の基点。

 そこへ《奪還の王》で返せる。


「……ずらせ!」


 武器を防御輪へ突き入れる。

 青い輪がぶれ、外へ広がるべき力が内へ返る。


 補助型の体が一瞬だけ沈む。


「今だ!」


 その中心へ、もう一撃。


 青い光が割れ、補助型が床へ落ちる。

 動きが止まった。


『一体停止確認!』

「残り一体!」


 近接型が怒ったみたいに踏み込んでくる。

 でももう補助はない。


 速いが、見える。

 右肩は傷ついた。そこへ力が集まりきっていない。


 奏真は正面からではなく、半歩ずれて内側へ入る。


 刃が頬をかすめる。

 熱い。だが浅い。


 そのまま密着するくらいまで近づき、右肩の割れ目へ突き込む。


 《奪還の王》が脈打つ。


 外装に回っていた防御が止まる。

 白い装甲が濁る。


 最後に、胸部中核へ刃を押し込んだ。


 守護体の青い目が揺れ、体が大きくのけぞる。

 そのまま片膝をつき、静かに崩れ落ちた。


 終わった。


「……っ、はぁ」


 大きく息を吐く。


 疲れた。

 でも、勝った。


『門番守護体、両方停止確認』

 ノアが言う。


 セレスも少し息を切らしながら近づいてくる。


「大丈夫?」

「何とかな」

「顔、少し切れてる」

「浅い」

『浅いですが放置は非推しょうです』

「お前、ほんと細かいな」

『必要です』


 奏真は苦笑しつつ、最後の門へ向き直る。


 認証盤はまだ青く光っていた。

 守護体が沈黙した今、そこにあるのはもう“最後の扉”そのものだけだ。


「……開けるぞ」

『はい』

「うん」


 奏真は認証盤へ手を置いた。


 《奪還の王》が反応する。

 扉の中に流れる閉鎖の線。制限の輪。地上へ出るための最後のしばり。


 見る。

 返す。

 そして、開く。


 青い光が扉いっぱいに広がった。


 重い音とともに、白い門がゆっくり開き始める。


 その向こうから、今までにない風が流れ込んできた。


 乾いていて、少しあたたかい。


 奈落の奥にいた時とは、まるで違う風だった。


「……もうすぐだ」


 奏真の声は、自分でも少しだけ震えていた。

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