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信じていた仲間に処分された俺、禁忌スキル《奪還の王》で最強になる ~奪われた力も居場所も、今度は全部取り戻す~  作者: 夜天 颯
第三章 帰る者

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53. 深部の前で

深部制御核の手前にあったのは、思っていたより静かな区画だった。


 広い。

 けれど空っぽじゃない。


 白い柱が何本も立っていて、その間を細い青い線が走っている。床も壁も傷だらけだが、完全に崩れてはいない。何かを守るための前室みたいな場所だった。


 そして、その静けさが逆に不気味だった。


「……嫌な感じするな」

 奏真が言う。

『同意します』

 ノアも短く返す。


 アリシスが反応する。


 前方、単独高反応。

 危険度:高。

 起動待機状態。


「起動待機?」

『侵入者に反応して動く防衛個体の可能性があります』


 言い終わるより先に、広間の中央に立つ白い柱の一本がひび割れた。


 いや、柱じゃない。


 ゆっくりと形が変わる。

 白い外装がずれ、その内側から人型の影が現れる。前に戦った守護体に似ているが、こっちは一回り大きい。肩から背中にかけて、刃みたいな板が何枚も重なっていた。


『深部守護体、確認』


 ノアの声と同時に、守護体の目の位置に青い光がともる。


 次の瞬間、空気が重くなった。


「来る!」


 守護体が地面を滑るみたいに突っこんでくる。

 速い。前の個体より明らかに上だ。


 奏真は横へ跳ぶ。

 守護体の刃が床を裂き、白い欠片が飛び散る。


 アリシスが走る。


 深部守護体。危険度:高。

 外装高硬度。

 関節部防御強化。

 中核は胸部後方寄り。

 正面突破、非推しょう。


「後ろか!」


 正面からじゃ届かない。

 しかも関節まで強化されている。


 守護体が次の一撃を放つ。

 腕ではなく、背中の刃板が扇みたいに開いて、青い光の刃を飛ばしてきた。


「っ!」


 奏真は柱の陰へ飛びこむ。

 刃が柱に当たり、白い表面を削った。


 重いだけじゃない。遠距離まである。面倒なんてもんじゃない。


『背部展開時、中核露出率上昇』


 ノアが即座に言う。


「でも後ろ取れないと意味ないだろ!」

『補助します』


 ノアの光弾が守護体の正面へ飛ぶ。守護体はそれを腕で払う。ダメージは浅い。けれど、その瞬間だけ視線がぶれた。


 セレスも遅れて小さな光を放つ。

 今度は守護体の足元が一瞬だけ凍りつくみたいに鈍った。


「助かる!」


 その隙に奏真は柱を蹴って横へ回り込む。


 正面からじゃなく、斜め後ろ。

 そこへ行きたい。


 守護体が気づいて振り向く。

 速い。だが、前より見えている。


 肩の動き。

 背中の刃板が開く前のわずかな収縮。

 そこまで見える。


 来る。


 奏真は一気に懐へ入りこむ。


 刃板が開く。

 青い光が走る。

 でもその瞬間だけ、背中の中心が露出した。


 アリシスが示す。


 中核直結流路、露出。


「そこ!」


 武器を叩き込む。

 けれど浅い。白い装甲がきしむだけで、中までは届かない。


「硬っ……!」

『二撃目推しょう!』


 ノアの声に、奏真は歯を食いしばる。


 一撃では足りない。

 でも、次の動きが来る前なら――。


 胸の奥の《奪還の王》が脈打つ。


 ただ斬るんじゃない。

 ここを流れている防御を、ずらす。返す。


 武器を押し込んだまま、熱を流す。


 守護体の背中の線が一瞬だけぶれた。

 白い外装の一部から、青い光が漏れる。


「今だ、セレス!」

「うん!」


 セレスの放った光が、そのひびへ正確に刺さる。

 守護体の体が大きく揺れた。


『流路乱れ確認!』

 ノアの光弾も重なる。


 奏真は最後に、ぐっと踏み込んだ。


 白い装甲を割り、青い中核へ届く。


 守護体の全身がびくっと跳ね、そのまま膝を折るように崩れた。


 沈黙。


 奏真はしばらく武器を抜けなかった。

 息が上がる。腕が震える。けれど、勝ったのはわかる。


「……三人で、倒したな」


 その言葉に、ノアがうなずく。


『連携戦闘としては高評価です』

「お前に評価されるとちょっとむずがゆいな」

『改善努力中です』

「そこじゃねえよ」


 セレスが少しだけ息をはずませながら近づいてくる。


「今の、ちゃんと合わせられた」

「ああ。お前の一撃、助かった」

「奏真が崩したから」

「ノアもだろ」

『事実です』

「そこで謙遜はしないんだな」

『不要です』


 奏真は苦笑して、崩れた守護体の奥を見る。


 その先に、さらに深い青い光があった。

 制御核は、もう目の前だ。

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