第81話 金本位の挑戦
レオン・アルタイルが金貨を机に置いた瞬間、
議場の空気は明らかに変わった。
重い音。
それはただの金属の音ではない。
価値の音だった。
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「信用は壊れる」
レオンは静かに言う。
「だが金は壊れない」
マルクが眉をひそめる。
「金は増えない」
レオンは笑った。
「そう」
「だから価値が保たれる」
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リゼットが腕を組む。
「金は経済を縛る」
「信用は経済を動かす」
レオンは頷いた。
「その通り」
「だから私は信用を否定しない」
沈黙。
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「だが信用は信用を必要とする」
彼は続ける。
「それが弱点だ」
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レオンは港を指す。
外では船が動いている。
外洋帝国の船。
分散連合の船。
砂漠国家の船。
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「商人は単純だ」
レオンは言う。
「信じられるものを使う」
彼は金貨を指で回す。
「信用」
もう一枚の金貨を出す。
「金」
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「どちらを使うかは」
彼は微笑む。
「市場が決める」
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ユーリが小さく言う。
「競争ですか」
「もちろん」
レオンは頷く。
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「私は金本位の通貨を発行する」
ざわめき。
「完全担保?」
リゼットが聞く。
「完全だ」
レオンは答える。
「一枚の通貨に一枚の金」
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マルクが言う。
「それでは経済は広がらない」
「その通り」
レオンは笑う。
「だから信用が勝つかもしれない」
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沈黙。
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アーネストが初めて口を開く。
「あなたは信用を壊しに来たのか」
レオンは首を振る。
「違う」
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「信用が本当に強いなら」
彼は言う。
「金に勝つ」
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その言葉は
挑戦だった。
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外洋帝国の使節席。
カタリナが静かに呟く。
「面白い」
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外洋帝国は
軍事保証。
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分散連合は
信用分散。
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砂漠国家は
金本位。
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そして遠くの王都では
国家通貨がまだ動いている。
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世界には今、
四つの通貨が存在していた。
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金。
信用。
国家。
軍事。
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港では商人たちが噂している。
「金は安全だ」
「信用は便利だ」
「保証は安心だ」
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市場は選び始める。
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アーネストは金貨を手に取る。
冷たい。
重い。
単純だ。
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信用証は軽い。
柔らかい。
だが複雑だ。
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レオンは言う。
「さあ」
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「世界市場を始めよう」
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その瞬間、
港の鐘が鳴った。
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新しい取引開始。
新しい秩序。
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分散連合の戦いは
まだ終わっていなかった。
むしろ
ここから始まる。
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