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断罪された悪役令嬢ですが、帳簿を燃やした王都が先に滅びそうです 〜追放先の辺境で実務改革を始めたら、国家より信用が強くなりました〜  作者: 篠宮しずく


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第77話 撤退の条件

外洋帝国の使節館は、港を見下ろす丘の上にあった。


夜の灯が水面に揺れている。


カタリナ・グレイヴは窓辺に立ち、

港を眺めていた。


背後で扉が閉まる音。


エリオットが入ってくる。


「結果は?」


「僅差で可決」


カタリナは振り向かずに答えた。


「再設計案です」


沈黙。


エリオットは静かに頷く。


「中央には戻らなかったか」


「ええ」


「愚かだと思うか?」


カタリナは少し考えた。


「効率だけで言えば、はい」


「だが?」


「彼らは選んだ」


カタリナは続ける。


「中央を拒否する自由を」


エリオットは笑った。


「それが分散だ」


彼は窓の外を見る。


港では、連合の船と外洋の船が混じって停泊している。


まだ戦争ではない。


まだ競争だ。


「撤退する」


カタリナが振り向く。


「完全に?」


「いいや」


エリオットは言う。


「市場はまだ決めていない」


「ただ――」


彼は指で窓の外を示す。


「今は押す時ではない」


沈黙。


「理由は?」


カタリナが聞く。


エリオットは答える。


「中央は、反発を生む」


「今の彼らは、まだ中央を恐れている」


「ならば?」


「時間を与える」


彼は静かに言う。


「分散は、時間とともに自ら重くなる」


「その時、中央は自然に呼ばれる」


カタリナは少し眉をひそめる。


「あなたは彼らを侮っている」


「いいや」


エリオットは首を振る。


「むしろ尊敬している」


「だから急がない」


彼は机に手を置く。


「そして」


少し笑った。


「面白い」


カタリナも小さく笑う。


「父上はいつもそう言います」


「市場が面白くなった時に」


エリオットは頷く。


「市場が退屈な時は、中央が勝っている」


「今は違う」


彼は外套を取る。


「我々は撤退する」


「だが港は残す」


「監査官も残す」


カタリナが言う。


「つまり」


「観察だ」


エリオットは答えた。


「分散が本当に持つのか」


「見届ける」


外洋帝国は動かない。


だが去らない。


それが一番厄介だった。


港の灯が揺れる。


分散連合は中央を拒んだ。


だが世界はまだ、


どちらが正しいか決めていない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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