第67話 暴落前夜
山岳独自信用証は、三日で半値になった。
保証はない。
外洋制裁は続く。
連合は公式保証を出さない。
市場は正直だ。
「危険だ」
「担保は十分か?」
「流動性が足りない」
売りが売りを呼ぶ。
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若手商人団の会議。
「価格が止まりません」
「再接続網はまだ準備段階だ」
「時間がない」
マルクが静かに言う。
「保証に戻るか」
沈黙。
保証は重い。
だが安心だ。
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分散連合本部。
幹部が言う。
「見たか。分散は持たない」
「今からでも山岳を切れ」
アーネストは首を振る。
「今切れば、二度と戻らない」
「戻らなくていい」
冷たい声。
「連合は巨大であるべきだ」
彼は気づく。
中央は外洋だけではない。
内部にもある。
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夜。
再接続網の試験運用が始まる。
・三地域が相互担保契約
・小規模流動性プール開設
・限定決済ルート再開
中央保証なし。
市場は半信半疑。
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翌朝。
山岳信用証がさらに下落。
一時停止寸前。
「止めますか?」
補佐官が問う。
停止すれば暴落は止まる。
だが市場への“介入”になる。
中央になる。
アーネストは、拳を握る。
「止めない」
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正午。
最初の再接続決済が通る。
山岳 → 平原団体 → 沿岸小規模港
小さな取引。
だが実体が動く。
市場は、それを見る。
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午後。
価格下落が止まる。
反発は弱い。
だが売りが止まる。
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外洋帝国。
エリオットが静かに言う。
「面白い」
「保証なしで耐えるか」
彼は命じる。
「情報戦を強化せよ」
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夕刻。
市場に噂が流れる。
「再接続網は資金不足」
「内部担保が重複している」
真偽不明。
売りが再び増える。
分散は、耐久戦に入る。
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深夜。
アーネストは帳簿を見つめる。
数字はまだ弱い。
だが、崩れてはいない。
中央は速い。
分散は遅い。
だが遅いものは、
粘る。
彼は呟く。
「勝たなくていい」
「持てばいい」
雪が静かに降り積もる。
暴落は止まっていない。
だが崩壊もしていない。
分散は、初めて本気で戦っている。
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