第58話 国家の再設計
王都からの書簡は、短かった。
【王国財務改革案 公開討議への招待】
ユーリが目を上げる。
「……王都が?」
「ええ」
私は封を閉じる。
「遅いですね」
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王城・議場。
アルベルト王太子は、壇上に立っていた。
「王都は、中心であり続けようとした」
ざわめき。
「だが市場は、中心を選ばなかった」
静まり返る。
「ならば我々は、選ばれる国家になる」
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提案は、簡潔だった。
・歳入歳出の定期公開
・国債発行の用途明示
・外部監査導入
・地方財政の分権化
議場がざわつく。
「それは国家の弱体化だ」
「権威が落ちる」
アルベルトは、静かに言う。
「隠す国家の方が、弱い」
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中央銀行。
ダミアンは、資料を見ていた。
「……透明性改革か」
側近が問う。
「信用圏への対抗ですか」
「違う」
彼は、ゆっくりと答える。
「適応だ」
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辺境伯領。
ユーリが報告する。
「王都が歳入を公開しました」
「ええ」
私は微笑む。
「ようやくです」
「敵でした」
「違います」
私は首を振る。
「同じ市場の参加者です」
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ヴァルハイム。
エレナが呟く。
「国家が透明になる」
ソフィアが頷く。
「利回りは下がるでしょう」
「分散は?」
「進む」
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市場。
王都国債の利回りが、わずかに低下。
「用途が明示された」
「監査あり」
信用は、戻る。
だが以前のようには戻らない。
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夜。
私は、王都改革案を読み返す。
中央は、消えていない。
だが変わった。
中央が、分散を学んだ。
ユーリが静かに言う。
「……終わりでしょうか」
私は、窓の外を見る。
南東は立ち直りつつある。
王都は改革を始めた。
信用圏は中央にならなかった。
「終わりではありません」
私は答える。
「均衡です」
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風が静かに吹く。
国家は残る。
信用も残る。
だがどちらも、
唯一ではない。
中央は一つではなくなった。
そして世界は、
少しだけ成熟した。
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