第43話 金準備高
発表は、正午だった。
【王都中央銀行声明】
【金準備高の一部公開および通貨防衛措置について】
市場は、ざわめく。
「金準備を増強?」
「防衛資金投入?」
王都通貨の買い支えが始まった。
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中央銀行。
「市場へ金を放出します」
側近が言う。
ダミアンは頷いた。
「信用は心理だ」
「心理には、象徴が効く」
「金は象徴ですか」
「最後の象徴だ」
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市場。
王都通貨の値が、わずかに戻る。
「……持ち直している」
商人が呟く。
「金があるなら、大丈夫か」
不安は、一瞬だけ和らぐ。
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辺境伯領。
「買い支えが始まりました」
ユーリの声は冷静だ。
「準備高公開も」
「想定通りです」
私は、頷く。
「国家は、最後に金を見せます」
「こちらは?」
「何もしません」
ユーリが、わずかに眉を上げる。
「何も?」
「ええ」
私は、帳簿を指で叩く。
「金は有限です」
沈黙。
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ヴァルハイム。
エレナは、報告を受けていた。
「王都が金を出した」
「防衛の意思表示です」
「どれくらい持つ?」
「不明です」
彼女は、静かに笑う。
「なら、観察」
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北方同盟。
ヘンリクは、短く言った。
「金は、食えない」
側近が困惑する。
「だが象徴だ」
「象徴は、冬を越せない」
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王都中央銀行。
「市場は落ち着きつつあります」
側近が報告する。
ダミアンは、静かに言う。
「一時的だ」
「では」
「問題は、信用だ」
彼は、資料を閉じる。
「信用圏は、何もしていない」
それが、最も不気味だった。
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夜。
私は、静かに倉庫報告を読む。
穀物在庫、安定。
鉱石備蓄、安定。
海運契約、稼働。
ユーリが、控えめに問う。
「……金に対抗しないのですか」
「対抗する必要がありません」
私は、静かに答える。
「金は、守るために使うものです」
「信用は?」
「積むものです」
沈黙。
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王都通貨は、一時的に戻した。
だが、金準備は減る。
そして市場は、それを知る。
私は、帳簿を閉じた。
「防衛戦に入った時点で」
ユーリが、続きを待つ。
「攻勢は終わっています」
外は静かだ。
だが、中央銀行の金庫では、
確実に金が減っている。
通貨戦は、消耗戦へ入った。




