第17章「マーリン」
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第17章「マーリン」
ベイ「おいマーリン、本当にモルはまだ来ないんだろうな! バッタリ鉢合わせなんてダサいことになってみろ、お前を秒殺でブチ殺すからな」
マ「なるわけなかろう~、小人の歩幅を考えればまだ余裕はある。 それよりもベイリン、早くその紙に書いてある魔方陣を書け」
なんでオレがこんなことを…
ベイリンはブツブツ不満を口にしながら拾った枝で、砂地に魔方陣を描いていく。
他の小人たちもマーリンの指示の元、嫌々ながらも各々、与えられた作業を黙々とこなしていた。 ……公園で。
そう、俺たちは今、ランスロットの主の指示にあった、俺たちが闇討ちに会ったあの公園にいる。
まだランスロットが言った12時まで3時間あるが、マーリンが家で言った「犯人の家に行く前に公園に寄ってほしい」には全員、度肝を抜かれた。
まぁ、幸いまだランスロット、モルドレッド、共に来ていないが…。
ベイリンは魔方陣を書き終わると、持っていた枝を乱暴に投げ捨てマーリンを睨む。
ベイ「これ、お前お得意の転移魔法だろ。 汚い手にオレを巻き込みやがって」
書き終わった魔方陣にミスがないが念入りに見回すマーリン。
今回はワシの言うこときくんじゃろ~?と言わんばかりにニヤケ顔をベイリンに向ける。
ベイ「チッ! 本当にここにランスロットは来んのか?」
マ「来るさね。 あの優等生なら間違いなく “ここ ”にのぉ~」
ベイ「そうだなぁ~来るといいなぁ~」
マ「…ベイリン、お前さんならどこに隠れる? 相手は自分より戦力が高い、こちらは一撃でブレスレットを破壊したい、しかしバイクのエンジン音は聞かれたくない、ど~こ~じゃ? 答えはこの公園で唯一音がするこのしょぼい造りの噴水の裏手にあるこの林の中でした。 さて、話がすぎたのぉ~ダンナが待っておる。 行くかの~」
話を半分も理解していないベイリン。
笑顔でマーリンの背中に向かって親指を立てた。
「お前らおせーよ」
パ「うふふ、2人で逢引でもしてたのかしら~?」
ベイ「殺すぞっパーシィ!」
マ「すまんのぉ~ダンナ。 言っておいたやつは、やっておいてくれたかの?」
マーリンが指示したのはたった3つ。
①この公園の中央、噴水前に紙に書かれた魔方陣を書く。
②その魔方陣から1番近い外灯を一時的に停電させる用意をする。
③さらにその魔方陣に向かってビデオカメラを1台、茂みの中に隠しておく。
本当にたったこれだけでランスロットに勝てるのでしょうか?
マ「その外灯、停電させるにはどうすればいいのじゃ?」
俺の肩に乗っていたベディがジャンプ、外灯の支柱裏手の配線コードを1本掴む。
ベデ「この黄色いコードを切れば停電が起こります。 ただし、時間は5秒、その後は予備電源になりもう停電は起こりません」
マーリンは自らのヒゲを触りながらベディヴィエールの元まで行き、コードを見て溜息を漏らす。
期待と違ったのか、その肩はガクッと落ちる。
マ「仕方ない、この役目はワシ自らしよう。 どうせ戦闘になったらワシいらんし…ダンナ5秒だ! 絶対に忘れんでくれ」
ト「マーリン。 カメラはあそこに設置したが、よかったか?」
トリスタンが青いベンチの後ろに生い茂っている林を真っ直ぐ指差す。
マ「ああ、問題ない。ちゃんと今から回してバッテリーとやらはもつのか?」
パ「説明書には10時間もつって書いてあったわよ」
マ「そうか♪ そうか♪」
さすがにここまで説明が無いと不安の標高が高くなりすぎて怖くなってくる。
俺は高い山から下を見下ろすように恐る恐る尋ねた。
「おいマーリン。この策とやらはどういうものなんだ?」
何がそこまでうれしいのか、月明かりの下、マーリンの口元は口裂け女のように広がる。
マ「後でダンナには教えてやるから安心せい~グッヘッヘ。 あっ、そうじゃ。 ベイリンに聞くとヒントをくれるかもしれんしぞ~」
ん? ベイリン。ベイリンを見ると笑顔で親指を立てていた。
何それ? マーリンの言っている説明とやらをお前は理解しているのか?
…表情に自信がない、地震が起きたらすぐ倒壊してしまいそうな家のようだ。
コイツ理解してないな!?
とりあえず親指立ててやがる!!
マ「お~い、ダンナ~。 それよりも早く犯人の家に行こう、ライオネルを助けるんじゃろ?」
色々このジジイには言いたいことがあるが…確かに今はそれが先だな。
俺は再び自転車にまたがり、向かってくる凍える風をはねのけるため、お気に入りの黒いライトジャケットのファスナーを上げた。
「よし行くか! お前らブレスレットに戻れ」
そして時間は戻り、俺たちは犯人の家を目指したのだった。
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