第16章「思考」
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実は僕、推理物が大好きなんです!!
「だから?(*∠_*) ダカラドーシタ」って言わないでね♪
第16章「思考」
「ハァ、ハァ、ハァ」
鼓動の動悸が激しさを増すごとに放出される白い息。
サドルにまたがりペダルをこぐスピードがぐんぐんと上がる。
時刻は10時を回り、上空に浮かぶ太陽は墜ち、空は完全に赤い光を失う。
畑が列並む田舎のデコボコ道をチャリは月光りだけを道標に全力全快で疾走していた。
マ「ダンナ~そんなに急がなんでも、まだ時間はたっぷりとある」
ブレスレットから聞こえるマーリンの声、余裕とゆとりが感じられる。
しかし俺はペダルをこぐ力を弱めれることが出来なかった。
なぜなら…俺たちは今、この闇討ち事件の犯人の家を目指しているのだから。
なぜ俺たちが事の真相に近づいたか、それは数時間前、俺の決意表明まで遡らなければならない。
数時間前――
「…マーリン。 自分を引き当てた幸運、ワシ自ら証明の下りはどうしたんだ?」
俺と小人たちのいらだちをよそに、1人ゆったりと自分と同等の大きさの湯飲みを持ち上げ茶をすするマーリン。たまに「ふぅ~うまい」などと言ってやがる。
いっそその不安定な飲み方の災害、ちょっとお前のほうに傾けてドバーって熱い茶を被ってみるか?
「おい、本当にそんなにのんびりしてて、ランスロットは倒せるのか?」
マ「ふぅ~ダンナ、ワシを誰だと思っておる? 倒すだけならいくつでも策は思いつくわ。ただ一対一でやりたいだの、正々堂々とら言われると、ワシもなかなかもって難しい」
「注文が無ければ簡単なの!? た、たとえば、どんな方法を考えてんだ?」
驚く俺とは対象的に落ち着き湯飲みをテーブルの上に置くマーリン。
マ「落とし穴を掘る」
「ハァ~~!?」
そんなので倒せるわけないだろ…小学生だってかからないよ。
小人たちは本当にこいつに任せるの?的な目を俺に向ける。
今からでもベディかトリスタンに考えさせるべきだろうか。
「もうちょっとマシなのは無いのか?」
マ「ダンナは決闘で落とし穴を掘ったヤツを見たことがあるのかの?」
「無いよ。 だってまず、はまるやつがいないじゃん…」
マーリンはやれやれと鼻で笑い、首を振る。
マ「誰もするとは思わない。だ・か・ら・する価値があるんじゃろ? 策とは本来そういうものじゃ。 ベディヴィエール、ランスロット、トリスタン、頭はいいが所詮は教科書どおり、虚は衝けん」
「じゃあ、本当に穴掘るのか? こんな夜中から? 公園で?」
マ「…確かに落とし穴はやつの能力 “騎士の本懐 ”には有効じゃ。穴がいっぱいあれば乗り物には乗れん、やつの能力は目に見えて落ちる。ただ、これには1つ重大な問題がある」
落とし穴の問題点がたったの1つか…気持ち少なく感じるな。
マ「問題は地面の硬さじゃ。 マンガじゃないんだから、サッと掘るなんて出来ん。 最初は柔らかくともだんだんと硬くなる地面、悴む主の手足、増える主のマメ、つぶれる主のマメ。 穴を掘るのには時間がかかりすぎる」
それは問題じゃなくて、そもそもの根底たる欠点だろ。
つか、このジジイは全部俺にやらせる気なのか!?
「いちよう聞いとくが、落とし穴しか策が無いなんてオチじゃないですよね?」
マ「グヘッヘッへ、まぁ策のほうはワシが考えておく。それよりも重要なのはライオネルの奪還じゃ。 まずランスロットは人質を連れてこん、そのブレスレットの半径20mに入ったら所有者の「戻れの」言葉共にやつらはライオネルを失うからの。 つまりは今日の12時、呼び出し時間までにライオネルを奪い返さなければならんわけじゃが……どうせダンナはライオネルを見捨てるという選択肢はとらん、いや、とれんだろうしのぉ」
小さな両の腕を「う~む」と腕組み、考えを巡らすマーリン。
確かにライオネルを助けないと俺たちはやつに刃を向けられない。
マ「参考までに聞くが、実際問題ダンナはこの闇討ち事件の犯人、誰だと思うかのぉ?」
マーリンは手を合わせ、自分の口にあてがいながら気晴らし程度に聞いてきた。
俺はこれまでの事柄を繋ぎ合わせ、順を追って考えていく。
そして行き着いた思考を口にした。
「…確証はないけど、俺はやっぱり最初に思った通りウチの学校の3年。今年召喚獣をもらった、俺以外の9人の中に犯人はいると思う。アリバイや100人以上をどうやって闇討ちしたかとかは分からんが、そうでも考えないと俺を必要に狙うことの説明がつかない」
俺の説明を聞くやいなや、他の小人を見ながらマーリンは不気味に、でも嬉しそうに笑う。
その笑い声はまるでいじのわるい魔女のようにみんなの耳に入ってきた。
マ「いやぁ~、ダンナは使えない騎士共と違いワシ寄りの考えを持っておる、うれしいのぉ~ワシも同じ意見じゃ。 人質を取ってまでダンナを倒したい、それはテストではどう頑張っても勝てないから。 つまり犯人は闇討ち事件の被害者になってない9人の内の誰か…」
そこまで言うと今まで黙って不機嫌そうにしていた騎士の中、その中でも一番イライラした殺気の篭った目をマーリンに向けていたケイが遂にその口を開いた。
ケ「ふぅ~ん。 な~んだ、偉そうに言って結局何も分かんないんじゃん」
マ「グッヘッへ、まったく分からんおぬしらよりはマシじゃろ?」
ケ「へぇ~ケイ達をそういう目で見てたんだぁ~。 ねぇ用兵ちゃん、べディヴィエールに“今この状況における犯人の最有力候補は誰なのか言え”って命令して」
「なぜに俺が? 通訳が必要な距離じゃないだろ」
べディヴィエールは今の話を聞いていたはずなのに、まるで他人事のようにそ知らぬ顔をしていた。
ケイはそれを見て目を細め、やっぱりと自分の髪をクルクルといじる。
ケ「ケイが言ったって言ってくれないもん。たぶん…『なるほど、あなたの意見は分かりました。しかしながらこのような不確定要素が多数ある状況では不甲斐無いながら私自身確証を未だ得ていないのが実情なのです。 勘や想像に身を任せたものを推理などとは自分には到底思えません。それに仮説を優先すれば事実は容易に捻じ曲がる。ゆえにここで自分の口から何か物を述べることに躊躇いを感じざるおえません。よってあなたの意見は却下します』ってね!」
あ~~確かに言いそうだね。
よし!
「べディ~♪」
そう言って笑顔で問いかける俺、するとゆっくり窓から向けられる顔……!?
ベデ「それは任意ですか、強制ですか?」
怖ぇぇぇ無理ぃぃぃ。
「ケイぃぃ~」
助けてぇ~~。
ケ「強制っ!!」
「べディぃぃ~」
俺の四面楚歌の嘆きにべディは観念したのか、やっと体をこちらに向けてテーブルの上を独特の考え事をするような、そしてこめかみを指で押さえるような動作をしながら歩き始めた。
「はぁ~~。自分が考える犯人像は女です。 焦らしても意味は無いので答えますが…体育館でもいた、テストで総合10位の百合姫、彼女が犯人だと自分は考えています」
え? 百合姫?
あの援交女?
っていうか女!?
あんなに強かったのに!?
俺の増殖していくクエスチョンマークが連鎖したのか、マーリンが首を捻った。
マ「なぜ女じゃと確信できるんじゃ? おぬしのいい口じゃと女であることを確信した上で推理をしたと聞こえるの。 別にランスロットを憑依させておるからひ弱な女だから犯人ではない、などと妄言を語るつもりも無いが…怪しいという意味ならダンナのことを異常なまでに敵視していた千歳じゃったか、テスト2位の男のほうが怪しいと思うがのぉ」
ベデ「屋上で出会った彼とランスロットのマスターが同一人物でないと自分は考えています。 その一番の理由は靴です。 靴とは権威や権力の象徴、そして何より高級な靴はひときわ記憶に残る。老を含めてこの中でランスロットの主がどんな靴を履いていたか記憶している者はいますか?」
あの状況で覚えているわけが無い。
いや、あの状況だからこそ高級な靴なんか履いていたら記憶に残るとべディは言いたいのだろう。
皆首を振ったり、手のひらを上に上げる。
ベデ「皆様の記憶に残らなくて当たり前です、ランスロットの主は記憶に残らないほどボロボロの靴でしたから。一方、屋上で出会った千歳という男、彼は学校指定の上履きを避け自分の価値を貫く、もちろん靴はピカピカ。 彼の靴なら覚えている者もこの中にいるのではないですか? そこまでこだわっている人間が闇討ちの時にボロボロの靴を履くとは自分にはとても思えない。 そもそもテスト2位だから1位の主を狙った、他の人間を狙ったのはその意図を悟らせないため。 老、その短絡的な推理こそ妄言と言わざるえません。 それにあの夜、自分たちを闇討ちした人間、それが男であるはずはありえないのです。」
マ「短絡的で悪かったの。こちとら、いちいちそんな些細なことを覚えてられんのでな」
ベデ「実際はそういった些細な事が重要なんですよ、老。 話を戻しましょう。一般的に、男性の声帯のほうが物理的に低い音を出せるので、ヘリウムガスなどを使って声の高さを変えてもどうしても低い音の成分が混ざります。逆に女性の声帯の方が物理的に高い音を出しやすいので、高い成分がより混ざりやすくなります。そして注目すべきは声尻の抜け方、男性は口蓋垂の関係上、音の抜けが鈍い。 総合するとあの夜の人物は、男性にしては些か声が高すぎる、それに声の抜けがよすぎた。」
ペラペラと説明を続けるべディヴィエールに口を半分開け、目が点になる俺とマーリン。
よぉ~噛まずにそれだけしゃべりよるな~(マーリン談)。
推理より滑舌に感動した!(俺談)
ベデ「犯人を女性と限定してあの夜の出来事を思い出すと、色々見えてくる風景が変わってきます。 野球帽をかぶっていたのは男性を意識させるため、後ろ髪が出ていなかったことからショートヘアー、身長は男性と見間違えたところから女性としては普通ないし高いと考えて160~170の間、腕時計を右手にしていた所から左利き。」
「それでなんで犯人は百合姫になるんだ? そんな女いっぱいいるだろ?」
ベデ「主、人の話は最後まで聞いてください。」
お前は人じゃないだろ!?
ベデ「自分が彼女を犯人だと思ったのはインクです。 公園で出会った時、黒い木刀のせいで見えづらかったのですが、両の手、正確に言うと指の腹、その部分に黒いインクが付着していました。 なぜインクが?そう思い、最初は人間の血が乾燥したのだと解釈しましたが…それにしては黒すぎる。 何かと考え毎日を悶々と過ごしていましたがある朝、いつものように主が新聞の四コマ漫画だけを見て全てを購読したような瞳でそっと新聞を畳んだ時にやっと気がつきました、あれは新聞を触った時に付着したインクなのだと。 しかし主のように読んでいたわけではない、それは付着したインクの量で判断できます。彼女の指の腹に付いたインクは体育館でも薄く染み付いて取れないほどでしたから。つまりは仕事、新聞配達で付いたものだと思われます。そして決定的な証拠、いえ、証言は“たち”です」
たち?断ち?絶ち?太刀!
…いや、さすがにそれは無いな。
ベデ「体育館で主を助けた言葉「「そうね。それにその小人ちゃんたちが悪いことをするようには見えないし」」なぜ“達”なんですか? その場にいたのはガーウィンだけです。 事前に主が複数の召喚獣を持っていることを知っているのは妹君とあの夜の犯人だけ。 以上の事からランスロットの主、あの夜の闇討ち犯は左利きで髪はショート、身長は160~170、手には黒いインクが付いている百合姫だと考えられます」
すげ~、その感想しか出なかった。
俺が日々の日常を女湯にいかにして潜入もしくは、盗撮できるか考えている時にこいつはここまで考えていたのか…まったく、恐ろしいやつだ。
ケ「フッフッフ♪ ケイの力を見たか、おじ~ちゃん」
マ「おぬしは何もしとらんじゃろっ!?」
ケ「べディの成果はみんなの成果、みんなの成果はケイの成果♪ マーリン“負けました”は?」
マ「…ヌシも変な所を根に持つの、よほどワシのー」
ケ「マ・ケ・マ・シ・タ・は?」
マ「…フゥ~、マケマシタ。 これで満足かの~?」
ケ「うん♪」
「じゃあ後は百合姫の住所か…メモは取られたな~。どうしよう」
ベデ「メモに書かれていた内容なら全て覚えていますよ」
「お前は未来の技術で作られたネコ型ロボットか!? っていうか最初からべディの言う通りにみんなが動けば事件も早く解決したし、そのほうがよかったな」
ケ「それは違うよ、用兵ちゃん」
ト「その通り、私たちはべディヴィエールに従っているわけではない。私たちが従うは主であるあなたの命のみ、それはべディヴィエールも同じ。 あなたが犯人を捕まえたいと言った、だからべディヴィエールは自分の意思を曲げてまでも答えた。 ご主人、私達は、あなたの臣下でございます」
マーリン以外がその場で膝を付き、頭を垂れる。
それは忠誠を意味しているのだとヒシヒシと伝わったが…いかんせん、か弱き18才の少年には重いっ。
「べっ、別に頭とかいいから、なっ、じゃあ善は急げだ、行くか!。」
俺のうろたえる姿に、なにか言いたげでニヤニヤと髭をなじるマーリン。
マ「グッヘッへ。 そこはふんぞり返らんと様にならんぞ~ダンナ。 そうれはそうと、行く前に用意してもらいたい物と、寄っていってほしい所があるんじゃ。 ダンナがランスロットと一対一で正々堂々戦い、なおかつ、勝つことが出来る策を思いついたぞ~グッヘッへ♪」
閲覧ありがとうございました!!
いつか完全な推理物を書きたいな~
もっと実力をつけねば!!(*´д`*)モット激しく!!




