第14章「脱落者たち」
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第14章「脱落者たち」
病院の救急治療室に到着すると、そこには五離羅がイスに祈るように座っていた。テニスで鍛えられた引き締まった長身からは想像がつかない敗者のたたずまい。
俺は急いで五離羅の元に駆け寄る。
「ゴリラ、大丈夫か!?」
「三錐!? 俺は召喚獣を失っただけで大丈夫だ。ただ…俺を庇ったリッチモンドが」
「何があったんだ? 誰にやられた?」
俺は1度イスに座り、足早に質問する。
すると五離羅は事の顛末を語り始めた。
「最近の闇討ち事件で部活も休みだから、リッチと遊びに行く約束をしていたんだ。でもカバンが見当たらなくて一度教室に行こうと学校の裏道を通ろうとした時、黒い木刀を持ってバイクに乗ったやつに会ったんだ」
間違いない、ランスロットの主だ。
「それが誰だったか分からないか?」
「いや、学校の裏手側は薄暗いし、相手は帽子を被っていたから、男女どっちかも分からない」
「そうか…」
「ヤツは急に襲ってきた。 俺も召喚獣で応戦したんだが、まるで相手にならなかった。そして次は俺の番かと思った時、リッチモンドとやつの召喚獣がやってきたんだ。」
吸血鬼。
血を吸う鬼、見た目のキャシャさを反するほどの腕力、俊敏さを併せ持ち、いざとなったら無数のコウモリになって分裂する悪魔。
いくら相手がランスロットだからって負ける理由が分からない。
俺は黙って耳を傾ける。
「吸血鬼のねーちゃんは終始、相手を押していた。いや、完全に勝ってた。 だからか相手は標的を召喚獣からその主、リッチモンドに変えてきたんだ。 バイクとは思えないスピードだったけど、吸血鬼もそれを察知して守るため、リッチの前に移動したが…リッチのやつ、召喚獣を庇うため、わざわざ木刀の前に立ったんだ。…それで頭を思いっきりやられた。20mぐらい吹っ飛んだかな、その時にリッチが付けてたブレスレッドも砕けて吸血鬼も消えていったんだが、吸血鬼のねーちゃん、最後まで俺に助けを呼んでくれって泣いて叫んでた。 それで俺は携帯から救急車を呼んでって感じだったんだけど、気がつくとそこには犯人の姿は無かった」
そこまで五離羅が喋ったところで手術中の赤いランプが消えた。
手術室から出てきたリッチモンドは顔に包帯をグルグル巻かれ、誰だかわからない状態だった。
「こんな…ここまでする必要があるのか?」
シャレで包帯男を見たのなら笑えもするが、医者が本気で必要で製作した包帯男はただ、ただ悲惨なものだった。
言葉を失う俺にゴリラはそのゴツイ手でボンと肩を叩く。
「俺はリッチモンドのことを学校に連絡してくる。三錐はリッチモンドについててもらってもいいか?」
「ああ」
病室に運ばれたリッチモンド。 目は覚めているのだろう、リッチモンドは痛々しく巻かれた包帯の間からパイプイスに座った俺を見てくる。俺はサッと目を逸らしてしまった。
「わるい。 お前には助けてもらったのに、俺はお前を助けられなかった」
「キニ…スルナ」
頭を殴られたせいか、喋りが拙い。
震えた声はさらに続く
「デモ、ミーの…ことを助けようとして、ハニーが…」
包帯の間から横にツーと流れ落ちる涙。
滲むように包帯にその水分が吸収される。
「ミーには…最後のテストで…1位無理…だから、今年イッパイの命でも、2人で楽し…もうって…明日、クリスマスは…遊園地に行コウって、デモ…デモ…オレ…ヤクソク守れナカッタ」
流れる涙。
それをオレは見てられなかった。
今の俺に出来ることは…
「ちょっと待ってろ」
家で妹の警護をさせているライオネル。
小人のままじゃ怪我を治すのも時間がかかるが、俺に憑依させれば治癒力も上がる。
すぐに治せる。
待ってろ
お前の召喚獣の最後の願い「助けて欲しいっていう」その願い、少しだけ叶えてやる。
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