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円卓の小人  作者: ひとりぼっちの桜
自己紹介
13/26

第13章「再起」

閲覧ありがとうございます。

                   第13章「再起」




 俺がこの事件から手を引いてからも闇討ち事件は続き、被害者数はついに100を超えた。

 ワンハンドレッド!!

 いや、別に英語にした意味は特にないんだが。


 さすがに学校の情報統制も限界を向かえ、連日ワイドショーを騒がせている。

 “怪奇! 田舎を襲う黒い影!? 被害者は皆学生!!” なかなかいいタイトルだが、今日の昼見たワイドショーにはサブタイトルもプラスされ、被害者が学生だと明らかになっていた。


 狙われているのが全て学生ということもあり、学生の8時以降の外出は厳しく規制されている。

 俺はというとあれか平和な日常に戻り、今では小人たちを軽いノリでゴミ箱に叩き込める仲にまでなりました。



 暦は12になり11月よりも一層さむくなった。

 今年は夏が暑かったからか、その反動で例年より空気が冷たく感じる。

 そんな寒空、学校からの帰り道、俺は悴む手をポケットに突っ込んだ。

 ポケットの中に入れていたホッカイロがコタツのように暖かい。


 道を歩いていると50mごとに、クリスマスの雰囲気をブチ壊す警察官とすれ違う。

 別にやましい気持ちがあるわけではないが、俺も犯人と同じ小人を持っていると思うと、どうしても目を逸らしてしまう。


 東から聞いた話なのだが、私刑団のやつらはいくら調査しても犯人が分からず本部、つまり大学に増援を頼んだそうだ。

 何やら今年召喚獣をもらった10人は全員アリバイがある、もしくは闇討ちに会って召喚獣を失ったらしい。

 ということは、俺のあの学校侵入事件が無意味ということ、殴られた痛さプライスレス! まぁ井口が職員会議にかけられたことを思えば、ちょっと楽しく毎日を生きれそうだ。


 そうこう考えながら歩いていると急にドーナツ屋の前で足が動かなくなった。


「あれ? 足が……ぐぅ~~~動かん」


 まるで金縛りにあっているのかと思うぐらい、ビクともしない。

 するとブレスレットからトリスタンの声が聞こえてきた。

 声質が奇怪なぐらい明るい。


ト「ご主人! あれは何だ!?」


 あれ? こいつが言うあれというと…おそらくは


「ドーナツ屋のこと言ってんのか?」 


ト「ドーナツ…いい匂いだ」


 そこにいて匂いとか分かるのか?


ト「ご主人、あの棒の先に揺らめいている旗、書いてあるモチモチ・ポンデリングとは?」


 そのブレスレットの中から、外の景色ってけっこう明確に見えているんだな。しかも、匂いまで感知できるとは…快適最優先構造なのか?


「モチモチしている食感のドーナツだ」

ト「モチモチだと!?…100円だ……ご主人、食べたくないのか?」

「俺は食ったことあるよ」 


ト「………」 


 ブレスレットからトリスタンの声が途絶えた。

 しかし迷惑なことに足はまだ動かない。


ベデ「主」 


「ん? 今度はベディヴィエールか、何だ?」


ベデ「トリスタンが歯を食い縛って泣いている」 

「そんなに食いたいのか!?」


 するとさっきまでまるで太陽のような明るさだったトリスタンの声が一変し、暗黒街の暗い声で再びブレスレットから飛来する。


ト「昨日、おやつなかった……」

「あったろ? お前が食いたいつーから、わざわざ行列に並んでたい焼きを買ってやったろ?」 

ト「……クッ、合格だ」


「何で試した!? 買って欲しいならそう言えよ」 

ト「言ったら…買っていただけるとでも言うのですか?」

「まぁ、いちおうドーナツを買うぐらいの許容と財布は持ち合わせているが」


ト「神!? 間違えた、ご主人だった。 私は元来、神を信じてはいない。しかし今分かった。 神はいます、ここにいます、ご主人、確信を持って言おう、あなたは神です。」


 ドーナツで神だと過信できるのかお前は!? 


 その後―俺は小人たちにドーナツを2つ買ってやり、手でちぎって与えた。

 トリスタンは剣に刺したドーナツを食べながら終始「この食感はけしから」と言っていた。


 …前から言いたかったんだが、騎士として剣の使い方はそれでいいのか?

 つまようじ感覚でいいのか?


ト「(ブーブー) ご主人、(ムシャ、ムシャ) (モチュモチュ) 携帯が鳴っている。」


 俺は腰掛けたことで取りづらくなっている、ズボンの後ろポケットからギュッと手を突っ込み、折りたたまれた携帯を取り出す。

 そしてパカッと携帯を開け、ディスプレイを耳に近づける、するとさっきまで学校で聞いていたむさ苦しい声が聞こえた。



「はい、もしもし」 


「お前、今どこにいる!?」


「学校近くのドーナツ屋」 


「今すぐ家に帰れ! リッチモンドと五離羅がついさっき襲われて病院に運ばれた!」

「リッチモンドも!? あいつ吸血鬼持ってただろ?」

「そうなのか? 教員は生徒が何の召喚獣を持っているかまでは知らないからな…何にしても、これで召喚獣をもらったやつでリタイアしてないのは、お前を含めて3人になった。 今、職員会議でさすがに12月31日にあるテストで受けるはずだった10人が全員リタイアはウチの学校的にマズイってことで意見が一致した。 てことで、12月31日までお前家から出てくんな! 分かったな!?」 


「2人はどこの病院に運ばれた?」

「え?灰社病院だけど…!?まさか、お前行く気か!?すぐ家に――(プツ)」


 俺は東の忠告を最後まで聞かずに受話器を離し、電源を切った。



ト「ご主人どこへ?」 

「お前らすぐブレスレットに戻れ、病院に行く」


 いつだったか聞いたことがある、吸血鬼は最強の召喚獣の1つだと…それが負けた?

笑えない冗談だ、俺が1番欲しかった召喚獣がそう簡単に負けるはずがない。

 事の真偽を確かめるため、俺はドーナツ屋の両開きの扉を大きく開けたのだった。


閲覧ありがとうございました。

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