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円卓の小人  作者: ひとりぼっちの桜
自己紹介
11/26

第11章「暗いって嫌だよね~」

毎度おおきに( ノ゜Д゜)こんにちは


閲覧ありがとうございますm(__)m


               第11章「暗いって嫌だよね~」




 ゆっくりと運動場の金網で出来た扉を開く。

 時刻は12時を回ったころ、俺は黒いフード付ジャンパーを身に纏い学校への侵入を目論んで身をかがめて歩いていた。


ト「来るとき、びっくりするぐらい誰にも会わなかったな」 

「まぁ、田舎だからな。 8時以降は人なんていねーよ。」


ガ「こんなに簡単に入れるなら、侵入なんて大それた言い方する必要ないんじゃねぇのか?」

「この学校は運動場を一般の人にも開放してるから、ここまでの工程は侵入ですらない。 だが問題はここから、この学校には警報機が多数設置されていて、ミスったらすぐさま警備員が来る。 お前らも気―つけろよ」


全「「はーい」」


 返事だけは毎回いいんだよな。


 俺はため息を白い息と共に吐き出しながら運動場からそっと学校の建物に近づく。

 すると1つぼんやりとカーテン越しに明かりがついてある部屋を見つけた。


「宿直室か…今日の宿直が東なら見つかった時、何とかなるんだが…」


 いや、見つかることを想定して立てる計画に価値はない。

 俺は大きく頭を振って、邪念という名の言い訳ゼリフを消した。


 裏庭 → 渡り廊下 → 中庭。 監視カメラの位置を気にしつつ職員室を目指す。

なぜ俺が監視カメラの位置をここまで的確に掴んでいるかというと、それは今俺の頭の上に乗っているユーウェンの能力のおかげだ。



ユーウェンの【friendship heart = 友愛(縛り付ける愛)】。

 能力発動によって白くなる左手、それに触れた自分より小さな人間以外の動物を自分の手駒にする。



 ここに来る前に田んぼで大量に捕まえたバッタにカメラに張り付け、いや、この場合貼り付けと命じたのだ。

 当初、バッタにカメラが分かるのかとも思ったが、バッタには人間社会がよく見えているようで、今現在カメラには大量のバッタが貼りついている。


ユ「あれ? ボス、窓を破壊して職員室に殴りこむんじゃないの?」


 お前は俺に何をさせたいんだ!?


 職員室の前をかがみながら素通りする俺に、ユーウェンが頭の上から髪の毛を引っ張りながら語りかけてきた。

 頭皮がイタイ!


「バカかユーウェン? そんなことしたら警備員がすっ飛んで来るだろうが。来る前にも言ったろ。職員室に入るのが目的じゃなくて、中に入って学生の名簿を見ることが目的だって」


 そう、俺以外のテストの上位10名。

 1人はリッチモンドだと分かっているから残り8人、その中にランスロットの主はいる! 捕まえてやる、俺の手で絶対にな。


 そして俺の社会的ステータスを守る!


 俺は職員用の出入り口に着くと、小人たち全員をブレスレットから出した。


「よし! お前ら今から作戦を説明する。 ここから先、20mほど行った所に排水溝がある。鉄のフタを開け、中に入った先、実はココ、一切カメラがない職員用で入り口の近くの水場に繋がっている。 そこでお前たちの出番だ、排水溝の道は狭すぎて人じゃまず通れない。しかし小人なら…OK?」


 排・水・溝? 

 小人たちは一同に20m先、職員用駐車場の方を見る。

 そして大きな輪を作りスーと片手を出した。


ガ「最初はグーだ! いいな!!」 

全「「オーー!!」」


「え!そんなに嫌!?」


全「最初はグーー!!」


 「…やったーー!!」


 歓喜の輪の中、1人地面に項垂れるモルドレッド、手は無念のチョキを指していた。


ライ「おねーちゃん」


 そこには姉を気遣い、そっと寄り添うライオネル姿があった。 



 駐車場まで移動した俺は鉄で出来た網目のフタを力いっぱい上に持ち上げた。

 当然のことながらこんな時間に水場を使うやつなどいるわけもなく、水は一切流れていなかった。


「なっ、キレイなもんだろ?」


 俺の言葉に一切反応することなく、モルドレッドの死んだ瞳はジーと排水溝を見ていた。


モ「本当にこれしか方法がないのですの?」


 まだ他にも道があるのでは?と懇願にも似た言葉を口走るモルドレッドに、ホッとした顔のベディヴィエールが近づいていく。そして放たれる最後通告の雨あられ。


ベデ「由々しき事柄ですが主の言うとおり、確かにこれが1番の方法ですモルドレッド。 幸運を祈ります」

ト「モル、ご主人のためだ」 

パ「そうよ、あきらめなさい」 

ガ「チョキを憎んで人を憎まず! 飛び込め! モル!!」 

ガラ「good luckっでございます」


 俺が言うのもなんだけど、自分が行かなくてよくなったとたん容赦ねーな。


「あの~モルドレッドさん?そんなに長い道のりじゃないから、この下を通るとすぐ、ほらっ!ここに見える剥き出しになっているパイプを登ることになるんだけど、そしたらすぐだから」


 …この場に長い、それはもう長い沈黙が訪れました。

 そしてこちらを向くモルドレッド。


モ「いやですわ! 何でわたくしがこんな所を登らないといけないんですの!」


「いや、だって…ジャンケン負けたわけだし…」


モ「そんな理由で!? そんな偶然の産物によってこのわたくしが――」


 そこまで言ったところで、ケイが俺とモルドレッドの間に笑顔で入ってきた。


ケ「負けたんだから早く行ったら? モルドレッド」


 ひどい…皆そう思っている中、モルドレッドは持っていた扇子をライオネルに手渡し、無言のまま入っていった。 その後姿にはどことなく哀愁を感じられた。


「じゃあ俺たちは職員用、出入り口でモルを待つぞ」



 それからどれくらいの時間でしょう。5分? いや10分?

 まぁみんなでしりとりしてたから一瞬でしたけどね(笑)。

 すると鍵の開く音と共に扉はゆっくりと開かれた。


 中から出迎えたモルドレッドはいつものエレガントさを微塵に感じさせないぐらいやつれていた。

 いったい何が彼女に起こったのか!?

 彼女はさすらう目でこう言った「ゴキ…」と。


 ともあれ俺はフードを深く被り直し、足音が立たないように建物に入った。

 ドアをゆっくりと閉めると通路は完全な闇を取り戻す。

 俺は暗闇の中、携帯電話の頼りない光だけを頼りにして進む。


「いつも歩き慣れた空間も、こうも暗くては初めての道と変わらないな」


 すごく長く感じた30m、俺は職員室と書かれたプレートの前に着くと、学校ではお馴染みのガラガラと音が鳴るドアを半分ほど開き、そっと中に入ったのだった。


ガ「用兵、明かりつけていいか?」 

「バカ! 止めろ! 人が来んだろうが」


ト「しかしご主人、ガーウィンの言う通り、そのケータイとやらの明かりだけでは、この広い部屋で探し物を見つけるのは困難だぞ」

「生徒の個人情報なんてだいたい置き場所は、鍵の付いた棚って相場は決まってんだから、後はコツコツ探せば朝までには見つかる。ホラッ」


 俺は小人たちに全員にポケットに入れておいたペンライトを渡していく。


「目標は朝4時までに発見だ! がんばるぞ~!」


 小人たちは渡されたペンライトを見ながら(これで探せと?)という悲壮な面持ちだった。


デ「最近思うんやけど、ワイらのご主人って頭はええけど…行き当たりばったりっていうか……バカやんな?」 


「おーい、ディナダンあったか?」 

デ「いや~こっちにはあらへんな」


 そのまま俺たちは小さな明かりを頼りに2時間ほど生徒の名簿を探した…このライトで十分だと思うんだけどな~?





ガラ「ございましたよ。我がマスター」

「ウム、見せてみよ。…よし、当たりだ。よくやった、腐れニートことガラハットよ。」

ガラ「……今あまりの自分に対しての扱いの酷さに言葉すら失いました」


 俺はガン無視するように分厚いファイルを開くと3年生全員の顔写真入りの氏名や住所、そして今までのテストで取った点数が記載されていた。

 俺はさらにページをペラペラとめくる、すると平成22年度、召喚獣配布者というページに行き着いた。


デ「おっ! 1位、ご主人やんか、スゲーな」

「だから俺はこの腐敗した地に降り立った英雄だと何度も言っているだろう」

デ「それは言い過ぎやろっ!」


ベデ「1人、外人の名前がありますが、以前学校の屋上で出会った男ですか?」

「あ~リッチモンドな…5位!? ただのエロいやつだと思っていたのだが、日本語を勉強しながら…実はすごいやつなのかもしれない。 とりあえずメモしとくか」


 ポケットに入っていた小さめの手帳とペンを出した。


「え~と、2位は千歳? 誰だっけこれ、見たことがあるような」


 写真の男は、その生気の無い魚のような黒い瞳でまるでゾンビのようだった。


ベデ「主、この男は夏休み前に屋上で会った男だと思われます」


 …あ~、あの殺人予告ならぬ思い出したくない不の記憶ね。


ケ「あーほんとだぁ。写真でも辛気臭い顔してるね、まるでモルドレッドみたい♪ 反吐がでちゃいそぉ~♪」

モ「奇遇ですわね、わたくしもケイの顔を見るだけで生理的に反吐がでますわ。 早く死ねばいいのに」


 やめて~二人とも~。

 こんな密室でけんかとかやめて~。


「ほら、モルこれ見てみ~。 3位のやつの名前は五離羅だぞ♪」


モ「あ?ゴ、ゴリラ!?この学校にはゴリラがいるのですの!? 飼っているのですの、ゴリラを!?」

「フッフッフッ、たぶんお前が言っているゴリラは違うと思うぞ♪ ほらっ」

モ「ゴ…ゴリラ? これが?」

「モテない男の敵、ジャニーズ系だろ」


モ「ジャニーズ? いえ、犬には見せませんけど…」


「ジャーキーじゃねーよ! ジャーニーズだよ! どんな間違え方だよ、犬の話とか今なかったよねっ!? すげぇ解釈だよね!?」

ガ「いやいや、犬でジャーキーと分かる用兵もたいがいすげぇよ。」


モ「そうなのですの? 用兵さんが憎しみと嫉妬のあまりに学友を犬に例えて罵倒したいのだと解釈したのですが…不服でしたか?」

「不服でしかねーよ!! いや~でもそいつ超絶にモテてな、頭もよくて運動も出来る、おまけに性格もいい。 もう…入学当時は呪い殺せないか黒魔道の門を叩いたぐらい嫉妬したよ。」


ユ「ふ~ん、そんなやつがいるんだ~悲劇だね。 で、ボスの黒魔道は成功したの?」

「いや、それがな聞いてくれユーウェン。 蛙を殺すところで俺の前世であろう空海師匠が夢で止めてきたから断念した」


ベイ「このチキンヤローが」

ベデ「違いますよベイリン、主は慈悲深く信心深いことの例えです。 そうですよね主?」

「オフコース!」

モ「絶対うそですわ…」


 おっと五離羅のゴリラによるゴリラの会話で盛り上がりすぎたな、早く次ぎ次っと。


「4位は人外か」 

ガ「じんがい!? スゲー名前だ…」

ト「ご主人の学校はこんな変り種の名前ばかりか?」


「いや、普通のいっぱいいるよ。5位はリッチモンドと分かってるから…6位、佐藤」

ケ「あっ普通」

「7位、伊藤」 

パ「普通ね」 

「8位、鈴木」 

デ「普通ゾーンだ~」


 なんだよ? 普通ゾーンて。  


「9位、門口」 

ガ「おしい!!」

パ「まったくね」

ベイ「空気読めよ! 門口!!」


 そんなに門口を攻めなくても。

 門口だって好きで門口に生まれたわけじゃないと思うんだけどなぁ。


「最後の10位は、百合姫…あ~援交女ね」 

ライ「用兵くん、援交って何?」

「金をもらって男と寝る女だよ。 やりマンだよ、やりマン。このマンの意味は分かるかな?」


 暗闇で目に見えなくても、ライオネルが真っ赤になったことが「はわわ」という初々しい声と気配でわかった。

 フッヘッへ興奮するぜぇ、だが同時に暗闇で光る瞳。


モ「用兵さん! ライオネルに何て事を教えるのですの! セクハラですわよ!」


 聞かれたから答えただけなのに…こうやって草食系は増えていくんだよ。


マ「ダンナ~この子結構かわいいの~」 

デ「ベディ、何点だと思う~?」 


ベデ「76点」

 

デ「おおー!! 高得点!」


 76点は高得点なのか?

 俺は写真に目をやる、あんまりタイプじゃない。

 俺の首の角度を察してか、ベディは自己の正当性を論じるために口を開く。


ベデ「別に自分は〔点数が高い = 良い、 点数が低い = 悪い〕とは考えていません。 元より人間の価値とはそんなところで決まらない。 ただ自分は、性格や自分の好みに左右されることなく客観的に点数をつけているだけなのですよ。」 


「よけいたち悪いわっ!!」


 俺は小人たちに、出し散らかしたファイルたちをかたづけさせている間、住所やその他もろもろの情報をメモする。そして全てが終わって時計を見てみると既に時間は3時を回っていた。




「おし、帰るか」颯爽とそう思った時だった。

 廊下を革靴が蹴る「カツン、カツン」という音。

 俺はビックリして仕事をするのを放棄した心臓を無理に起動、急いで携帯電話を閉じ光を遮る。


「お前ら隠れろ!」 


 小人たちは各々、近くの机の下に身を潜める。

 俺も誰だか分からないイスを退け、机の下に滑り込む。

 徐々に大きくなる革靴の音とライトの丸い光。

 生唾を飲み込むこと数回、俺はそのまま暗闇の中で息を止めた。


…行ったか?

 不気味な「カツン、カツン」という音と離れていく光を見ながら、ゆっくり息を吸おうとしたまさにその時、俺の耳に現実を拒絶したくなる声が聞こえ始めた。


ケ「ちょとぉ~ドブ女、下水臭いからケイに近づかないでよぉ」

モ「死ね」 

ケ「イッたぁ! 何すんのよ! エレガント紫!」 

モ「うるさいですわ! ピンク縦ロール!!」 

ケ「ピンクだと! ……このブス女!!」

 

 やーめーてーけーんかわー。見つかーる。

 遠ざかっていた光が反転する。

 やばい!? マジで見つかる。

 再び近づく音と気配、そして光は完全にこの職員室を照らす。


 どうすれば…ハッ!

 全員ブレスレットに戻れ!!

 なぜ一番最初からブレスレットに全員戻さなかったのか、という後悔をした。

 そしてガラガラと開かれる扉。 廊下の空気が一気に職員室に入ってくるのが分かった。


 …いる、見ている。

 職員室を満遍なく見回しているのが光の動きで分かる。


 頼む!

 どっか行け!


 俺は目を強く瞑り、強く願う。

 そして目を開けると、目の前30cmに例の革靴が見えた。 

 どうやら俺が退けたイスを戻そうとしているようだ。


 逃げようのない密室に近づくイスと光、そして…


「誰だ!!」


 この時くしくも俺は、入学当初の水着事件で女子と目があった瞬間を思い出したのであった。 いや…あの時よりかは、はるかにマシだな(笑)




閲覧ありがとうございました。

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