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白い雨のあと、僕らは旅に出た ――終末世界のキャンピングカー――  作者: 孔雀丸


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第6章 草に沈む街

こんにちは、孔雀丸です。

『白い雨のあと、僕らは旅に出た』をお読みいただき、ありがとうございます。


第6章「草に沈む街」をお届けします。


山を下りたユウトたちの前に現れるのは、十年の歳月に飲み込まれた地方都市です。

蔦に覆われたビル。

眠ったままの電車。

森のようになった商店街。


怖いのに、どこか美しい。

そんな「廃墟の庭」の景色を、今回は特に丁寧に描いたつもりです。


そして今回は、旅の仲間がもうひとり増える回でもあります。

赤茶色の毛並みで、左耳に小さな傷のある、ちょっと愛想のない仲間です。


ぜひ、ユウトたちと一緒に街を歩くつもりで読んでみてください。

それでは、第6章をどうぞ。

 山を下りると、世界の色が変わった。

 杉林の匂いが消えて、かわりに草いきれと、錆と、かすかな腐敗の匂いが鼻を突いた。

 リクを乗せてから三日目の朝だった。 俺はハンドルを握るミナの隣で、地図を膝に広げていた。 出発前に燃料計を見て、もう一度だけ確かめる。

 針の位置は変わらない。 変わらないと分かっていても、二度見なければ気が済まない癖が抜けない。

「この先、開けるぞ」

「うん、なんか空が広い」

 言葉どおりだった。 山間の集落を包んでいた緑の壁が途切れて、視界がいっぺんに開けた。 見えたのは、街だった。

 正確には、街だったもの。

 高層ビルの輪郭が、蔦にびっしりと覆われて緑色の塊になっている。 信号機からは名も知らない蔓草が垂れ下がり、風もないのにゆらゆらと揺れていた。 道路のアスファルトは無数にひび割れ、その裂け目という裂け目から木が生えている。 十年という歳月は、人間の街を丸ごと森の底に沈めるには十分すぎる時間だったらしい。

「すごい」

 ミナが呟いて、片手でハンドルを握ったまま、もう片方の手でカメラを構えた。 シャッター音が車内に響く。

「撮ってる場合か」

「撮る場合だよ。こんなの、二度と見られないかもしれないんだから」

 その声は明るかったが、いつもより少しだけ低かった。 俺は気づかなかったふりをした。

 キャンピングカーの下で、伸びきった草が折れる音が続いた。 まるで草の海を掻き分けて進む船のようだった。 リクは窓に張りついて、ビル群よりも路肩に放置された車両を見ていた。

「あの型のエンジン、まだ部品取れそうだな」

「お前、街を見てそれか」

「お前こそ、地図ばっかり見てないで景色見ろよ」

 言い返す気にもならなかった。 俺が見ているのは道幅と、路面の状態と、行き止まりになりそうな交差点の数だ。 景色を楽しむ余裕は、この旅では贅沢品だった。

 白く濁った空の下、廃ビルの窓を鳥の影が横切っていく。 人間だけが消えた交差点に、俺たちの車のエンジン音だけが響いていた。

 信号待ちをする車も、横断歩道を渡る人影ももうない。 それでも交差点は律儀に、赤と青の残骸を頭上に掲げたままだった。 誰のためでもない信号を見上げて、俺はふと、ここにも毎朝同じ時間に同じ道を歩いていた誰かがいたのだろうと思った。 考えても仕方のないことだった。 考えても仕方のないことばかりが、この十年で増えた。

 ***

 駅前を通過するとき、ミナが速度を落とした。

「ちょっとだけ、ね」

 反対する間もなく、車は駅前広場で停まった。 ホームにはススキが群生し、線路は雑草に埋もれてほとんど見えない。 錆びついた通勤電車が、開いたままの扉を晒して眠っていた。 車両の床には十年分の落ち葉が積もっている。 色褪せた路線図の隣で、電光掲示板は十年前の時刻を表示したまま止まっていた。 改札口には、誰かが忘れていったビニール傘が一本、立てかけられている。 その持ち主がどこへ行ったのか、誰も知らない。

 駅前広場の時計も止まっていた。 俺は自分の腕時計に、無意識に指を這わせた。 止まった針が二つ、同じ時刻を指している街というのは、妙に据わりが悪い。 案内看板の隙間には鳥が巣を作っていて、俺たちが近づくと一斉に飛び立った。

「昔は、これで何千人も運んでたんだよね」

 ミナがカメラを構えながら言った。

「今は、寝てるだけだ」

「寝てる、か」

 ミナはその言葉が気に入ったらしく、小さく笑ってシャッターを切った。 けれどファインダーを覗く横顔は、笑った口もとほどには緩んでいなかった。

 リクは車両の床下を覗き込んで、配線がどうとか呟いていた。 壊れた自動改札の基盤を一枚だけ剥がして光にかざし、結局は元の場所に戻す。 使い道の見えないものには、あまり手を出さない。 それがリクなりの区切りだった。

 俺は腕時計を見た。

 針は動いていない。 それでも見てしまうのは、確認というより、癖に近い儀式だった。

「行くぞ。ここに物資はない」

「はいはい、班長」

 ***

 商店街の跡地は、森と呼ぶ方が正確だった。 アーケードの屋根を突き破って木が伸び、シャッターには蔦が絡みついている。 美容院のショーウィンドウには、色褪せたモデルの写真がまだ貼られていた。 その隣で、倒れたマネキンが草に埋もれている。 食堂の軒先で、千切れかけた暖簾が風に揺れていた。

 小さな動物が店の奥を走り抜ける音がした。

 俺は足を止めて、地面を見た。 犬の足跡だった。

 一つや二つではない。 複数の個体が、同じ方向へ向かって歩いた跡だ。

「群れがいる」

「犬が生きてるんだ」とミナが少し明るい声で言った。

「生きてることと、友好的なことは別だ」

 俺は足跡の深さと大きさを確認した。

 痩せている割に、足取りは速い。 飢えている証拠だった。

 リクがしゃがみこんで、地面の別の跡を指差した。

「これ、新しいな。今朝のだ」

 遠くで犬の鳴き声が聞こえた。

 一匹ではなかった。 声が重なるたび、頭の中の地図に退路が一本、また一本と描き足されていく。 この先に踏み込むなら、戻り道はもう一つ用意しておいたほうがいい。

「戻るか?」

 俺が聞くと、ミナは少し考えてから首を振った。

「モールまで行けば、まだ物資があるかもしれない」

「犬より優先するほどか」

「優先はしない。でも、確かめもしないで戻るのは、なんか違う気がする」

 その言い分に理屈はなかった。 俺はただ、その言葉を否定できるだけの理屈も持っていなかった。

 ***

 大型ショッピングモールは、街のはずれに巨大な緑の塊として建っていた。 半分は屋根が崩れ、その穴から差し込む光の中で木が育っている。

 中に入る前に、俺たちはいつもの手順を踏んだ。 出入口の確認。車をすぐ発進できる向きに停める。帰還の時刻を決める。離れすぎない距離を確認する。緊急時の合図は、口笛を二回。

「鍵、閉めた?」

「二重に」とミナが答えた。

 吹き抜けには巨大な木が伸びていて、天井の穴から白く濁った光が落ちていた。 エスカレーターは苔に覆われて動かない。 フードコートには雨水が溜まり、小さな水たまりが鏡のように空を映していた。 その水面に顔を近づけると、かすかに金属じみた、古い消毒液に似た匂いがした。 雨が溜まって腐っただけの匂いかもしれない。 それでも俺は、無意識に息を止めていた。

 薬局の棚はほとんど空だった。 昔は何でも売っていた場所に、今は必要なものほど残っていない。 その皮肉が、静かに胸に刺さった。

 俺たちは手分けして探した。 密封された乾物、塩の袋、消毒用アルコール、包帯、古い電池。 期待していたほどの収穫はなかった。 薬の棚には、いくつかの錠剤の瓶が残っていたが、ラベルは色褪せて読めず、正しい用途も用量も分からなかった。

「これ、使えるのか分からないな」

 俺は瓶を一つ手に取って、光にかざした。

「知識がないと、宝の持ち腐れだ」

 その言葉が、思いのほか重く胸に残った。

 奥のペット用品コーナーで、リクが立ち止まった。 壊れた自動給餌機の基盤を覗き込み、指先で軽く弾く。

「これ、直ればもっと楽になったのにな」

「今はいい。時間がない」

「分かってるよ」

 そう言いながらも、リクは配線の一部だけ引き抜いて自分の袋に入れた。 使い道の決まっていないものほど、リクの目は輝く。

 リクは動物用の保存食の袋と、金属製の小さな皿、それに革紐と留め具をいくつか拾い上げて、無言で自分の袋に詰めた。

「それ、何に使う」

「材料になる」

 それ以上は答えなかった。

 ***

 異変に気づいたのはリクだった。 床に新しい足跡。食い破られた餌袋。抜け落ちた毛。生臭い獣の匂い。

 リクが低い声で言った。

「ここ、俺たち以外にいる」

 俺は退路を頭の中で組み立て直した。

 来た道は塞がれる可能性がある。

「戻るぞ」

 その判断が、数秒遅かった。

 暗い店舗の奥から、低いうなり声が響いた。

 一匹ではない。 複数の影が、シャッターの隙間から店内へ流れ込んでくる。 痩せて、毛並みが荒れて、目だけが異様に光っていた。 獣の匂いが濃くなり、床を蹴る爪の音が四方から近づいてくる。 一匹の首には、千切れた首輪が残っていた。 かつて誰かに飼われていた証だった。 けれど、その事実は今の飢えの前では何の意味も持たない。

「走れ」

 俺は叫んで、ミナの腕を掴んだ。

 リクが転びかけて、ミナがその腕を引く。 俺は消火器を蹴り倒して、犬たちの群れの前に転がした。 けたたましい音と共に群れが一瞬怯む。

「こっちだ」

 リクが通路の先を指差す。 半分だけシャッターが閉じたペットショップの跡地が見えた。 俺たちはそこへ飛び込んだ。 リクが背後でシャッターを引き下ろし、倒れた棚で固定する。 外で犬たちが吠え、シャッターを引っかく音が響いた。

「はぁ......はぁ......」

 三人分の荒い息だけが、薄暗い店内に響いていた。

 ***

 息が整いかけたその時、店の奥から別の呼吸音が聞こえた。 床を爪が擦る音。低いうなり声。

 俺はミナとリクを背にかばう位置に動いた。 暗がりの中に、二つの目が浮かんでいた。

 ***

 現れたのは、一匹の柴犬だった。 だが、可愛らしいという言葉は似合わなかった。

 泥と埃でくすんだ赤茶色の毛。浮き出た肋骨。 左耳の先には、小さな裂け跡があった。 尻尾は硬く巻かれ、耳は伏せられている。 牙を剥き、人間の手を恐れるように後ずさる。 外の野犬の声にびくりと震えながらも、それでも群れへ戻ろうとはしなかった。

「危ない、下がれ」

 俺は言ったが、ミナはカメラに伸ばしかけた手を止めた。

 そして、下ろした。 いつもなら何でも撮るミナが、シャッターを切らなかった。

 ミナはしゃがみ込まず、手も伸ばさず、目も合わせすぎず、少し離れた床に保存食をひとつ置いた。 そのまま、何も言わずにその場に座った。

 柴犬は動かなかった。

 何度も匂いを嗅ぎ、食料とミナを見比べていた。

「噛まれるぞ」とリクが言う。

「たぶん噛まれない」

 ミナは静かにそう返した。

 長い沈黙のあと、柴犬は素早く駆け寄って食料をくわえ、また奥へ引っ込んだ。 しばらくすると、さっきより少しだけ近い場所に戻ってきた。 たったそれだけの距離だった。 なのに、その数十センチが、俺には途方もなく重く感じられた。

 信じることと、信じさせることは違う。 この十年、俺はそのことばかりを学んできた気がする。 ミナは前者を、迷いなくやってのけていた。

 ***

「連れていく」

 ミナが言ったのは、外の犬の声が少し遠のいた頃だった。

「無理だ」

 俺は即座に答えた。

「食料も水も余計にいる。車内は狭くなる。病気を持ってるかもしれない。次の集落で受け入れられる保証もない」

「ここに置いていったら、この子は死ぬ」

「世界には、俺たちが救えないものが山ほどある」

「生き残るために、弱いものを全部置いていくの?」

 ミナの声は、叫んでいなかった。

 静かな、確信に満ちた声だった。

「この子を置いていったら、私たちまでこの世界に負けた気がする」

 俺は答えられなかった。

 リクは最初、腕を組んで俺に同意していた。

「まあ、ユウトの言ってることは正しいと思うけど」

 だが、リクの視線は、柴犬の空の餌皿と、左耳の裂け跡と、震える尻尾の先に注がれていた。

 それきり、リクは何も言わなくなった。

 沈黙が答えだった。

「......連れてくなら、餌の量は計算し直せよ」

 やがてリクがぽつりと言った。

 俺はまだ頷かなかった。 けれど、柴犬が自分からミナの後ろに一歩近づいた時、議論はもう終わっていた。

 ***

 外の犬たちはまだ店の周辺をうろついていた。

 正面からは出られない。

 柴犬が店の奥へ向かい、何度か振り返った。 最初、その意味が分からなかった。 だが、柴犬は従業員用の通路へと迷いなく進んでいく。 危険な曲がり角の手前で、ふいに立ち止まり、耳を伏せた。 数秒後、その角の向こうから足音が響いた。 俺たちより先に、危険を察知していた。

 柴犬は戦わなかった。

 ただ一度、ミナの前に立って低くうなっただけだった。 俺たちを守ろうとしたのか、自分の逃げ道を守ろうとしたのか、それは分からなかった。

 リクが非常ベルのスイッチを見つけて叩き、けたたましい音で犬たちの注意をそらす。 その隙に、俺たちは搬入口から外へ飛び出し、キャンピングカーへ走った。

 ***

 車のドアを開けて、ミナが柴犬を呼んだ。 だが、柴犬は乗り込もうとしなかった。 閉じ込められることへの警戒が、まだ強く残っていた。

 ミナは無理に抱え上げなかった。

 自分が先に乗り込み、少し離れて待った。 長い時間をかけて、柴犬は自分から前足を車内にかけた。

「犬まで乗せるのかよ」

 リクがぼやいた。

「燃費の悪い生き物が増えたな」

「連れていくとは言ってない」

 俺はそう言いながら、荷物の奥から古い毛布を出して床に敷いた。 空き缶に水を汲んで、柴犬の近くに置いた。 ミナがそれを見て、口元だけで笑った。

 俺は気づかないふりをした。

 ***

 ペットショップから拾ってきた古い首輪の裏に、薄く「ハチ」と刻まれているのをミナが見つけた。 それが本当にこの犬の名前だったのかは分からない。 別の犬のものだった可能性もある。

「ハチ」

 ミナが試しに呼んだ。

 反応はなかった。

 二度目も。

 三度目、諦めかけた時、柴犬の耳がぴくりと動いた。 覚えていたのか、ただの音に反応しただけなのか、それも分からない。

「じゃあ、ハチね」

 ミナが決めた。

「勝手に決めるな」

「本人が反対してないんだから、いいだろ」とリクが言った。

 ***

 その夜、外では遠ざかっていく犬の遠吠えが聞こえていた。 車内では、拾ってきた物資を三人で整理した。 犬一匹分、計算をやり直さなければならない食料と水の量。

 リクは空き缶を叩いて加工し、ハチのための水入れを作った。

「別に、こいつのためじゃないからな」

 誰も信じていなかった。

 ミナが敷いた毛布の上に、ハチはすぐには乗らなかった。 車内の匂いを何度も嗅いで回り、出入口に近い場所を選んだ。 ミナのそばにだけ、少し近づいた。

 俺が手を伸ばすと、ハチは薄く目を開けた。

 リクが近づくと、低くうなった。

「感じ悪い犬だな」

 リクがそう言った瞬間、ハチの尻尾が一度だけ、床を叩いた。

 俺は燃料と食料の残量を頭の中で計算し直しながら、この選択が正しいのかどうか、まだ分からずにいた。 けれど、眠りかけたハチの浅い呼吸を聞いているうちに、ひとつだけ確かなことに気づいた。 もう、あの子を置いてくるという選択肢は、俺の中から消えていた。

 窓の外では、白く濁った空がゆっくりと夜の色に沈んでいく。 灰色と藍色が、境目もなく混ざり合っていた。

 ふと、運転席の上に留められたままの古い家族写真が目に入った。 この車の元の持ち主が、誰だったのかも分からない。 名前も、行き先も、今はもう誰も知らない。 それでも誰かが、大切に飾っていたことだけは分かる。

 首輪の裏に刻まれた「ハチ」という二文字も、きっと同じだ。 呼んでいた誰かがいた。

 それだけで十分だと、俺は思うことにした。

 その夜から、キャンピングカーには、三人分の寝息と、一匹分の寝息が響くようになった。


あとがきまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

孔雀丸です。


第6章「草に沈む街」、いかがでしたでしょうか。


この章は、書いていて一番「世界が広がったな」と感じた章でした。

これまでは山の中や高速道路が舞台でしたが、ようやく「街」が出てきましたからね。


ビルを覆う蔦や、止まったままの電光掲示板。

開いたままの電車の扉と、改札に立てかけられた一本のビニール傘。


そうした「人だけがいなくなった景色」は、本作の一番書きたい部分です。

廃墟を「破滅の痕跡」としてではなく、「誰かが確かに生きていた場所」として描きたいと思っています。


ユウトが「毎朝同じ道を歩いていた誰かがいたのだろう」と考える場面は、まさにその気持ちを込めたところです。


◆ ハチの登場について


そして今回の最大のトピックは、なんといってもハチです。

柴犬です。

最初は牙を剥いていた子が、ほんの数十センチだけ近づいてくる場面は、この章でいちばん時間をかけて書きました。


ミナは、いつもなら何でも撮るカメラを、あの時だけは構えませんでした。

ただ隣に座って待つ。

それが、彼女なりの「信じる」ということでした。


ユウトは理屈で反対しました。

食料も水も足りなくなる。

病気の可能性もある。

彼の言うことは、きっと正しいのです。


それでも、ミナの

「この子を置いていったら、私たちまでこの世界に負けた気がする」

という言葉には、答えられませんでした。


正しさと優しさがぶつかったとき、どちらを選ぶのか。

そこに、ユウトという少年の不器用さが一番よく出ていたのではないかと思います。


あと、リクです。

「別に、こいつのためじゃないからな」

と言いながら、空き缶で水入れを作ってしまうあたり、彼の素直じゃない優しさが出ていて、書いていてニヤニヤしてしまいました。

誰も信じていませんでしたが。


そして、ユウトがこっそり毛布を敷いて、水を置いていたことも、ミナにはしっかりバレています。

ぶっきらぼうな人ほど、行動がうるさいものです。


◆ 薬の瓶について


もうひとつ、さりげなく入れた場面があります。

モールの薬局跡で、ユウトが言った

「知識がないと、宝の持ち腐れだ」

という一言です。


棚には薬が残っているのに、誰もその使い方を知らない。

この小さな引っかかりが、次の章につながっていきます。


◆ 次回予告


さて、五人と一匹の旅は、あと少しで揃います。

今はまだ、三人と一匹ですね。


次回、第7章は

「医療少女アオイ」

です。


ユウトたちがたどり着くのは、白い雨の影響で病んだ人々が暮らす避難集落。

そこで出会うのは、静かな声で、鋭い言葉を使う少女です。


毒舌と優しさが同居する、白石アオイの登場をお楽しみに。

それと、白い雨の気配にも、ご注意ください。


ハチの反応には、いつも以上に目を配っていただけると、より楽しめるかもしれません。


もし「ハチかわいい」「リク素直になれ」「ミナ、あとで話をしよう」など、思うところがありましたら、感想欄でこっそり教えていただけると、とても励みになります。


ブックマークや評価も、書き続ける大きな力になっています。

本当にありがとうございます。


それでは、また次の章でお会いしましょう。

終末の旅は、まだ続きます。


孔雀丸

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