表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忠犬むぎは、夜に鳴く  作者: 優木凛々
第2章 変化

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/28

解決……らしきもの

 

 結月が紛失したGPSが、莉子の鞄の内ポケットから出てきた、翌日のお昼ごろ。


 たくさんの学生が行き交う大学のキャンパス内を、莉子が1人とぼとぼと歩いていた。

 今にも降り出しそうな空を見上げ、軽くため息をつく。



(疲れた……)



 昨晩は、GPSや結月について色々考えてしまい、あまりよく眠れなかった。

 お陰でかなりの寝不足だ。



(とりあえず、なんか食べるか……)



 莉子はフラフラと学食に向かった。

 うどんを頼み、食堂の隅に座ってもそもそと食べる。

 するとそこへ――



「あ、莉子いた」



 声がして振り向くと、そこにはランチのお盆を持った、れい奈と悠斗が立っていた。

 2人とも、どこか心配そうな顔をしている。


 悠斗が莉子の正面に座りながら口を開いた。



「昨日、大丈夫だった?」



 2人には一応LINEで「たぶん大丈夫」と送ったのだが、あまり大丈夫そうではなかったらしい。


 莉子はため息をついた。



「隣の子に確認して、GPSが本人の物だって分かったんだけど……“なんで持ってるの?”って言われちゃってさ」

「え?」



 目を丸くする2人に、莉子は昨日の出来事をかいつまんで説明した。


 結月がGPSを紛失したこと。

 探しても見つからず、新しいGPSをランドセルにつけていたこと。

 紛失したGPSが、莉子の鞄の中に入っていたこと。


 話をしながら、莉子はため息をついた。



(いや、もうマジで意味が分からない)



 思い当たるとすると、夏休みに結月と一緒に出掛けた時に入ってしまったくらいだが、

 夏はこの鞄を使っていなかった。


 もしも誰かが莉子に気が付かれず鞄の中に入れようとしたら、

 莉子の部屋に侵入してこっそり鞄に入れくらいしか方法が思い浮かばない。



(さすがにそれはないよね……)



 そして、莉子が話を終えると、悠斗は腕を組んで考え込んだ。

 しばらく黙った後、口を開く。



「もしかして、莉子が自分で拾ってカバンに入れたんじゃないか?」



 莉子は思わず目を見開いた。



「え? 私が?」

「文化祭の打ち上げの時さ、帰った記憶がないって言ってたよね」



 れい奈も「私もそれ思った」とうなずいた。



「莉子って何でも鞄に詰め込むクセあるし」



 2人の言葉に、莉子は思い出した。

 そういえば、文化祭の打ち上げでみんなと飲んだ後、どうやって帰ったのか全く覚えていない。

 他にも、母親と外食に行って、しこたま飲まされて帰ってきたこともあるし、バイト先からフラフラになりながら帰って来たこともある。



(……確かに、あの時拾ってたら、覚えてなさそう)



 れい奈の言う通り、なんでも鞄に入れるクセがあるから、

 もしかして、拾って無意識に鞄に入れたのかもしれない。


 直樹がGPSを探しても見つからなかった理由は分からないが、

 たまたま電波を遮断する場所にいたのかもしれない。



(もしかして、これかも。――というか、他に考えられない気がする)



 莉子が合点がいった顔をしていると、横にいたれい奈が少し残念そうな顔をした。



「解決して良かったけど、怪奇現象じゃないのが残念」

「いやいや、GPSが絡んだら怪奇じゃないから」



 悠斗が苦笑いする。


 2人のやりとりを聞きながら、莉子は胸を撫で下ろした。

 自分で拾って入れたという線が一番ありえる気がする。



(とりあえず、良かった……)



 結月のGPSということは、犯罪絡みではなさそうし、

 とりあえず何となく原因が見つかって良かったと思う。



(となると、問題は結月ちゃんか……)



 莉子は昼食を食べながら、手元を見つめた。


 昨日、結月が大きな声でむぎと話したり笑ったりしていた様子は、普通ではなかった。

 声も大きかったし、ケタケタという甲高い笑い声が、耳に残って離れない。



(でも……よく考えたら、結月ちゃんって、まだ7歳なんだよね)



 確かに普通ではない光景ではあったが、その後のやりとり自体は普通だったし、7歳の子どもだと思えば、そこまでおかしなことではないのかもしれない。



(まあ、あのぬいぐるみは、気持ちが悪いけど……)



 ぬいぐるみがイマジナリーフレンドになると、ああいう感じになるのだろうか――そんなことを思いながら、昼食を完食する。




 ――その後、莉子は午後の授業に出ると、眠い目をこすりながら、そのままバイトへ向かった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ