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クラス転移に巻き込まれ用務員は魔力が0だった。  作者: ぐっちょん


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第23話

 ゴローの生活スキル

【ファイア】火をつける

【ウォーター】水を出す

【ウインド】そよ風をおこす

【ロック】岩を出す

【ライト】光を出す

【ダーク】暗くする

【アイス】氷を出す

【スタン】気絶させる

【ケア】治療する

【クリーン】綺麗にする

【リペア】修理する

【ポーチ】財布程度の容量のアイテムボックス

【クリンケア】病気の少女を治した

【クリンライトケア】黒い何かを消す


————

——


「おお!」


 ——思ってたよりも立派だ。


 2日目の夕方には無事目的地にたどり着いた。

 正確には魔の森を監視するために作られたらしい砦にだけど。


 この砦は、今回の任務にあたる王国騎士団の方々全員を収容しても問題ないほど大きく、頑丈そうな防壁もあって安心した。


 門扉を潜り砦の敷地内に入ると、常駐している兵士さんと商隊(快楽街の組もここに所属)の代表者らが何やらやり取りをしたあとに指定された場所に移動する。


 俺はその指定場所は知らないけど、馬車に乗っていれば迷うことなく到着するはずなので、外の様子でも眺めておこうかな。


 ——へぇ。


 敷地内には洗濯物(シーツや男物の衣類)が干してあったり、畑があったりと、意外と生活感があふれていて、思っていた感じと違うけどこれはこれで見ていて楽しい。


「こちらに常駐されている方は、いざという時のために魔力を温存しているそうですよ」


 俺が洗濯物に目を向けていたら隣に座っているシエラさんが(俺側の外を見るために)こちらに身体を寄せてきた。


「な、なるほど」


 シエラさんたちの距離感は近い。彼女たちにとってはそれが普通なのだろうから、いい加減慣れないとだけど……美人だしお色気ムンムンだし……どうしても意識してしまう。


 ——や、柔らか……じゃなくて。


「そ、それで外に干してあるんですね」


「ふふ。そのようですよ」


 俺の反応を見て楽しんでいるような気もしないでもないけど、そういえば俺って、クリーンスキルが便利すぎて、この世界に来てから一度も洗濯したことなかったな……


 ——あれ? じゃあ、あの量を全部手洗いしたってことか……


 大量のシーツに男物の衣類が少し。シーツには所々汚れが残っていて、慌てて洗ったのか、それとも雑に洗ったのか……人の粗探しはよくないと思うけど、あれはどう見てもダメな方だと思う。


 ——うわ……


 あっちのなんてめちゃくちゃ汚れが残ってるじゃないか。ただ濡らしたって感じ。


「さすがにあれは怒られませんか?」


「それは……こほん。ゴローさんはあまり気になさらなくてもいいと思いますよ」


 シエラさんのその反応、シエラさんの目から見てもアウトだと思ったのだったのだろう。


「ま、まあ。人手不足なのはわかるけど、昨日今日の話しじゃないだろうから、しょうがないさ」


 目の前に座るマキナさんもちょっと苦笑い。

 ということは、あれは今日から滞在する騎士団が使用する分なのか。かなりの量だもんな。


 しかし、あの量を今から取り込んでベッドに敷くとか、もう夕方なのに間に合うのかな?


 俺は忙しそうに駆け回っている兵士さんたちを見て同情してしまった。いや、前言撤回。


 ここの兵士さん、鼻の下を伸ばしながら娼婦さんたちが乗っている馬車に向かって手を振っているじゃないか。

 ただ単に、娼婦さんの事が気になって仕事(洗濯)に集中できていなかっただけなんじゃないか。なんとなくそれが正解のような気がしてきた。


 ちなみにここに常駐している兵士さんの中に女性はいないらしい。


「今日は忙しくなりそうね〜。そういえば、毎年そういった雑務を請け負う商会がありますから、そこに任せるつもりでいるかもしれませんね〜」


 カナデさんが思い出したように教えてくれる。

 たしかに、あの様子では仕事も捗らなさそうだし、そんな商会があるなら諦めてあとの事は商会の方(業者)に任せた方がよさそうだね。


「あれ? 建物がある」


「はい」


 俺たちの指定された場所には、他の商隊の人たちと少し離れた位置に長屋が数棟建っていた。


 俺たち男娼が使う長屋は1番端にある1棟のみで、あとは娼婦さんたちの長屋になる。


 規模は小さいけど歓楽街っぽく見えてちょっと驚いた。


 他の商隊の人たちが使う長屋(仮設店舗)と少し離れている理由も、長屋の中を覗いて分かったよ。


 ここの長屋は壁がとても薄かったんだ。テントよりマシだけど、たぶんえちえちの声が外に漏れるだろうと思うほど薄いのだ。


 ウチ(男娼館)や娼婦さんにとっては声が外に漏れて、えちえちな気分になったお客さんが我慢できずに来店してくれればラッキーだけど、周りの商会にとっては迷惑でしかないからね。

 だからこそ、こんな位置関係になったのだろう。


「シゲさん」


「おお、ゴローか」


 ほぼ一日振りにシゲさんたちと合流した。道中は元気になった身体を鎮めるために、率先して(癒しを求めて)馬たちのお世話をしていたからね。


 そのおかげでホー、スーの他にもウーやマーなど、歓楽街組の馬車を引いていたほとんどの馬(馬車馬)とは仲良しになった。


 馬って本当に賢くて、俺が名前を呼ぶとちゃんと来てくれるし、着いて来てっていえば普通に着いて来てくれるんだ。


 ただ、その後に背中に乗れって頭や顔をくっつけてきたり、俺の顔をベロベロと舐めてきたりと大変なことになるんだよ。まあそれがまた可愛いんだねどね。

 いつまでも元気でいてくれるようケアスキルはかかせないな。


「俺も荷物を運びます」


「いや、ゴローはそれよりも先にクリーンを頼みたいんじゃが」


 ハンゾーさんや、コジュウさん。他のみんなが馬車から荷物を下ろしていたので、それを手伝おうとしたけど、そういう事なら。


「うわ」


 先ほど中を少し覗いた時には、日が沈みかけていたこともあり薄暗くて気づかなかったけど、ライトスキルをつかって中の方を照らして見てびっくり。


 ホコリがすごい。ライトスキルの光を照らしたことで舞い上がったホコリがハッキリと見える。


 俺は思わず口元を押さえ、すぐにクリーンスキルを使った。


シュパーン


 一瞬で部屋の中が綺麗になった。と思ったけど、ライトの光が1つだけだと暗くて見えていない部分の認識が甘かったらしくてホコリが少し残っていた。


「うーん」


 他の長屋のクリーンもしたいからできる限り急ぎたいのに、これでは時間がかかる。


 シエラさんたちには馬車に乗せてもらい昨夜はテントも使わせてもらった。少しでも恩を返したい。


 ——ライトの光って増やせないのかな?


 できない時はスキルが発動しないだけだし、ものは試しとばかりに、部屋の天井いっぱいに小さな光が出るようにライトスキルを使ってみる。


「うわっ」


 スキルは発動した。めちゃくちゃ明るい。明るくなりすぎてホコリが見えない。


「ゴロー!」

「何があった!」


 しかも、シゲさんや、ハンゾーさん、コジュウさんっていうか、男娼館のみんなが慌て中に入ってきた。これは申し訳ないことをした。


「ゴローよ、心臓が飛び出るかと思ったぞい」

「まあ、無事ならいいんだけどよ」

「何もないならそれでいい」

「ゴローはどこでも人騒がせなやつだな」


「お騒がせして、すみません」


「よいよい、それでのゴロー……こほん。灯りが必要な時はここに火を灯せばよいぞ」


「ええぇ……」


「ふぉふぉ」

「ふっ」

「くくく」

「あはは」


 なぜ気づかなかったのだろう。よく考えれば分かる事なのに。みんなから笑われてるし、すごく恥ずかしい……


 シゲさんに言われたとおり、設置された器具に火を灯せば部屋の中が普通に明るくなったよ。


 ま、まあ、ライトもイメージさえ固めれば何個でも出せると分かったからヨシとしよう。


 それからは作業も捗り、俺たちが使う長屋の掃除が終わった。


 分かっていたけど、所々傷んでいるところがあったのでリペアスキルを使って修繕したけど、黒いもぞもぞも今までの比ではないほど、見かけたのでクリンライトケアを使って消していたら結構時間(体感30分)がかかってしまった。


「シゲさんその、すみません。俺、他の長屋の掃除を手伝ってきてもいいですか?」


「うむ。大変じゃろうから、そうしてやってくれるか」


「はい」


 シゲさんや他のみんなに頭を下げてから、シエラさんたちが使う長屋に顔を出すと、みんなでクリーン魔法を使って長屋を綺麗にしているところだった。


「シエラさん」


「ゴローさん?」


 魔力を使いすぎても夜の営業に差し支えるので、雑巾や箒なんかも準備しているようだった。

 

 どこの娼館も、今日のところは一棟だけ使えるようにして本格的な営業は明日からにするつもりらしい。


「そうだったんですね」

 

 そんな話を聞いたけど、せっかくだから、やれるところまでやってしまおうと1人で作業を再開始する。


 どこの長屋も同じような有り様で、ホコリや傷みがすごいし黒いもぞもぞもたくさんいたけど、俺はスキルを使うだけなので大変という感覚はなく、普通に楽しい。


 作業中、シゲさんやシエラさん、カエデさん、マキナさんが入れ違いに差し入れを持って来ては俺の作業を眺めていくから、ちょっと気恥ずかしかったけど、男娼館を開ける時間までにはどうにかすべての作業を終えてホッとしたよ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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