第18話
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「ごろー、あ〜そ〜ぼっ」
「おっ、リリちゃん。いいぞ何して遊ぶかい?」
「しゅべりだい!」
「滑り台か。いいね」
「だめ〜ごろ〜はあたちとあそぶの」
「ん? カナちゃん、いらっしゃい。じゃあみんなで遊ぼうな」
「あ〜あたちもあぞぶ」
「ぼくも〜」
わらわらと集まってくる小さな子どもたちに囲まれている俺。またまたモテ期。なんてね。
ここいるほとんどの子たちは快楽街で働いている人たち(娼婦)の子どもだ。
出会った当初は、髪はボサボサで服もぼろぼろ。食事も満足にとれていなかったのかガリガリで不健康そのものだった。
俺がクリーンで全身を綺麗にしてケアで病気を、リペアでボロボロだった服の解れを直してやり、小麦粉と卵だけで全然甘くないパンケーキもどきを作って食べさせてやったら、あっという間に懐かれてしまった。
男娼の俺は住み込みだから賄いもあるし、報酬から天引きされるけど着るものだって申請すれば翌月には支給される。
普通に生活する分にはまったく困らない。
ただ俺の場合、金額が金額だし、自分を買い戻す気にはならない。でも、かといって特に欲しいものがあるわけでもない。
あの後一人で見に行った魔導具も家電みたいで面白かったけど、生活スキルのある俺にはそれほど必要とは思えないし、一つひとつが、かなり高価だったため、すぐに購買意欲が消えてしまったんだ。
その事をシゲさんに相談したら、男娼館の裏手にある荒れ地の一部をなぜかオーナーから購入する流れ(毎月報酬から天引き)になっていた。
ちなみに男娼館の裏にある荒れ地はかなり広く、購入して俺の土地となったその一部だけでも300坪(25mプール3つ分)くらいはあった。
懸念があるとすれば、他人の敷地(オーナーの男娼館)を通らないとこの土地には来れない死に地であること。
でもそんな事あまり気にしていない。この世界では区画整理があまり進んでおらず、こんな土地がたくさんあるらしいから。
意図せず俺の土地になったけど、今では購入して良かったと思っている。
一部は野菜の種を買ってきて畑にした。近くに水源がないため畑には適していないようだったけど、俺には生活スキルのウォーターがあるから問題ない。
一部はロックの練習をして色々な形の岩を出しては消して、スキルの練習に使っていた。
そんな時だ。どこからともなく現れたのが子ども集団。
俺がロックスキルで岩を出したり消したりしているのが面白かったらしい。
子どもの集団から一斉に声かけられた。まあみんなが一緒になって喋るので何を言っているのか分からなかったんだけど。
しかも、引っ張るし、しがみつかれるし、俺は一瞬にして揉みくちゃのボロボロにされてしまったんだよ。
しばらくもみくちゃにされていたら、1番年上らしき11歳くらいの女の子ララちゃんが子どもたちを落ちつかせてくれて助かった。
子どもたちは、どうやら遊び場と食べ物を探しながら冒険者ごっこをしていたらしいのだ。
よく男娼館の裏手にあるここを見つけたものだと感心したよ。
子どもたちが元気に騒いでいたから気づくのが遅れたけど、冷静に状況を理解してくると、すぐに子どもたちの健康状態が悪いことに気づいた。
それでクリーンをしてケアをしてリペアをしてホットケーキもどきを作ってやったら懐かれたんだよ。
懐かれると可愛くなってきて、気づけばロックスキルを使って滑り台や、高さが大人の胸あたりまでしかない小さな迷路を作ったり、ロープと細めの板を買ってきてブランコを使ったり、子どもの遊び場を作っていた。
そして、今日は休憩するための屋根付きのベンチやテーブルなんかをロックスキルで作くれないかと色々試していたんだ。
暑い季節(時期)があるのならプールなんかも作ってみたい。
「ごろ〜ぐるぐるのしゅべりだい、いこ」
そう言って手を繋いでくるリリちゃん。
「かなも……」
反対にはカナちゃんの小さな手が……レイラさんとアイナさんだったら両手に花だ……なんて贅沢な妄想をちょっとだけしていると、
「カナちゃんは俺とあそぼ」
6歳くらいのヤンチャそうな男の子たしかカンタくんだったはず、が割り込んで来きて、俺の手にあったカナちゃんの手をとりしっかりと握る。
たぶん、この子はカナちゃんの事が好きなのだろう。微笑ましい。
「むっ」
おっとカンタくんに睨まれてしまった。
——しかし、昨日よりも増えてないか?
子どもたちの集団に出会ってからというもの、日に日に、ここに来る子どもが増えている。
最初こそ10人くらいだったのに今日は倍くらいいるんじゃないか? 身なりは同じ感じだね。
——初めて来た子にはクリーンとケアとリペアは必ずするとして、ポーチスキルの中に用意していたホットケーキもどきは足りそうにないから半分ずつになるな……
俺は魔法が使えないから分からないけど、この世界にはクリーンという便利な生活魔法があるけど、生活魔法は魔力の消費が激しいらしく、そう何度も使える魔法じゃないとみんなからよく聞く。
でも稼がないといけない娼婦さんは魔力がなくなっても仕事を続けてしまうのが現実らしく、その結果、避妊が不十分で子どもができてしまうことも多々あるのだとか。
しかも、そのほとんどがある一定の年齢がきたら売られてしまう子がほとんどで、ララちゃんより上の子を見かけないのはそのため(byシゲさん)。俺はこの世界の事を何も分かっていなかったよ。
ちなみにシエラさんのお店ではそういった管理がキチンとされているらしく子持ちの娼婦さんはいないらしい。
まさか、子どもの遊び場になるとは思っていなかったけど、楽しそうにしている子どもたちを見ると癒されるしこの土地を買って良かったと改めて思う。
たまにケガをする子どもがいるから目が離せないけど、そのうち秘密基地みたいな小さな小屋を作っておけばいざという時の避難場所(逃げ場)にもなるかな……とか勝手に考えている。
それからへとへとになるまで子どもたちと遊び、男娼館の方に戻ったところでシゲさんに呼び止められた。
「ゴロー、軍から要請があってな、明後日から魔の森の遠征についていく事になったぞい」
「魔の森の遠征? ですか」
シゲさんの話では、俺の住んでいる王都から馬車を2日ほど走らせた先にはダンジョンとは別に魔物が生息する魔の森があり、そこには強力な魔物の発生を抑えるための魔石が設置されているらしいけど、3年に一度はその交換をする必要があるらしく、俺たちはその遠征についていくらしいのだ。
それで、なぜ俺たちがついて行く必要があるのかというと、魔物との戦闘行為(魔物討伐)は生存本能を強めるらしく、その結果普段よりも性欲が増してしまう。
自分の性欲をうまくコントロールできる方もいるようだけど、そんな人たちと同じくらい性欲をコントロールできない方もいるらしいのだ。
それで俺たちはその捌け口要員って訳だ。
このような要請は定期的にあるらしくうち(男娼館)だけじゃなく複数の娼館にも声がかかっているそうだ。
ちなみに娼婦は男娼の3倍は必要になるらしく、大変そうだと思ったけど、割増料金のうえ出張手当なんかもつくからみんな喜んでついて行くらしい。
「えっと……期間は10日くらいですか」
「そうなるの」
遠征から帰ってきたレイラさんとアイナさんは毎日のように来てくれていたが、定額料金を更新してもらったばかりだった。
——レイラさんとアイナさんになんて説明しよう……
うまく説明ができるのか不安になり俺は頭を抱えたよ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




