第10話
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最近の俺はたぶんモテ期だ。
レイラさんだけじゃなくアンナさんまでもが俺を指名してくれるようになったんだ。
ちなみにアンナさんとは、酷い火傷をしていた女性だ。たぶんレイラさんと同じ冒険者だと思う。
冒険者風の格好をしていて肌は日焼けして褐色、あと引き締まった身体には小さな斬りキズがたくさんあったし、自分の事を「あたい」って言っていたから勝手にそう思ってるんだけど、よく考えたらレイラさんも俺が勝手に冒険者だと思っているだけなんだよな。
レイラさんの肌は白くて綺麗な青髪のセミロングだけど身につけていた服装でそう判断したんだっけ。
美人さんだから冷たそうに見えるけど、それは見た目だけですごく優しくて俺は大好きだ。
アンナさんは少し癖っ毛の赤髪でショートカットにしている。
顔立ちは整っているけど姉御って言葉がしっくりくる豪快な人だ。
それでいて、お胸様はレイラさんと同じくらい大きくスタイルも良いから普通にモテそう。
ほら、冒険者って荒々しい男性が多いイメージがあるから、女性の冒険者はすぐに目をつけられそうじゃない?
あ〜でもアンナさんもレイラさんと同じく俺とのえちえちが初めてだったから、そんな事ないのか……思い込みで勝手に悪いイメージを待つとかよくないな。すぐに反省したよ。
「ゴローこれ今月分な。あたいが来た時にはちゃんと相手するんだぞ」
——あ……
ふと、昨日のアンナさんの言葉を思い出した。
それは昨日のアンナさんはとても機嫌がよくて、突然俺との時間をキープしておくと言ったのだ。食事や酒代は別として。
そんなルールなんてないから、驚いたけど、その気持ちはとてもうれしい。
だからすぐに、来ない日もあるからやめた方がいいって言ったんだ、でも、気にするなってお金を置いてさっさと帰ってしまった。すごく困ったよ。
オーナーはたまにしか来ないから管理をしているシゲさんにその旨を伝えはしたけど、よかったなと笑うだけし、とりあえずお金はアンナさんの分だと分かるように帳簿に付けてから金庫に保管してもらった。
「ゴローっ。今日もよろしく頼む」
そして、まさかその後に来店してくれたレイラさんも、同じような事をするとは思わなかったけどね。
2人とも金貨60枚ずつ、来れない日だってあるはずなのに置いていったんだよ。
とりあえずアンナさんと同じように、レイラさんの分だと分かるように帳簿に付けてから金庫に保管してもらった。
その後、なんとなく思いついたことをオーナーが設置している意見書に投函したんだよね。
月額の料金を設定してくれないかとね。お店が稼ぎの半分、金貨30枚をとるとして俺の報酬分を5枚から10枚くらいにしてやれないかとね。
そうすれば月額35枚とか40枚ですむことになり彼女たちの負担も減るだろう。
俺の意見が通ればの話だけどね。どうだろう。ダメかな。ダメっぽい気もするけど、俺も彼女たちのことを好きになっているから負担はかけたくないんだよね。
自分でも分かっている。俺はちょっと良い関係になっただけですぐに好きになるチョロ男だってことを。
すぐに情が湧く俺にこの商売は向いていないことも。でも仕方ないよね。今さら性格と仕事は変えられないんだから。
正直、自分の買い戻しは諦めている。
でも、ここに居れば家賃や食費はかからないけど居酒屋のマスター(勝手にそう思っている)の手当(金貨10枚)があれば俺は十分生活していけるからね。
そんな俺は今、料理の研修をしている。きっかけは本屋で料理本を買ったからなんだけど、来店してくれたお客様にもっと美味しい料理を提供したいと思った、というのは建前で、本音は俺を指名してくれる2人の笑顔を見たいから。
普段の彼女たちはキリッとしているんだけど、美味しいモノを食べている時の表情はとても可愛いんだ。
もちろん、えちえちも満足してもらえるように頑張っているつもり。
ついでに、次の日も元気に活動できるように全力のケアも欠かさないし、ちょっとした病気やかすり傷だって残すつもりもない。
お肌も艶々ハリハリにして、彼女たちの命を守る装備品にもこっそりリペアをして無事に帰ってきてくれるのを祈っちゃうよ。
ここでは凝った料理は出せないから、なるべく簡単なメニューで美味しい物を考え中だ。
——ん?
新メニューを考えていると、管理人のシゲさんが1人で寝具を運び出しているのが見えた。
「シゲさん手伝いますよ」
「おや? ゴローか」
「はい。これを運ぶんですね」
この寝具は元々壊れていて倉庫にしまっていたものを俺がリペアで修繕したものだった。
「倉庫に寝かしておくのはもったいないからのぉ」
オーナーは男娼館だけでなく娼館も何件か運営しているようで、そちらで使用することになったらしい。
リペアスキルも優秀なんだよ。痛んでボロボロの状態でも新品に近い状態まで修繕しちゃうんだ。だから面白くて張り切っちゃたんだよね。
気づいた時には倉庫の中の物が全てピカピカになっていたっけ。
「運ぶなら言えよ」
「ん? あ、コジュウさん」
シゲさんと2人で、えっちらほっちら寝具を馬車の荷台へと運んでいたら、男娼の1人、コジュウさんから声をかけられた。
コジュウさんはワイルド系のイケメン男娼だ。
ハンゾーさんは魔性の男ですごくモテるけど、ワイルド系イケメン男娼のコジュウさんも指名がない日を見たことないくらいすごくモテる。
そんなコジュウさんも鎖骨と両肘が砕けていて両腕を無理して動かす度に顔を歪めていた。
職場環境と人間関係を良くしたい俺は、ケアスキルを使ってさくっと治したんだよね。
目つきが鋭く言葉遣いが少し乱暴だから勘違いされそうだけどとてもいい人。
まあ、俺自身がケアスキルを使った時に睨まれた気がして反射的に謝ってしまった経緯があるからそう思ってるんだけどね。
「貸せよ」
俺とシゲさんの2人で抱えていた寝具をコジュウさんが奪うように1人でヒョイっと軽く抱え上げた。イケメンなのに力持ちってずるいね。
「コジュウさん、ありがとうございます」
「気にすんな」
コジュウさんが手伝ってくれてからはペースが一気に上がった。
馬車に積めるだけ積んで早速娼館に向かおう。
暇だからとコジュウさんも着いて来てくれた。
俺とシゲさんだけだと娼館に運び込むにも時間がかかるからこれはありがたい。
「おお」
ここが娼館か。歓楽街にある娼館は俺たちの男娼館よりもかなり大きくて立派な外観をしていた。
昼間なので建物の古さを少し感じるけど、リペアとクリーンを使えば問題ない。はい、綺麗になったよ。
「おいゴロー。お前何をやっている」
「あっ」
つい、いつもの調子でやってしまったよ。コジュウさんは呆れた顔をしていたが、やってしまった感がある俺は背中に冷や汗が。
どうしようと思いつつシゲさんに視線を向けると、
「ほほう。これまたすごいのぉ。ゴロー、いい事したんだ気にせんでええ」
シゲさんは人好きのする笑顔を浮かべて親指を立ていた。よかった怒られるかと思ったよ。
「ゴロー早く乗るんじゃ。裏口の方に回るぞい」
「え? あ、はい」
よく考えたら表から搬入するわけないか。
すぐに馬車に飛び乗ればシゲさんが、裏口の方に馬車を回してくれたのはいいが、
「あ゛あ゛んっ。んだテメーらは!」
怖そうなお兄さんたちに囲まれてしまった。
「お疲れお疲れ。お邪魔するぞい」
「こ、これは、失礼しました」
でも、シゲさんの顔を見たら驚くような速さで道を譲ってくれたけどね。
ホッとしたけど、怖そうなお兄さんたちが頭を下げてるシゲさんって実は偉い人だった?
「ワシは男娼館の管理人じゃから顔を覚えられているだけのことよ。
ゴローもちょくちょく来ていれば同じようになるて」
「そう、なんですか」
「うむ」
シゲさんは自信満々に頷くけど、コジュウさんはくつくつと笑っているんだよね。
たぶん怖そうなお兄さんに腰が引けてびびっていたのが見られていたのだと思う。
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