【現代異世界編】ちいちゃんの32歳異世界魔法大学デビュー2
「日本国海上自衛隊所属 吉野千尋三佐です。」
ここは魔法大学の大講堂 第125期の入学式後のオリエンテーション
一度日本へ帰り、千尋の両親に源吾を紹介した後に、またサツマ帝国へ戻った、この時まだ結婚前である。
千尋の父は異世界の事を知っていた、
最高機密の漏洩に玉利をはじめ政府関係者は驚いたが、吉野の若のひ孫である
千尋の父が知っていてもおかしくはないと問題にはならなかった。
母は必死に反対したが
千尋は源吾に惚れたのではない、異世界の空に惚れたんだと。
箒乗りについて熱く語る千尋を見て諦めた。
この時横にいた、源吾の顔は少し複雑だった。
*
話は冒頭に戻る。
高校卒業後 航空学生ルートでパイロットになった千尋にとって32歳での大学生デビューである。
大講堂にはだいたい200人ほどの新入生
ここにいるのは箒乗りだけではない。
魔法に関する研究員を目指す者、
従軍後の学びなおし、魔法系の兵器メーカーからの出向で学生をするもの
貴族が箔をつけるために、花嫁修業代わりに入学など
各生徒のバックグラウンドは様々である。
挨拶の壇上で、この時魔法制御が出来ていなかった、千尋
尋常じゃない魔法の気配が漏れ出し、生徒200名と教職員を無意識に威圧感を放っている。
大講堂でのオリエンテーションの後、箒乗りの教室
千尋は悪役令嬢に噛みつかれる
「最初挨拶から魔力による威圧とか、初代皇帝の出身地か何か知らないけど、地球の礼儀は野蛮だこと」
この悪役令嬢 北海貴族のユジュヌィ・オストロフ家の長女 シトコ
西郷らが明治の日本から、迎えた不平志士の由来ではない、在来異世界の貴族様である。
不平志士にルーツを持つ軍人や、貴族は日本からきた千尋に一定の敬意や配慮を持つが、
異世界の在来貴族や、獣人らは、特別な感情を持たない、
むしろ千尋は初代皇帝西郷の出身地からきた
侵略者サイドの人間というのが、在来の貴族の千尋への扱いかもしれない。
そんな、事情など知らない千尋は、こちらに来る前に予習として読んだ異世界転生ものの小説
で学習したワード悪役令嬢という括りにシトコをカテゴライズした。
魔法の世界なら、魔法でコテンパンにすればよいのではという、千尋の悪い思考の癖が発動した。
彼女はどんな小説を読んだのか、それは読者の皆様の想像に任せるとして
シトコを睨んで、魔法を飛ばした。
「おい、そこの地球人、シトコ様に、なんて目を、恐ろしいですわ。」
シトコの取り巻きと思われる貴族令嬢が、シトコの代わりに千尋へ文句を言いに来る
よしておけばいいものを、婚約者は初代皇帝の玄孫と知ったら、気絶するぞ。
千尋は言わない、実力でわからせればいいだけである、それまで日本の海でしてきたように。
こっちの空でも自分よりも二回り年下の悪役令嬢相手に
千尋は全力で青春を満喫するつもりだ。
*
最初の授業、歴史が終わった、ちなみに授業内容は初代皇帝が薩摩帝国に来るまでだ、
「では、この初代皇帝陛下西郷吉之助の親友の名前は?」
「ではシトコさん」
「大久保利通ですわ。」
誇らしげに回答をするシトコ、なぜか千尋を睨んでいる。
千尋に褒められたいのであろうか?
「では、この旧薩摩藩士の移民事業のための潜水艦を作った、この人物の名前は?」
「では千尋さん」
「吉野の若こと島津重明です。」
「正解です。さすが初代皇帝陛下の故郷から来られただけあって、よくご存じですね」
千尋が誇らしげな顔でシトコをみる。
*
「おい、日本人、島津の若とか、サツマ帝国が、どうしようもなく、芋臭くなった元凶
とかどうでもいい人物知っているからって誇らしげに答えて、さぞいい気分だわね」
シトコの取り巻きの令嬢が、因縁をつける、
千尋のご先祖様なので、思うことはあるが、千尋が参考にした異世界転生小説の主人公は
そんなこと言わないと考える千尋
「向こうでは小さな子供でも知っている、常識だわ、それよりも、早く箒で一騎打ちしたいわ、
それまでに、箒で私に負けたときにショックを受けないよう
イメージトレーニングを毎晩欠かさずにね、おほほほほ」
もちろん、日本の小さな子供は誰も知らない。
知っているのは歴史に詳しい者と、ミリオタぐらいである。
源吾から「お願いだから目立たないでくれ」と言われたことは忘れたのか?
悪役令嬢に悪役令嬢でぶつかる謎ムーブを行う千尋。
一体どんな小説をよんだのだろうか?
*
「あの、向こうの空ってどんな感じですか?」
隣の席に座るサビトラ柄の獣人、キノカワ・ミミが話しかけてくる。
「向こうは魔法がないから、箒で飛べないの、大きな飛行機という乗り物に
チームで乗って、潜水艦狩りをするの。」
「へ~そうなんですか、千尋さん、ちーちゃんって呼んでよいですか?」
「え?何でもいいけど、じゃあ、私はミミと呼ぶけどいい?」
「いいですよ、それにしてもちーちゃん、魔力量すごいですね、
箒のレースに興味はありませんか、山の中をすごい速度で駆け抜けるの」
ミミは箒ジャンキーっぽい、あの中村と気が合いそうである。
「え?いいや、危ないよそんなことしたら、脳を魔力で焼いて病院送りだよ」
「音速の魔女ってご存じですか?ちーちゃん、獣人って魔法の匂いがわかるんですよ、
あんな上質な魔力の匂い、忘れられませんわお姉さま」
さっきちーちゃん、と呼んでいいですか?と聞いたばっかりなのに
いきなりお姉さまと呼び出したが…
ミミも貴族である、人心掌握術の心得はあるようだ。
*
一ヶ月後、お姉さまのひざの上にミミが乗っている、
千尋は、ミミを撫でまくっている、
弱みを握られてしまったようだ、
こうしてモフリストの才能は弱みを握られたことにより開花してしまった。
「ど、ど、どういうこと?のいま授業中ですのに」
シトコと取り巻きたちは混乱している。
さすがにシトコたちの反応は正しい。




