【現代編】自称ミネアポリスから来た男1
千尋が魚雷でラプターを撃墜した数か月後。
海上自衛隊鹿屋航空基地。
千尋は、基地の偉い人の部屋に呼び出されていた。
用件は、ミネアポリス――正確にはアメリカの士官学校から来たという技官の世話係をしてほしい、というものだった。
顔合わせの場に現れた男は、身長百七十八センチ、いや百八十センチほどだろうか。
すらりと背が高く、そこそこ整った顔立ちをしている。
ただし、どう見ても日本人顔だった。
千尋は一応、英語で話しかけた。
「Hello. Nice to meet you.」
すると男は、にこりと笑い、背筋を正した。
「教官殿。お初にお目にかかりもす。わっぜぇ、よかおごじょでごわすな。よろしくお願い申し上げもす」(教官殿始めまして、とても良い女性ですね。よろしくお願いいたします。)
千尋は、三秒ほど黙った。
そして、心の中で断定した。
――こいつ、ミネアポリスから来てない。
なんでも、鹿児島からの移民の直系らしい。
名前を菊池源吾と名乗った。
この時2014年 千尋 31歳、旦那との出会いの瞬間だった。
「ラプターを落としたっちゅう、シミュレーションデータを見もした。ミネアポリスでは“ラプターキラー”ちゅうて、わっぜ有名でごわす」
試しに千尋は英語で返した、
「I only exploited a flaw in the simulator. That kind of thing would never happen in an actual engagement.(あれはシミュレーターのバグを利用した、裏技です、現実では発生しません。)」
男は、にこりと笑った。
「ほう。英語もお上手でごわすな」
千尋は思った。
――いや、そこは英語で返せ。
その男によると、祖先は鹿児島市鍛冶屋町出身で国父大久保らと面識があったらしい、
鹿児島市出身の千尋に、案内をせよと、まあウザイ。
しかも顔がいいぶん、余計にうざい。




