【維新RTA編】島津驚異のテクノロジー5 浮かぶ示現流 西郷丸
西郷丸
全長55メートル、全幅14メートル
排水量2000トン(推定)
仙巌園製 スクリュー推進、蒸気3気筒ピストンエンジン:500馬力(推定)
速力8ノット(時速14.8キロ)
ただし、砲弾・石炭・水・兵員を満載した実戦状態では、七ノット前後まで落ちる。
兵装は
仙厳園製 40ポンドアームストロング砲(中量級後装ライフリング砲)左右6門×2前後2門合計16門。
仙厳園製 旋回式八インチ砲を計4門。
そして、主砲として仙巌園製・二里西郷砲を一門。
半鋼鉄半木造構造。
完全汽船。
この時代、外洋を走る大型艦の多くは、まだ帆を捨てきれていなかった。
石炭は高い。
蒸気機関は燃費が悪い。
世界の海を渡るには、風の力が必要だった。
だが、西郷丸は違った。
帆を持たない。
風を待たない。
黒煙を吐き、機械の鼓動だけで海を進む。
マストは射撃観測用の短い、物見やぐらしかない。
メインウェポンは、船体前方に鎮座する長射程の二里西郷砲。
290度の射界を持ち、最大仰角30度、最大俯角5度、砲塔の可動は蒸気エンジンで行う。
40センチの大口径長身の大砲から。
長距離威嚇・対地砲撃用の榴弾。
近距離で敵艦の甲板を薙ぎ払うためのぶどう弾。
二里西郷砲が撃ち出すのは、通常の丸い砲弾ではない。
吉野島津家が開発した、椎の実型の長榴弾である。
滑腔砲であるため回転安定はしない。
だが、弾尾の小さな羽根と重心調整により、ただ遠くへ飛ばすことだけに特化していた。
最大射程は約2.1里(8.3㎞)
前装式の滑腔カノン砲なので、命中精度は悪く、速射もできない。
西郷丸は、戦列に並んで撃ち合う船ではなかった。
敵艦を追う船でもない。
港へ現れ、届くはずのない距離から一発を叩き込み、相手の心を折るための船である。
後世の分類でいえば、モニター艦に近い。
ただし薩摩人は、そんな洒落た名前を知らなかった。
彼らはただ、こう呼んだ。
海に浮かぶ示現流、と。




