【維新RTA編】島津驚異のテクノロジー1
ここは、薩英戦争から一年半後 薩摩仙巌園
英国艦隊の蒸気機関からリバースエンジニアリングにて
薩摩の手により、復元された、蒸気機関が量産体制に入った。
ベッセマー転炉で量産された鋼鉄を、蒸気機関で動く旋盤が削る
半年前に芽吹いた産業革命の芽は、大木に育ち実をつけだした。
旋盤で蒸気ピストンを作っている横では、偽物の英国製エンフィールド銃が、次々と生み出されている。
この頃になると、五代と太平次のグローバル商社がアジア・インド・アラビアへ武器と蒸気機関を売りさばき、吉野島津家の金回りは爆発的に良くなっていた。
だが、急激に力をつけすぎた「吉野」は、ついに「本家・久光」と正面衝突する。
「おい、吉野!! お前、いい加減にせい!! おいは、びんたきた(頭にきた)ぞッ!!! 朝から晩までガチガチと蒸気機関の音が響き、黒い煙がモクモクと立ち込め、磯庭園では昼寝もできん! 斉彬の遺産だか何だか知らんが、工場の煤煙で庭園の松が枯れだしたぞッ!!」
ついに島津久光が、吉野島津家の屋敷に怒鳴り込んできた。
「あー 、叔父上どの、落ち着いてください。でしたら、磯庭園で昼寝をしなければよいのでは。どこか静かな山の中に別荘を設けましょう。」
変な方向で怒りをなだめる、吉野の若
もちろん、火に油であった。
「ばかもん、あそこはワシの別荘じゃ、びんてきた、吉野島津は取り潰しじゃ
仙巌園業務は、五代はお前が引き継げ、大島で、頭を冷やしてこい」
*
久光から「大島へ流刑」を言い渡されたその夜。
吉野島津家の奥座敷には、維新を企む首脳陣が集まっていた。
吉野の若を中心に、久光四天王の小松帯刀、大久保一蔵、
そして仙巌園事業のトップ(仮)である五代才助、
流通を担う濵﨑太平次が顔を揃えている。
「あー、もう、若がアホなこと言うから」
五代は頭を抱えながら言うと、若を『ぺしっ』とはたく。
「五代、偉くなったな、出世おめでとう。」
「いや、何を言ってるのですか、若、あなたは島流しですぞ」
突っ込む小松帯刀
「いや、ちょうど黒砂糖の製法改良を行いたいと思っていたんだ。白い砂糖を作れば、大儲けじゃぞ」
その場の空気が、一瞬止まった。
島流しを、新規事業開発の出張と捉えている。
この若、まったく反省していなかった。
大久保は黙って考えていた。
若が消えれば、技術が止まる。
技術が止まれば、船が止まる。
船が止まれば、江戸を詰ませる工程が遅れる。
それは困る。
ならば、問題の根を切るしかない。
久光が怒っているのは、技術ではない。
音と煤と、庭である。
ならば――。
大久保は顔を上げた。
「仙巌園と磯庭園を、本家から買い取ろう」
みんな固まった、
若だけが、感心したように手を打った。
「なるほど。不動産ごと買えば、昼寝問題は解決するな」
濵﨑太平次は、気が遠くなった。
*
数日後。
ここは鹿児島城(鶴丸城)
あの夜に集った全員が、久光に謁見しに来た。
「なんだ、お前らもそっち側(吉野島津家)か?
島流しは決定事項だ、砂糖の精製技術の向上を頼みたくてな」
(えええーーー、そっち)
一同心の中でツッコミを入れる
「そうか、叔父上どの、頑張って参りますゆえ」
「困ります、若がいなければ、尊王攘夷が遅れます。」
大久保が発言する。
「代わりに、仙巌園業務と吉野島津家が仙巌園一式買い取ります」
五代が提案をする。
久光が扇子を「パチ」っと閉じる。
「ほう、幾らで?」
「おい、こっちへ」
五代が声をかけると、若い藩士たちがズドン、ズドンと、頑丈な木箱をいくつも運び込んできた。
五代が蓋を開けると、中にはギッシリと詰まった、見たこともない純金製の異国の硬貨――。
「太平次と仙巌園が海外で稼ぎ出した、英国のソブリン金貨『15万両相当』。これでいかがでしょうか」
「ほう。」
久光は考え込む、
「いや、5万両でいい、10万両は、事業の拡大に使え黒砂糖の製法改良にもな」
一同、ホットして吉野の若に目を合わせると、
つまらなそうな顔そうな顔をした若の表情を見てしまったのだった。




