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「え……?」
まふゆが理解するより早く、エドウィンの掌が彼女の額に押し当てられた。
そこから、脳を直接かき混ぜられるような、激しい衝撃がほとばしる。
「ぐっ……あ……ぁ……っ!」
視界がぐにゃりと歪み、激しい頭痛が襲う。
エドウィンの魔力が、無理やり精神の奥深くへと侵入してくる感覚。そして、固く閉ざされていた扉が、こじ開けられるような音が頭の中で響いた。
──普通の女の子として、恋がしたかった。
不意に、知らないはずの自分の声が聞こえた。
目の前に、見たこともない景色が、洪水のように流れ込んでくる。
白い病室。点滴のチューブ。窓から見える灰色の空。そして、鏡に映る、知らない『自分』の姿。
『水鏡まふゆ』
頭の中に、その名前が響き渡る。
痛み。苦しみ。諦め。そして、死の瞬間の、どうしようもない願い。
それは、まふゆが知らない、けれど確かに自分のものだとわかる──前世の記憶だった。
「あ……ああ……あああああっ!」
情報の奔流に耐えきれず、まふゆは絶叫した。意識が遠のいていく。
その悲鳴を聞き、ミカゲの動きが、ほんの一瞬、止まった。




