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熱狂と興奮に満ちた一日が、夕暮れの穏やかな光に包まれ、終わりを告げようとしていた。
全生徒が再びグラウンドに整列し、閉会式が執り行われる。
『それでは、成績を発表します!』
アナウンスの声が響き、全員が固唾をのんで電光掲示板を見上げた。
リレーでの劇的な逆転劇。その結果は──。
『総合優勝、紅組ーっ!』
わああああっ!と、今日一番の大歓声が、紅組の生徒たちから巻き起こる。
A組もB組も関係なく、皆が肩を叩き合い、ハイタッチを交わして喜びを分かち合った。
「やったあ!みんなのおかげや!」
まふゆは隣に並ぶ仲間たちを見回し、満面の笑みを浮かべた。その顔は汗と土で少し汚れていたが、達成感でキラキラと輝いている。
「ああ。最高の気分だ」
レオンハルトが誇らしげに胸を張る。彼の隣では、セリウスも満足げな笑みを浮かべていた。
「ふんっ、まあ、あたしが活躍したから当然の結果よね」
シャノンはそっぽを向きながらも、その口元は緩みっぱなしだ。
「みんな、すごかった……」
「ミカゲっちもレオンハルト様も、めちゃくちゃかっこよかったよー!」
アリスとリリアも、興奮冷めやらぬ様子で目を輝かせている。ミカゲはそんな仲間たちの喧騒を、少しだけ離れた場所から静かに見ていたが、その瞳は常よりもわずかに和らいでいるように見えた。
表彰台に、紅組の代表としてレオンハルトが上がる。
学園長から優勝旗と大きな優勝カップを受け取ると、彼はそれを高々と掲げた。再び湧き上がる大歓声。
その光景は、生徒たちの胸に、忘れられない思い出として深く刻み込まれた。
閉会式の後、生徒たちはそれぞれの教室へと戻り、最後のホームルームが行われる。
A組の教室では、臨時担任であるガンツが、静かに教壇に立っていた。
「……貴様ら、よくやった。今日は存分に勝利の余韻に浸るがいい。だが、明日からはまた通常授業だ。浮かれて課題を忘れるような愚か者はいないと信じている」
ガンツらしい、素直じゃない労いの言葉に、教室からは笑いがこぼれる。
その視線は、どこかグラウンドの向こう、C組の担任がいるであろう方向を向き、満足げに細められていた。
ホームルームが終わり、生徒たちが帰り支度を始める。
まふゆは、友人たちと共に教室を出た。
「みんな、ほんまにお疲れ様!めっちゃ楽しい一日やったね!」
「ああ。だが、明日は筋肉痛で動けないかもしれん……」
「兄さんはしゃぎすぎだよ」
レオンハルトが情けない声を出すと、セリウスが呆れたようにため息をつく。そんなやり取りに、皆が笑い声を上げた。
夕焼けが学園の校舎を茜色に染め上げる。
彼らの長い一日は、最高の形で幕を下ろしたのだった。
第三十三話・了




