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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十三話 はじめての体育祭
393/424

33-18




アナウンスが各組の走者の名前をコールしていく。その声は、高揚するグラウンドに緊張と興奮をもたらしていた。


『……紅組、第一走者、セリウス・アルヴァレイン!』


名前を呼ばれたセリウスは、スタートラインで静かにクラウチングの姿勢をとる。涼しげな横顔には、普段の理知的な表情とは違う、鋭い闘志が宿っていた。


「セリウス様ー!頑張ってー!」

「ノセ!出遅れるんじゃないわよー!」


リリアの甲高い声援と、シャノンらしい素直じゃない激励が飛ぶ。テントでは、まふゆとアリスも祈るように手を組んで、セリウスの白銀の髪が風に揺れる背中をじっと見つめていた。


『位置について……よーい……』


シン、とグラウンドが静寂に包まれる。誰もが固唾をのんで、その瞬間を待った。




パーン!


乾いた号砲が青空に響き渡り、各チームの第一走者が一斉にターフを蹴った!


セリウスは、ハーフエルフ特有のしなやかなバネを使い、魔法使いらしい優雅なフォームながら、驚くほどスムーズなスタートを切る。余計な力みが一切ない、理想的な走り出しだ。


「いけー!セリウス!」

「そのままー!」


レオンハルトの力強い声援が飛ぶ。紅組の生徒たちもそれに続き、割れんばかりの声でセリウスの名を叫んだ。


最後の直線、セリウスはトップを走る青組の選手に食らいつき、歯を食いしばってさらに腕を振る。

そして第二走者が待つテイクオーバーゾーンへと雪崩れ込んだ。


「シャノン!」


セリウスが叫ぶと同時に、シャノンが爆発的な瞬発力で駆け出す。獣人、それも猫族ならではの驚異的な反射神経と加速力だ。


「任せなさい!」


セリウスからシャノンへ、バトンが完璧に渡った!

受け取った瞬間、シャノンはまるで弾丸のように飛び出す。それは男子にも負けないくらいの異次元のダッシュだった。


「うわっ、速っ!?」

「さすが猫族……!」


観客席から、驚嘆のどよめきが起こる。

男子生徒たちをいとも簡単に置き去りにし、青組を抜いて、シャノンはあっという間にトップに躍り出た。桜色の髪を風になびかせながら、彼女はしなやかな四肢で軽やかにトラックを疾走していく。


「すごい!シャノン、すごい!」

「やった!シャノちゃん、ぶっちぎりだよー!」


まふゆとリリアは思わず抱き合って大喜びする。その目には、友人の圧倒的な走りへの称賛が溢れていた。


役目を終えたセリウスは、ぜえぜえと息を切らしながらも、満足げな笑みを浮かべてシャノンの走りを見守っていた。




紅組は、最高のスタートを切った。


この勢いのまま、次の走者へ、そしてアンカーのレオンハルトまでバトンを繋ぐことができるのか。勝負はまだ始まったばかりだ。




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