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そしてグラウンドには雄々しい鬨の声が響き渡る。
次に始まるのは、男子生徒全員が参加する、体育祭の花形競技「騎馬戦」だ。
力と力がぶつかり合うこの競技は、観客のボルテージを最高潮へと引き上げる。
「よーし、お前ら!女子に見せ場は譲った!ここからは俺たちの番だぜ!」
紅組のテントで、レオンハルトが拳を突き上げ、男子生徒たちの士気を高める。
その隣では、セリウスが冷静に他の組の布陣を分析し、ミカゲは静かに闘志を研ぎ澄ませていた。
「騎馬戦かあ……。みんな、怪我せんようにね」
まふゆは祈るように手を組みながら、グラウンドへと向かう仲間たちの背中を見送る。
「大丈夫だって、まふゆん!レオンハルト様たちが負けるわけないもん!」
リリアはまふゆの肩を叩き、自分のことのように自信満々な表情でレオンハルトを見つめていた。
グラウンド中央に、各組の騎馬隊が集結する。
紅組は当然、レオンハルトを騎手とした騎馬が先陣を切った。
その土台を固めるのは、獣人族やドワーフ族の屈強な生徒たちだ。そのパワフルな騎馬は、さながら動く要塞のようだった。
セリウスも騎手となり、知略に長けた生徒たちと組んで、サポートと奇襲を担う遊撃隊のような騎馬を形成した。
そしてミカゲは、なんと騎手ではなく、前衛の馬役を自ら買って出ていた。彼の俊敏さと気配遮断能力は、騎馬の機動力と隠密性を極限まで高める。彼の騎馬は、まるで影のように静かに敵陣を窺っていた。
「全軍、構え!始め!」
審判の号令と共に、砂塵が舞い上がる。
最初に動いたのは、やはりレオンハルトの騎馬だった。
「目標、青組総大将!中央突破といくぜ!」
レオンハルトの号令一下、紅組の主力騎馬が猛然と突進する。
対する青組も、担任であるガレオス譲りの猛々しさで、獣人族を中心とした屈強な騎馬で正面から迎え撃った。
激しいぶつかり合いとなり、帽子を取るか取られるかの攻防が繰り広げられる。
その乱戦の隙をついて、セリウスの騎馬が動いた。
「敵の側面ががら空きだ!行くぞ!」
彼は的確な指示で騎馬を操り、黄組の騎馬の側面を突いて、鮮やかに帽子を奪い取る。
一方、ミカゲの騎馬は、未だに動いていなかった。ただ、じっと、戦場の流れを読み、最も効果的な一撃を放つ瞬間を待っている。
やがて、レオンハルトの騎馬が青組の主力を引きつけている隙に、青組の別動隊が紅組の後方を狙おうと動き出した。
「……今だ」
ミカゲがぽつりと呟いたその瞬間、彼の騎馬は音もなく動き出した。それは疾走というよりも、滑空に近い動きだった。
敵の騎馬が気づいた時には、すでに懐に潜り込まれている。騎手が反応するよりも速く、ミカゲの騎馬の騎手が、面白いように青組の帽子を刈り取っていく。
「な……!どこから現れた!?」
混乱する敵を尻目に、ミカゲの騎馬は再び影の中へと溶け込むように後退する。
一撃離脱。まさに暗殺者の戦い方だった。
「すごい……ミカゲも、みんなも、めっちゃ強い……!」
まふゆは、それぞれのやり方で勝利のために戦う仲間たちの姿に、胸が熱くなるのを感じていた。
レオンハルトの圧倒的な「陽」の力。セリウスの緻密な「知」の力。そして、ミカゲの研ぎ澄まされた「陰」の力。三者三様の強さが、紅組を勝利へと導いていく。
戦いは熾烈を極めたが、彼らの活躍により、紅組は圧倒的な数の帽子を獲得し、騎馬戦の勝利を見事その手中に収めたのだった。




