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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十三話 はじめての体育祭
380/424

33-5




アリスがひたむきに走り終え、温かい拍手に包まれたのも束の間、競技はテンポよく進行していく。


そして次にスタートラインに立ったのは、まふゆだった。


「うぅ……やっぱり緊張するなぁ……」


アルビノエルフである彼女は、支援や治癒には絶大な力を発揮するものの、純粋な身体能力、特に短距離走のような瞬発力は得意ではなかった。


ピストルの音に驚いて一瞬肩を震わせながらも、懸命にスタートを切る。

雪のように白い髪がふわりと揺れ、その姿は走るというより舞うように儚げだ。しかし、結果は健闘むなしく、最下位に終わってしまった。


「はぁ……はぁ……やっぱり、あかんかったぁ……」


息を切らしてテントに戻ってきたまふゆを、ミカゲとアリスが出迎える。


「……可愛かった」

「ちょ、ミカゲ!笑ってへん!?」

「かわいかった」

「ちょっと!アリスまで!」


まふゆは頬を膨らませ、ポカポカとミカゲの胸板を叩く。




そして、リリアの番がやってきた。


「よーし、あーしも頑張るぞー!」


気合は十分だったが、彼女もまた戦闘を得意としない。懸命に腕を振るものの、足がもつれそうになりながら、やはり最下位でゴールテープを切った。


「ううー……ダメだったあ」

「ナイスファイトだ、リリア!」

「ふえっ!?レオンハルト様ぁ!?」


レオンハルトに出迎えられ、リリアは顔を真っ赤にする。




──紅組のテントには、序盤から重苦しい空気が漂い始める。


対照的に、獣人族が多く所属するC組、そしてD組を擁する青組は、快進撃を続けていた。

一位か二位を独占する青組の生徒たちに、C組の担任のガレオスは満足げに腕を組み、これ見よがしにガンツの方へ得意満面の視線を送る。


ガンツは表情を変えずに眼鏡の位置を直しているが、その奥の瞳が静かな闘志に燃えているのを、A組の生徒たちは感じ取っていた。


「くっ……このままじゃ、青組のいいようにやられちまう……!」


レオンハルトが悔しそうに歯噛みする。


しかし、紅組にだって希望の光はいるのだ。

次にスタートラインに立ったのは、桜色の髪をポニーテールに揺らす猫族の獣人、シャノンだった。


「ふんっ、見てなさい。あたしが全部ひっくり返してやるんだから」


低い姿勢でスタートの合図を待つその姿は、まるで獲物を狙う肉食獣のよう。


パンッ!と乾いた音が響いた瞬間、彼女の体は弾かれたように飛び出した。

他の選手たちとは明らかに違う、地面を滑るようなしなやかで爆発的な加速。


「速っ!?」

「すげえ……!」


どよめきが起こる。シャノンは風そのものになったかのようにトラックを駆け抜け、他を寄せ付けない圧倒的な速さで一位のゴールテープを切った。


「やったー!シャノン、すごい!」

「さすがシャノちゃん、かっこいー!」


まふゆとリリアが飛び上がって喜ぶ。それまで沈んでいた紅組のテントは、シャノンの快走によって一気に活気を取り戻した。


「ふん、当然の結果よ」


息一つ乱さずに戻ってきたシャノンは、得意げに鼻を鳴らす。

その圧勝劇は、青組のガレオスに一矢報いるには十分すぎるほどのインパクトを与えたのだった。




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