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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十二話 黒の少女の夢
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32-6




翌日のホームルーム。


エドウィンが逃亡したことで空席となった担任の座には、臨時としてドワーフの教師、ガンツが就いていた。

彼はカチャリと眼鏡のブリッジを押し上げ、教壇から冷静な視線を生徒たちに注ぐ。


「聞け、貴様ら。来週に迫った体育祭だが、出場競技の最終決定を行う。女子は50m走、男子は100m走が必須。それ以外に、希望制の選択競技へ最低一つはエントリーすること。……C組のガレオスには負けるつもりはない。貴様ら、せいぜいA組の名に恥じぬよう励め」


ガンツの静かだが熱のこもった檄に、クラスの空気も俄かに活気づく。

配られた競技一覧のプリントを前に、生徒たちはわいわいと相談を始めた。




「必須競技以外か……俺は障害物走にでも出るかな」


レオンハルトが力こぶを作って見せれば、セリウスもペンを片手に頷く。


「僕もそうしようかな。兄さん、男子生徒全員参加の騎馬戦ではよろしく頼むよ」

「……俺は、あんたと同じものに出る」


後ろの席から聞こえてきた低い声に、まふゆは苦笑しながら振り返った。

恋人になってからというもの、ミカゲの独占欲はますますわかりやすくなっている。


「ふふ、ミカゲはほんまにうちのこと好きやなあ。でも、体育祭くらいは自分の出たいものに出てもええんよ?」

「……あんたが出るなら、それが俺の出たいものだ」

「もう……」

「ミカゲも俺らと一緒に障害物走に出ようぜ!」

「おい、勝手に書くな」


ミカゲの真っ直ぐな言葉に頬を染めつつ、まふゆは再びプリントに視線を落とす。

必須の50m走はともかく、もう一つは何にしようか。運動はそれほど得意ではない。




「……うーん。うち、借り物競争にしよかなあ」


ぽつりと呟いたまふゆの言葉に、隣のセリウスが「へえ」と興味深そうな声を上げた。


「借り物競争か。まふゆらしい選択だね。運が良ければ楽にクリアできるし」

「せやね。お題次第やけど、走る距離も短く済みそうやし」


まふゆがそう言って微笑むと、レオンハルトがにやりと笑った。


「お題が『好きな人』だったらどうするんだ?そんときゃ、ミカゲを連れてゴールだな!」

「なっ……!レオンハルト、からかわんといて!」


顔を真っ赤にするまふゆと、満足げなレオンハルト。そして、そのやり取りを無表情ながらどこか得意げに見つめるミカゲ。

そんな和やかな光景を、シャノンが少し離れた席から腕を組んで眺めていた。


「ふんっ、あんたたち、浮かれてんじゃないわよ。あたしは障害物走に出るからね。ノセ、負けないからね!」

「いやいや、僕ら同じチームだからね?」


挑発しあうシャノンとセリウスも、どこか楽しそうだ。




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