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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十二話 黒の少女の夢
366/424

32-1




白檻会との激しい戦いが終わり、学園に束の間の平穏が訪れた。

十月に入り、澄んだ秋空の下、生徒たちの間では来たる体育祭の話題で持ちきりだった。


「やっぱり、体育祭ってなると燃えるよなー!」


昼休みの食堂。ビュッフェ形式のプレートに山盛りの料理を乗せたレオンハルトが、声を上げる。

いつものメンバーで囲むテーブルは、今日も賑やかだ。


「兄さんは昔からそうだったね。お祭り騒ぎが好きだから」


セリウスがやれやれと肩をすくめながらも、その口元には穏やかな笑みが浮かんでいる。


「あたし、絶対リレー選手に選ばれてやるんだからね!」


シャノンがフォークを片手に高らかに宣言する。


「……アリスも、がんばる」


こくりと頷くアリスの隣で、ミカゲは黙々と食事を進めている。しかし、その視線は常に隣の席のまふゆへと注がれていた。

恋人となってからというもの、彼の独占欲はますます強くなっているように感じられる。




「ほんまに、平和になったんやねえ……」


まふゆは、友人たちの屈託のない笑顔を見つめながら、ぽつりと呟いた。あの壮絶な戦いが嘘のように、穏やかな時間が流れている。

白く繊細な指でカップを持ち上げ、温かい紅茶を一口含んだ。


「そうだな。色々あったが……ま、結果オーライってやつだ」


レオンハルトがニカッと笑う。その言葉に、皆が頷いた。

失ったものも、傷ついた心もある。それでも、彼らは共に乗り越え、今ここにいる。




「そういえばリリア、アンタなんか元気なくない?体育祭、楽しみじゃないの?」


ふと、シャノンがリリアの顔を覗き込んだ。いつもなら一番にはしゃいでいそうな彼女が、どこか浮かない顔をしていることに気づいたのだ。


「え?そ、そんなことないよぉ?体育祭、すっごく楽しみだしー!」


リリアは慌てて笑顔を作るが、その笑顔はどこかぎこちない。

その様子に、まふゆも心配そうに眉を寄せた。


「リリア、何か悩み事でもあるん……?」


優しい声で問いかけると、リリアは「うーん……」と少しだけ俯いてしまう。

そして、意を決したように顔を上げると、小さな声で話し始めた。




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