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白檻会の本拠地は完全に鎮圧された。
しかし、学園の生徒と教師たちの手によって捕らえられた兵士たちの中に、あの男の姿はなかった。
穏やかな笑みの下に残虐な本性を隠し、まふゆの心を絶望の淵に突き落とした張本人──エドウィン・ヴォルクシュタイン。
彼は、混乱の最中にいち早く状況を察し、誰にも気づかれることなくこの場所から逃げ出していたのだ。
だが、彼が拠り所としていた組織は、もうない。
本拠地は壊滅し、エルフたちの命を犠牲にしてきた魔導機はドワーフたちの手でことごとく破壊された。
囚われていたエルフたちは解放され、組織の非道な真実は、やがて世界中に知れ渡ることになるだろう。
白檻会という存在は、事実上、解散したも同然だった。
全てを失い、ただ一人になったエドウィン。
彼の歪んだ執着と野望は、これからどこへ向かうのか。
それは、今はまだ誰も知る由もなかった。
こうして、まふゆとアリスを巡る激動の事件は、一つの終わりを迎えた。
犠牲者を出さずに勝利を収めた一行は、それぞれの想いを胸に、慣れ親しんだ学び舎へと帰還する。
絶望の底で掴んだ真実の愛。
仲間たちとの揺るぎない絆。
そして、残された一抹の不安。
新たな物語の幕は、静かに上がろうとしていた。
第三十一話・了




