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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十一話 少女は学園に愛される
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31-6




しかし、その答えはもう、分かりきっていた。


ユキを選ぶに決まっている。

自分は、ただの代用品でしかなかったのだから。


ミカゲが三百年間も想い続けた、本物の恋。その相手が、今、目の前にいる。

片や自分は、面影が似ているというだけで彼の感傷の対象になっただけの、偽物。


比べるまでもない。天秤にかける価値すらない。


彼がこの扉を開けた瞬間、その腕は迷うことなく、ユキを抱きしめるだろう。

そして、自分は……その光景を、ただ見ていることしかできない。


想像しただけで、心臓が氷の刃で貫かれたように痛んだ。

ミカゲが自分以外の女性を愛しそうに見つめる姿など、見たくない。

彼が自分のものではないと、決定的に思い知らされる瞬間など、耐えられない。




「……いや……」


無意識に、後ずさる。

冷たい壁が、背中に当たった。これ以上、逃げる場所はない。


「いやや……来んといて……」


それは、心の底からの叫びだった。


来ないで。

来ないで、ミカゲ。


あなたの優しい声も、不器用な笑顔も、温かい腕も、もう私のものではないのだから。

あなたが他の誰かのものになる姿を、私に見せないで。


お願いだから、もう、私の前に現れないで。




「……ふふ、面白いわね」


ユキは、まふゆの絶望に満ちた願いを聞いて、楽しそうに目を細めた。


「助けに来てくれることを信じているのに、来てほしくないと願うなんて。本当に、恋する乙女というのは矛盾していて、愛おしいものだわ」


彼女の言葉が、遠くに聞こえる。

まふゆの耳にはもう、遠くで響く戦いの音も、ユキの声も、ほとんど届いていなかった。


ただ、自分の心臓が大きく、痛く、脈打つ音だけが響いている。

その鼓動の一つ一つが、ミカゲの足音のように聞こえて、まふゆはぎゅっと目を閉じた。


どうか、この扉が開かれませんように。

どうか、彼が来ませんように。


絶望の底で、まふゆはただ、そう願い続けることしかできなかった。




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