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作戦会議は熱を帯びていた。
ガンツの提供した鉱山の情報と、ローゼリアの提案した転移門の使用。二つの光明が、絶望的な状況に確かな道筋を示していた。
「よし、目標地点はドワーフ国境付近の廃鉱山だ。転移門を使って一気に近くまで飛ぶ」
レオンハルトが地図を広げ、力強く指し示す。
そこへ、息を切らせた数名の生徒が駆け込んできた。犬族の獣人たちだ。彼らはエドウィンがまふゆたちを連れ去って消えた扉の前に集まり、熱心に床の匂いを嗅いでいた。
「報告します!」
代表の生徒が敬礼する。
「まふゆの匂いを辿ったところ……ガンツ先生の言っていた廃鉱山の方角と、完全に一致します!」
「ビンゴだな」
レオンハルトが拳を握りしめる。これで、目標地点の確度は一気に高まった。
「よくやった!これで迷いなく進める」
セリウスが安堵の表情を浮かべると、レオンハルトは集まった全員に向き直り、声を張り上げた。
「皆、聞いてくれ!これより俺たちの目的を再確認する!」
ホールに集まった全員の視線が、再び彼に集中する。
「最優先事項は、まふゆとアリスの二名を、何としてでも無事に奪還すること。これは絶対だ」
彼の言葉に、誰もが力強く頷く。
「次に、ガンツ先生の話から、あの施設には他のエルフたちが囚われている可能性が極めて高い。発見次第、彼らを解放し、保護する」
レオンハルトは続ける。
「そして最後に、もし可能であれば、白檻会の力の源である魔導機をすべて破壊する!二度とこのような悲劇が起きないように、奴らの牙を根こそぎへし折ってやるんだ!」
「「「応!!」」」
再び、ホールに雄叫びが轟く。明確になった目標が、彼らの士気をさらに高めた。
レオンハルトはミカゲに向き直り、その肩に手を置いた。
「ミカゲ、先行偵察はお前にしかできない。内部の構造、警備の配置、そして何より、まふゆとアリスの居場所を突き止めてくれ。危険だと判断したら、すぐに戻ってこい。無茶はするな」
「……ああ」
ミカゲは短く、しかし力強く頷いた。
「俺とガレオス先生、それに腕に覚えのある連中で陽動部隊を編成し、正面から敵の注意を引く」
「セリウスとシャノン、リリアはガンツ先生、ローゼリア先生と共に後方支援と、解放したエルフたちの保護を頼む」
次々と役割が分担されていく。それはもう、学生の無謀な計画などではなかった。それぞれの能力を最大限に活かした、緻密な救出作戦だ。
「よし、皆、準備はいいか!」
レオンハルトの檄が飛ぶ。
夜の闇に紛れ、学園中から集った有志たちは、決戦の地へと向かうべく、静かに、しかし熱い決意を胸に、動き始めたのだった。
第三十話・了




