表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三十話 賭け
348/424

30-6




レオンハルトの力強い宣言が、静まり返っていた中庭に響き渡った。

それは、絶望の闇を切り裂く、希望の狼煙だった。


その声に呼応するように、今まで物陰から様子を窺っていた生徒たちが、次々と姿を現した。

扉の向こうから、廊下から、階段の上から。


A組のクラスメイトだけでなく、B組や他のクラスの生徒、さらには上級生たちの姿まであった。

彼らの顔には、怒りと戸惑い、そして仲間を思う強い意志が浮かんでいる。


「俺たちも、黙って見てるわけにはいかねえ!」

「そうだ!エルフの命を犠牲にして作られた魔導機なんて、もう使いたくねえ!」

「まふゆとアリスは、俺たちの仲間だ!」


エドウィンの裏切りと白檻会の真実を知った今、彼らはもう傍観者ではいられなかった。

今まで信じていたものが偽りだったという怒り。


そして、このあまりにも過酷な戦いを、レオンハルトたちだけに背負わせるわけにはいかないという、熱い想いが彼らを突き動かしていた。




その輪は、生徒だけにとどまらない。


「──まったく、血気盛んな小僧どもめ」


重厚な声と共に、ホールの入り口に筋骨隆々とした巨体が姿を現した。戦闘訓練担当のガレオスだ。


彼の背後には、クールな表情を崩さないドワーフの魔科学教師ガンツ、そして心配そうに眉を寄せた誘惑科担当のローゼリアの姿もあった。


「お前たちの気持ちは分かる。だが、相手は国さえも裏で手を引く巨大組織だ。無策で乗り込むのはただの犬死にだぞ」


ガレオスが厳しく、しかしその瞳の奥に憂慮を滲ませて言う。


「ガレオス先生……!」


レオンハルトが驚いて振り返る。

「だが」と、ガンツが眼鏡の位置を指で押し上げながら、冷静な声で続けた。


「教え子が目の前で攫われて、黙って見過ごすほど我々も落ちぶれてはいない。それに……私の専門分野が、役に立つかもしれん」


彼の言葉は、白檻会の使う魔導機や技術への対抗策を示唆していた。


「そうよぉ」


ローゼリアも、普段の蠱惑的な雰囲気とは違う、真剣な表情で歩み寄る。


「まふゆちゃんもアリスちゃんも、私のかわいい生徒。そんな子たちが悲しんでるのに、黙って見てるなんて、教師失格じゃない?」


教師たちの登場は、生徒たちの心に大きな勇気を与えた。

これはもう、たった数人の無謀な殴り込みではない。


種族も、クラスも、学年も、そして生徒と教師という垣根さえも越えて、学園全体が心を一つにした、仲間を救うための聖戦なのだ。




レオンハルトは、集まった仲間たちの顔を一人一人見渡した。

その全員の瞳に、同じ決意の炎が宿っている。


「……感謝する、皆」


彼は深く頭を下げた。そして、再び顔を上げた時、その瞳にはリーダーとしての揺るぎない覚悟が輝いていた。


「これより、作戦会議を始める!どんな些細な情報でもいい、白檻会の本拠地の手がかりを掴む!そして、必ず、まふゆとアリスを俺たちの手で取り戻すぞ!」


「「「応!!」」」


中庭に、力強い雄叫びが木霊した。

絶望の底から立ち上がった彼らの、反撃の狼煙が、今、確かに上がったのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ