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「え、えっと……その、な」
アリスの純粋な眼差しを受けて、まふゆはどう説明したものかと必死に頭を巡らせる。
恋愛という複雑な感情の機微を、まだ感情そのものが芽生えたばかりのアリスに、どうすれば伝わるだろうか。
まふゆはベッドから降り、アリスと視線を合わせるように屈み込んだ。
そして、できるだけ簡単な言葉を選び、ゆっくりと話し始める。
「あのな、アリスさん。昨日うち、後夜祭でミカゲと……一緒に踊ったやろ?」
「うん。くるくるしてた。きれいだった」
アリスがこくりと頷く。
「……その時、ミカゲがうちのこと……『特別』やって、言うてくれたんよ」
「とくべつ……?」
アリスが不思議そうに首を傾げる。
「うん。ええと……アリスさんにとって、うちが『特別』みたいに、かな。他の誰でもなくて、うちがいいって。それで、うちもね、ミカゲが『特別』やなって思ったんよ」
まふゆは自分の胸にそっと手を当てる。そこには、じんわりとした温かい感情が満ちている。
「ミカゲと一緒にいると、心臓がどきどきして、あったかくなって……嬉しくなるんよ。もっと一緒にいたいなって思う。そういう、一番『特別』な人同士になることを、……『恋人』って言うんよ」
アリスは黙ってまふゆの話を聞いていたが、やがてぽつりと言った。
「……じゃあ、まふゆとミカゲは、一番とくべつ、になったの?」
「……うん」
まふゆは照れくささで頬を染めながらも、はっきりと頷いた。
その返事を聞いて、アリスはふむ、と何かを考えるように少しだけ黙り込む。
そして、次の瞬間、まふゆの手を両手でぎゅっと握りしめた。
「よかったね、まふゆ」
その声には、まだ感情の抑揚は少ない。けれど、その瞳の奥には、確かに友人の幸せを喜ぶ、優しい光が灯っていた。
飾り気のない真っ直ぐな祝福に、まふゆの胸はじーんと熱くなる。
「……ありがとう、アリスさん」
嬉しい気持ちと、少しの気恥ずかしさ。
まふゆはアリスを優しく抱きしめながら、この小さな友人に一番に報告できたことを、心から嬉しく思うのだった。




