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闇の精霊

「いい季節になりましたね。木々が生き生きとしていて、とても美しい季節です」


 王都の城のガーデンにはたくさんの白薔薇が鑑賞用に植えてある。今はまさに満開の季節だ。そのガーデンには、屋根が緑で柱は真っ白な細やかな細工が施しているガゼボがあり、そのガゼボの中央には優雅に座っている公爵の妻ジュリエッタがいる。


 まるで王妃のような佇まいだ。


 金色の髪をアップにし、紫のメッシュの様になっている部分をうまく垂れさせ、濃い紫の瞳を潤わせる。何人かの侍女を従わせて大きな白い羽を仰がせている。


優雅なこった。

「義姉上、ティータイムにご招待いただき、ありがとうございます」


 ジュリエッタは優雅にお茶を嗜む。


「ミル嬢の件ですか?まだ行方は掴めていません」


 ジョニルバール・ディ・ロイスは毅然とした態度は崩さずにいた。

余計な仕事を増やしてくれた義姉には迷惑している。


「そうでしょうね。あなたは私も行方を見つけられなかった」

「むっそうです。私が無能だと?」

「いえ、そうではありません。夫には言っていない、というか誰にも言ってはいないことがあります」

 侍女はすべて下がる


「…なにを、ですか?」

 またなにか厄介事を隠しているのかと、ジョニルバールは構える。

ジュリエッタは、くすりと笑う

「私には闇の精霊が付いています。そのことは身内にも誰にも言ってはいません」

「闇の精霊?」


 なんの話をしている。闇の精霊とは…解明はされていない精霊のひとつだが、あまりいい精霊ではないと聞いたことがあるような…いや、それはおとぎ話だ。本当は何も知らない。


「義姉上、お恥ずかしいかぎりですが、私は闇の精霊については分かりません。なにをおっしゃりたいのかも」


ジュリエッタは、にこりと笑う

「闇はあまりいい印象はないものね。闇の精霊は隠匿です。自分の印象を薄くしたり、強い魔力を隠してくれます。だからあなた方は私を見つけることが出来なかったのです。たぶん、娘も…」

ジョニルバールはカップをテーブルの上に戻すと、ジュリエッタを見た。


「闇の精霊にそのようなことが…?」

「ええ」


 ため息を吐く。

ならば娘も見つからないだろう。とういかそんなに力は入れていない、兄からも急かされてはいない。文句があるなら自分で捜せと言ってある。


「そうですか。なぜそのことを私に?」

「難航しているようでしたので…」


「難航はしています。でも力も入れていません。正直私にはどうでもいいことです。私の仕事のついでに、空いた時間に、暇なときに、部下に捜索をさせています。

あなたの家出の時は私も若く手を抜くことを知りませんでしたが、今ははっきりと手を抜いています。そもそも私の仕事ではないのですよ。

 早く会いたいのであれば、ご自分でどうぞ、それが私の言い分です。」


 ジュリエッタは驚いた顔をしてうつ向く仕草をする。

そして困った顔をして瞳を濡らす。


「義姉上、私にはその表情は通用しませんよ、吐き気がします。逆効果ですよ。頼みたければ、真摯に願ったらどうですか?」


 ジョニルバールは、すっと立ち上がりその場を立ち去ろうとする。


「ジョニルバール様、お待ちください。申し訳ありませんでした。

お願いします。ミルをどうか見つけてください。この10年間私は逃げていました。

娘の事を話すと夫から離縁されるのではないかと思い、言い出せなかったのです。

でも他の子供たちの成長を見て、あの子は幸せでいるのか、ちゃんとご飯は食べているのかと考えるようになりました」


 ジョニルバールは眉を寄せる


「なぜ、置いてきたのです?3歳なら一緒に転移も出来たでしょ。あなたの力なら」

「そ、それは…私は、私は、自分のことで精一杯で、連れて来ることなど考えていなかった。逃げることで…」

ジュリエッタの目が泳ぐ


ジョニルバールは寄せた眉をもむ

「あなたはすぐに子供のことを忘れるのですね」


ジュリエッタは目を見開く


「自分で迎えに行こうともせず、我々に真実を告げるでなく、あなたの娘は10歳の時に父親から逃げています。やっとの思いで逃げ出したのでしょう。10歳の子供が!あなたが耐えられなかったのなら子供も耐えられないと思わなかったのですか!なぜ、なぜもっと早く言わなかったのです?すべて置いてあなたは無責任なのです!隠匿が得意な闇使いならもう見つけることは困難です!そして、13歳でしたら、あなたと一緒で男に囲われているでしょう。それを取り戻すことも困難です。もううんざりです。ご自分のことはご自分で対処されては?」


ジュリエッタは項垂れ、床に座り込んでいる。


「捜索をやめれば兄上がうるさいので捜索しているフリはしますが、積極的には捜しません」


「どうか…どうか…」

ジュリエッタが頭を床に付ける。


「期待はしないで頂きたい」

ジョニルバールは冷たく言い放ち、去って行く。



ジュリエッタは、そのまま泣き崩れた。



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