紫の血筋
ローブの男が現れた。
「久しぶりだな。買うかい?」
「ああ、頼む。今年もいい素材をお願いするよ」
ローブの男は素材を査定中だが浮かない顔をしている。
あまり関わりたくないが暇つぶしに聞いてみた。
「なにかあったのか?あんたは顔に出やすいと言われないかい?」
「むっああ、言われたことはあるな。しかし大きなお世話だ!」
歳は言っていそうなのに子供のようだ。
「お貴族様も大変だな」
くくっと笑いがこぼれてしまう、ロゼ
「フン、こんな生活ももう少しで終わりだ。来年は買い付けはしないかもしれないぞ、他で買ってくれる所を探すんだな」
ローブの男はにやりと笑う。
「そうなのか?あの100枚が利いたか?」
「うるさいぞ!あれはずいぶん白い目で見られた!俺は根に持つぞ!」
宣言されてもな…
「まぁいい、そうだな。お前は顔が広そうだから聞いとくか」
「なんだ?」
「今人探しをしている。銀髪で紫の瞳の女の子だ。歳は13歳」
…
「名前はミルと言う」
…
「知らないか?」
「ん~俺は女には疎い。わからないな。名前も聞いたことがない」
「そうか、そうだよな…」
はぁとため息を吐く
「その女の子がなんなのだ?」
「秘密だぞ。いいか誰にも言うなよ、聞いて驚け。公爵のお嬢様だ!」
ぺらぺら話していいのか…?
「…なんで驚く?」
「驚くだろう。普通は!」
「知らん。公爵様のお嬢様が行方不明なのか?それにしても名前が貧祖だな」
「名前な。まあ庶民だからな、生まれは」
「は?」
「庶民生まれの公爵のお嬢様だ」
「意味がわからん。あ~公爵様の隠し子か。お家騒動だな。それに巻き込まれたのか」
ぷっと笑うロゼ
「まあそうだよ。秘密だぞ。言うなよ。でもちょっと違う。公爵様の隠し子ではなくその奥様の隠し子だ。」
「ほお…庶民の男と駆け落ちでもして出来た子供か…その後連れ戻されたとかか?」
「そんな感じだ。参ったよ。どこをどう探していいものか」
「ん?…駆け落ちした男の家に行けばいいだろう?連れ戻したのなら居場所はわかっているんだろう?というか…なんで今頃?もうその子は13歳なんだろう?13年ほっといて何していたんだ?跡継ぎがいないとかか?」
「お前よくそんなに色んな話が思いつくな」
「貴族のお家騒動なんてそんなのばっかじゃないか、近所のおばさんはよくそんな話していたぞ」
「くっ13年ほっといたのは知らなかったからだ。今探しているのは紫の血筋だからだ」
「紫の血筋?」
「紫の血は貴重なんだ」
「どう貴重なんだ?」
「紫の血は転移が出来るんだぞ!戦いにとって転移が出来るのは勝敗に…」
「今の世の中、戦いなんてないじゃないか」
魔獣との闘いくらいだな
「そうだが、いつかまた戦いがあるかもしれない」
「馬鹿らしいな。まっ頑張れよ」
ロゼはあくびをする。
「本当に馬鹿らしいな。男の家には行ったが居なかった。男も娘も。娘は父親から逃げ、父親は、娘を追って街から消えたらしい」
「手詰まりだな」
「ああ、まぁ王都にいるかもしれないと聞いていたんだが、居なかったな」
目の前に居るがな
じゃあまた、来週と言って金貨を払い男は消えた。
ビビったあ!!
いきなり、自分のことを言われると心臓に悪いな!
自分を探している人がいる。お母さんは貴族だったのか。しかも公爵の?
まさに小説のようだな。
ん?駆け落ちして、私を産んで…3年で貴族に連れ戻された。そして死んだ?
時系列がわからんな。なんで娘がいることを知ったんだ?連れ戻されたから死んでないのか!あのオヤジが死んだと言っていたが、そうか、生きているのか!
そうか!会いたいな。どんな人だろう。
貴族に連れ戻されて、どこぞのじいさんの後妻として結婚させられてそのじいさんが死んで、実は娘がいると告白した。そんな感じか!
よくわからんじいさんと結婚する前に若い男と恋愛がしたかったんだな。選んだのがあのオヤジか。母娘揃って男を見る目ないなぁ…私は母似だな。
ま、ジョセフは外面がよかったから仕方がないな。
成人したら名乗りでてもいいかもな。今はまだだめだ。
しかし、オヤジがユロランから消えているのか。捜しているのかな?迷惑だな。
会ったとしても水圧でぶっ飛ばしてやる!!
もう昔の私ではないぞ!
色々間違った、妄想をするロゼであった。
母が自分を捜している。それだけでうれしい。前世では母は早くに死んだ。生きているなんて考えたこともなかった。どんなひどい母親でもいいから会いたいな。
ロゼは中級ポーションの配合は大体、クリアしていた。
新緑が芽吹く頃、キキの手伝いをしながらロゼは過ごしていた。たまにエトたちと森に行ったりしていたが特に変わったこともなく過ごした。
ロゼは母親が生きていると知って、ちょっとワクワクしていた。
今までは、父親から逃げて成人して王都に行ってと、とりあえず順番に片付けていくような感じだった。でも今は母親に会う目標が出来た。2世代から母親には縁がない。なにをどうするかは分からないが、会って話がしたいな。政治目的のために捜しているのかもしれないが、それでもいい。母親に会えればそれでいいのだ。
しかし、成人前に会うことは出来ない。未成年のままだと取り込まれるかもしれない。それはいや。自由ではいたい。
城に会いに行く事は避けなければ、城には色々と転移防止とかがあるかもしれない。逃げられないようななにかがあるかも…。
街のアイス屋とか…貴族は来ないか。私が指定する宿とかに来て貰う?
など今から会う対策を練るロゼであった。
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