13歳の春
春が近づきロゼは温泉にいる。
レイジュ様と温泉でお酒を飲んでいる。ロゼは未成年だが、この国はとくに飲酒についての法がない。前世ではちょっとワインを嗜む程度だったが今のロゼはどうだろうと思い飲んでみた。けっこういける口だ。
レイジュ様の所に行くようになってよく街でお菓子や酒を買っていくようになった。この世界のお菓子など気にも留めていなかったが、けっこう美味しい。
アイスやケーキなどがすでにある。転生者が他にいたのか、ただ懸命に美味しいお菓子を作りたいという職人がいたのかは定かではないが、もっと早く気が付いていればよかった。
レイジュ様も『お菓子がこんなに美味しいとな!』と2000年ぶりの菓子にご満悦である。
『随分と浸かっておるのう、身体はつらいのか?』
今、ロゼは生理中だ。生理でない日も来ているが、やはり生理中に入る温泉は格別なのだ。
「いや、でもこの温泉に入ると軽くなる。明日も講習がある。毎月2・3日休むとさすがに女と疑われるだろうな。温泉でゆっくりしていたいけど…」
『おぬしは魔力が多すぎるんじゃな。それで月の物の時につらくなるのではないか?』
「そうなの?でもどうしょうもないね」
これからずっと、毎月この苦しみを耐えなくてはならないのか。
うんざりするロゼだが仕方がない、それが女の身体なのだ。今現在、女として楽しめていないのにこの苦痛…ため息しか出ない。
『ん~迷っておる。ん~』
レイジュ様がなにやら悩んでいる。しばらくすると顔を上げてロゼを見る。
『この古木に触ってみよ』
温泉の真ん中に生えているように見える神木に触れという。
ロゼは言われるまま、神木に近づく。
神木は深い場所にある。ロゼが溺れないように温泉の水たちが身体を浮かせる。これは気持ちがいい。また今度して遊ぼう。
近くに行くとますます大きな神木、レイジュ様が触っていいと言っていたのだ、触っていいのだろう。
神木にしばらく触れていると、ほわっと神木が温かくなった。自分の身体も熱くなる。そして神木に熱が奪われていく感覚になった。ふっと軽くなったかと思うと先ほどの熱はもうない。自分の身体の重さも全くない。
神木を見ると、先ほどまで弱く萎びて白くなっていた古木の幹はほんの少しだけ薄く色が付き張りが戻っているようだった。
『あ~そのすまん、お前の魔力を少し貰った』
レイジュ様は申し訳なさそうに言う。しかし、ロゼは感じたことのない軽快さがあった。
「いえ、これは軽い。身体が軽いです。レイジュ様」
これくらいの魔力で丁度いい。今まで生理中じゃなくても身体が重いときはあったのだ。それが今はまったくない。なんだ、早く教えてくれればっよかったのに。
うれしそうに言うロゼだったが、
『古木が生き返ってしまうではないか、わしは早く切られたいのじゃ』
「生き返ってもいいじゃん。生き返ったら切らなくてもいいんじゃない?」
『古木は古木じゃ!生き返った木を切るのはしんどいぞ』
「そっかぁ、じゃあ頑張るね」
ロゼは軽快に返事をする。
次の日、講習に行くとキキに呼び出された。
「あんた、女でしょ!」
バレた~まぁ、月一で休んでいたらわかるわな。はは
近くの公園で話をしていたため、周りには母子しかおらず、警戒する必要がなかった。
「なんで?」
別に隠していない、でも男に見られているのは知っている。そう見せていた。なのでどうしてバレたのか一応聞いてみる。
「なんでって、月一で体調不良とかあれしかないじゃん。よく見たら線は細いし、おしりは丸いし、触れば柔らかいし、女と思って見たらもう女だよ!」
「表現が変態だが、まぁそうだな。でももう対策はしたから月一で休むことはなくなるぞ」
ロゼはニパッと笑う。
キキは素直に認めたロゼにびっくりしつつ、周りを見る。
「そういう問題じゃない。もう少し気を付けなさいよ。隠しているなら徹底しないと」
「別に隠してない。男だと思われたからそのままにしているだけだ。ま、そう見えるようにも努力はしたが。でもまだ成人するまで男の方が都合がいいからこのままで頼むよ」
ロゼはサラリとぶっこむ。
「は?は?成人するまでって…?あんたいくつよ」
「13だ」
は?は?意味わかんない。あんた成人もしてなかったの…と口をパクパクさせている。
「背が高いし、落ち着いて見えていたようで、みんな成人していると勝手に勘違いをしていたな。あっそれは意図的じゃないよ。でも面倒だからそのままにしている。当時は成人に見られる方が都合がよかったし」
キキは大きく深呼吸をする。
「はあ、色々と理由があるのね。それを言う気はないのね。レオンも知らないの?
レオンには言ってもいいと思うけど」
「ああ、歳や性別は言ってもいい。でも過去から逃げているから理由は言いたくない」
ちょっとドラマチックに言ってみる。
色々とやらかしている、それがバレると面倒だ。
学卒の偽造とか、出身地の偽装とか…
「そう…一応レオンと相談するわ」
よしよし。なんだか同情をしているな。
「現状維持でたのむ」
はあ、と大きなため息をするキキだった。
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