緑と紫
私は15歳でこの国に嫁いでまいりました。
当時、まだ17歳の若いだんな様は小柄で子供のように見えました。
私の理想は大人の背の高い男性だったのです。私は自身が背が高かったので見上げる仕草に憧れていたのです。若かったのです。無知な子供でした。
しかし、結婚をしてだんな様に愛されて幸せでした。そんな時、私の妹が国一番という騎士と恋に落ち、駆け落ち寸前までいったのだと国の母から手紙が来ました。大変だと言いながらも大恋愛をした妹とその騎士の話を恋物語のように手紙に綴って来ました。身分違いの恋だとか、うらやましいと手紙を寄こすのです。
私は、2人目の男の子を出産した後で、少し情緒が不安定になりました。
母はいつも私が自慢だと、言ってくれていて妹には姉を見習いなさいと言っていた人でした。数年前には妹の嫁ぎ先がない。妹はわがままばかりと愚痴ばかり寄こしていたのに、身分違いの騎士と結婚をした妹をなんだか英雄のように祭り上げて、私には普通の子だったとつまらない子と、おまえも大恋愛をするべきだったと、自分の意見はないのかと、そんなことを手紙で言われるようになったのです。
私だって背の高いハンサムな人と心奪われるような恋がしたかった。でも一国の王女だからとあきらめていたのに、でもそれが幸せなのだといい聞かせていたのに。
妹があるとき、遊びに来た。だんな様を連れて。
「ああ、来ていたな…」
トールは苦虫を噛み潰したような顔をする。
ひさしぶりに妹に会えてうれしかった。でもだんな様を紹介されたとき母の気持ちがわかった。国一番の騎士ではなく、国一番顔がいい騎士だった。
腕も大したことない騎士ではあったが、とにかく素敵だった。うらやましいと思ってしまった。
そんな気持ちは子供といることで、薄れていくものだと思っていた。
ある時、城のガーデンで花の展覧会が行われた。
独自で育て上げた、自慢の花たち。品評会が行われて私は花が好きだということもあり、審査員をしていました。
技術者たちは大体、土や緑の精霊と契約している者がほとんどだった。その中で一人だけ、精霊なしがいた。緑の髪に緑の瞳、背が高くたくましく素敵に見えた。
彼はにっこり笑ってわたくしに言いました。
「自分は精霊なしだから普通の花しか育てられない。それでも手に取っていただきありがとうございます」
と、普通の花というのが心に残った。
彼にもう一度会いたいと思うようになった。母から普通の女と言われ自分は普通の女なのだ。公爵を継ぐだんな様には私は合わないと勝手な解釈をしてしまいました。
でも家出をするつもりではなく、彼にもう一度会って話がしたかった。
品評会の時の彼の資料をこっそり探り、平民の服を買い、抜け出してユロランまで冒険をした。すぐ帰るつもりだった。
転移して彼の花屋に行ったとき、彼も「あなたのことが忘れられなかった」と言った。私はその日に彼の妻になった。
トールが目を閉じる。妻の不倫話など何年前のものでも聞きたくなかった。
私は恋をしたと思った。もう城でのだんな様と子供たちのことなど頭になかった。
彼は当時30歳くらいだったが、精霊なしであることから結婚出来ずにいた。彼との生活は楽しかった。体験したことのないことが毎日あり、刺激的だった。
そして妊娠した。女の子が生まれ、ミルと名づけた。
ミルが生まれてからも幸せだった。
しかし、ミルが生まれて1年ほどたったとき異変が起きた。ジョセフが仕事をしなくなった。体調が悪いといってベッドに入る。店番くらいはと昼間の仕事は私が働いた。でも買い付けなどはやっぱり素人には無理で、失敗続きだった。ジョセフは私に暴力を振るうようになった。限界だった。ミルが3歳になるころ、私はジョセフから逃げた。
当然許されるとは思っていなかった。離縁されるものとして城に帰ってきた。
でもだんな様は忘れようと言って下さった。
城を出てから5年もの月日がたっていた。
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