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風の防壁

 風の精霊たちは集まって会議中だ。指揮をとっているのは一番光の強い精霊。

顔係・胴体係・下半身右係・下半身左係。飛んだ先係。


 第5部隊で形成され1部隊に大中小の3体の精霊が付く。

ジョセフの姿が見えた瞬間に風部隊がミルの周りを囲みに入る。風の精鋭達はどこから調達したのか知らないがいつのまにか武装している。


 ミルはその姿を見るたびに、吹き出しそうになるのを堪えている。

その姿がまた、ジョセフの癇にさわるようでなんかにつけては殴ってくる。

風たちはミルがジョセフの手や足が当たる瞬間に前に回り込みミルに当たらないようにする。そして、身体を浮かせ吹っ飛んだように見せかけた。これは何度も練習した。あまり、派手に吹っ飛ぶと怪しまれる。

 吹っ飛ばされた先にも風たちが待機している為、よいクッションになってくれて痛くもないし、なんなら飛んでいるみたいで楽しかったりする。


 もちろん、しばらく動けないフリして痛がることも忘れない。

そこは必須である。しかし、痛くないから平気というわけでもない。殴られる瞬間はやはり恐ろしい。一応殴られないように発言は気を付けているし、あまりジョセフの範囲内には近づかないようにしているが、またそれがジョセフの癇に障るらしい。


 殴られた後は、いつも以上に大人しくしている。そうでないと痛くないのがバレてしまう。顔自体はあまり殴られないので傷跡など偽造する必要はないが顔を狙わないのが逆に狡猾である。


 ミルは風たちに助けてもらってからというもの、他の属性の精霊たちにも色々お願いをしてみようと考えた。しかも、お願いをする方が喜ばれるのだ。


 竈の火は火の精霊にお願いしている。

あと、大変なのは洗濯。

 2人分しかないが寒い冬のときなんて手が赤切れを起こすし、時間がかかる。

水の精霊と契約している主婦などは近くにあるドラム缶に水を張って水を左右回転させ汚れを落としている。まさに、洗濯機だろう。

 それを小遣い稼ぎにしている主婦もいる。あまりやり過ぎると魔力がなくなり倒れるのであくまで自分のところとついでだ。

 そのドラム缶は常備している。そのために置かれているのだろう。

ミルもそのドラム缶を使えばいいのだが、主婦たちに見つかりジョセフに精霊付とバレたら困る。主婦たちのネットワークを甘く見てはいけない。



 ミルは、すべての仕事を終え、ベッド上に横たわる。

電気などないこの世界は夜になればロウソクに火を灯す。しかし、ロウソク代もかかるのでミルには渡されない。火の精霊にもロウソクは出せない。真っ暗な部屋の中、しかしミルの周りには色々な色彩のたくさんの精霊がいるためロウソクよりも明るかった。


 ミルはベッドの上で寝ころびながら紫の色をした時空の精霊に聞いてみた。

「時ちゃんは私を運んで瞬間移動とかできる?」

 ミルは、時空の精霊のことを時ちゃんと呼ぶ。

「もちろんできるよ。普通の人だと魔力が少ないからムリだけどミルは無限だから」


 え?私の魔力って無限なの?

 ちょっと色々確認したいことは多いがまずは洗濯のことを考えよう。

「そ、そうなんだ。じゃあ森の奥とか人が来ないような所に連れて行ってくれない?」

「もちろんいいよ。」

「あっその前に黒ちゃんにお願い。私を他の人に認識出来ないための隠ぺい魔法とか使える?」

ウロウロしているのを誰かに見つかったらやっかいだ。

闇の精霊は黒ちゃんだ。


黒ちゃんはちょっと考えて、小さく頷いた。人型ではないが言葉は理解できているようだ。そして、ミルはベッドから起き上がり黒ちゃんに隠ぺいをしてもらう。

 ミルの周りが少し黒くなるだけで自分からは分からない。

試しにと、ジョセフがいる部屋まで行ってみる。見つかればトイレだと言えばいいのだ。

 ジョセフはちょうど花屋の店から住居内に移動しているところだった。目の前にいたが認識されず、通り過ぎた。どうやら成功のようだ。ミルは静かに部屋に戻った。



 その足で川が近くにある森の中に移転してもらった。夜の森は真っ暗で静かだ。川のせせらぎだけが聞こえる。今いる森はミルが住む町の西の門からそう遠くない。

 西門はユロランに入るための門だ。反対側には東門もある。門から馬車や人が通る道には魔獣避けのための結界が張っているが、少しでも外れると結界が効かなくなるため、とても危険だ。


 ミルは結界魔法がなんの属性なのか分からなかったため、精霊みんなに聞いてみた。

『知らない』

精霊たちの小さな光が同時にかたむく。わかいい。

精霊もすべて知っているわけではなさそうだ。


「知らないか…。じゃあ魔獣が出たらひのちゃんが追い払ってくれる?」

 火の精霊はひのちゃんだ。

「私の出番ね!わかったわ!まかせて!!」

やっとね!とばかりに、火の玉のようになり真っ赤に燃え上がる。


「あっその火の玉素敵!そのまま、そのまま。そのままでいられる?」

手に松明を持たなくて便利だと思って火の玉の姿に固定してもらった。

他の数体のひのちゃんも同じように小さな火の玉になって行く。

「ありがとう。みんな」


これからも火の玉になってくれたら夜の部屋も暗くない。


ミルが笑顔でお礼をいうと、火の精霊は火の玉のまま嬉しそうに飛び回った。

ちょっとシュールだ。



 翌日、洗濯に向かう途中、道の死角になっている所で黒ちゃんに隠ぺいをしてもらい森に移転。昨日の夜に準備した場所に訪れた。

人影はなく、土で出来た弥生土器のような大きな器が3つある。

洗濯物を入れて水のさんにグルグルしてもらう。


昨日の夜、ドラム缶がないことに気が付いた。ないなら作ってしまえと今度は土の精霊の出番。

「つっちー、トラム缶のような入れ物って作れる?」

土の精霊はつっちーだ。

「やっと、おいらの出番だね!まかせて」

つっちーは張り切って3つも作った。そんなにいらないけどまっいいか。私とおやじの分を分けよう。


弥生土器のような器が完成。水のさんに土から水分を向いてもらい明日まで乾かす。

これで、準備万端。


水のさんは水の精霊のこと。前世に水野さんという友達がいた。



洗濯の間、ミルの休憩時間だ。緑の精霊、緑子ちゃんたちに葉っぱのベッドを作ってもらい、横になる。


最高。ちょっと昼寝。いつも朝が早いので助かる。ミルはキラキラと飛び交う精霊たちを見ながら眠りに落ちた。


目が覚めると青い空が見えた。眠っていた時間はそんなに経っていないようだった。

『ちょっと時間を止めといた』

時ちゃんがちょっとすごいことをサラッと言う。


よかったと思っていただけたら評価☆を頂けると励みになります(^_-)-☆

よろしくお願いします(^◇^)

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