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いやな予感

 首まで浸かると、じわじわと身体が暖かくなる。今までの疲れが吹っ飛ぶほど気持ちがいい。日本の温泉ではタブーだが、異世界でならいいかと頭まで潜る。その中で頭をごしごしと洗う。今までの疲れと汚れを温泉が消してくれているようで湯から出たくなくなる。

 気持ち良すぎて、鼻と口のみ湯から出してロゼは湯に溶け込んだ。


『ロゼ、お行儀が悪いよ』

 精霊から注意をされ、湯から頭のみを出す。


「はあ、こんなに気持ちいい温泉入ったことないよ。この湯、本当に身体にいいの?麻薬とかじゃない?」


 湯から頭だけ出したロゼの顔はキレイに汚れが落ちて素顔があらわになっていた。

普段のロゼの顔は、土と煤を混ぜて腕と顔に塗っている。髪も同様にすり込んで油でギトギトにしていた。それがすべて取れ、キレイな青みがかった銀髪に白くなめらかな肌の少女の顔があった。


「煤も全部取れちゃったね。すごい。キレイに取るのに魔法を使わないと取れないのに」


『そうなんだけど、人間は忘れちゃったの』

『もう来ない』

 精霊たちはなんだか悲しそうにしている。


「ここに人間が来てほしいの?なんで?来なくてもよくない?」


『レイジュ様は人間が好きなの、お祭り騒ぎが好きなの!』

『人が持ってくる、食べ物も好きだよ。もう2000年くらい食べてないって』


「レイジュ様って誰…?」


 ロゼはいやな予感がした。このものすごく大きな木、神々しくって神木しんぼくって感じ、それに周りもシンと静まり返っているこの感じ…。いやな予感しかしない。か、帰ろう。転移しようと思った矢先。


『もうちょっとゆっくりしていけ』


 ぎゃああああああ 


と心の中で叫ぶ。

 後ろの神木から聞いたことない声がする。ゆっくりと振り向くと、神木の大きな根っこに誰かが座っている。先ほどまでいなかったはずだ。


 長い白髪に長い白い髭のおじいちゃんだ。瞳は、はちみつ色だ。金色コールドと言うのかな?杖は持っていない。優しそうなまなざしでロゼを見ている。


『口が聞けんのか?』


ロゼははっとする。


「こんにちは、お、お邪魔しています」


『ああ、人は久しぶりじゃの~ゆっくりしていけ』

長い髭を撫でる。

「あ、ありがとうございます、レイジュ様ですか?」


『まぁそうかの。精霊たちがそう呼んどるな。わしは世界樹の精霊だからレイジュなのではないか?』


 ロゼはびっくりして精霊たちを見る。精霊たちはウンウンと頷いている。


「世界樹って聞いたことあります」

前世で…


『ほう、そうか!今の人間たちはもうわしのことなど、忘れていると思っていたが、伝説として名が残っていたかぁ。うれしいのぉ』

ふぉふぉふぉと、レイジュ様はご機嫌に笑っている。


 伝説ではなく、前世の物語として知っているだけでこの国の人たちが知っているかどうかは知らん。名も精霊から今聞いたのだ。


「いえ、今この国の住民がレイジュ様をご存じなのかは把握していません。私が知っていただけです。精霊たちから今聞いたばかりのことです」

ロゼは嘘も方便と言う言葉を無視する。


『ん?やはりそうか…もう何百年も人間を見ていない。覚えている者はいないか…』

寂しそうにうつ向くおじいちゃん。


 いや、だから覚えているかいないか知らんと言っている。


「以前はここに大勢の人が?」

こんな魔素が濃い森の奥に人が来られるものだろうかと思うが。


『昔は人が遊びに来ていたな。わしも若かった。魔素もこんなに濃くなかったからな』

おじいちゃんは昔を懐かしむ。


「若かったら、どうなんでしょう?」

若いとなんの関係あるがあるのか。


『わしが若いとこんなに魔素は濃くならない。魔素は土から吸収され植物から放出されておる。その為、古くなった木などは切って処分せねばならん。

 わしは今5000年ほど生きておる。3000年あたりから魔素が急激に濃くなり、わしを切ってもらわなければならなかったのだが、人間が嫌がった。

 わしと仲良くなった人間たちはわしを精霊王なんて呼んで尊敬していたが、ますます魔素が濃くなり魔獣が狂暴化した。人間はここまで来られなくなった』


 精霊王様でしたか、いやびっくりである。

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