温泉
ロゼはたまに女の子になりたいと思う。というか女の子なんだけど。
かわいいワンピースを着たり、オシャレを楽しみたいのだ。
以前、パン屋のおばさんからもらったモスグリーンのワンピースはもう着られなくなっていた。身長が伸びたロゼにはツンツルテンなのだ。
ロゼはけっこうな腕力がある。とくに筋トレしなくても力持ちだ。力仕事でも剣や弓の模擬戦でも男たちに混ざって戦っても疑われることはなかった。
男に寄せる為にはもう少し腕や腰周りを太くしたい。でも乙女心としては太くしたくない。腕はともかく腰回りは古くなった服を腰に巻いて太く見せている。それを風たちに固定してもらっている。
歳は信用できる何人かには打ち明けたが、女であることは誰にも言うつもりはない。成人して王都で会ったときにでも打ち明ければいいと思っている。でも、後2年ある。これはきつい。胸も大きくなりつつある、父であるジョセフの服をさらし替わりにしていたがもうボロボロだ。
これからもっと女性らしい身体になるだろう。女性の首などはとくに男性と比べると細い。今は髪でなんとか隠しているが長くは持たないと思われる。
この初秋、初潮も向かえた。この世界の女性も当然訪れる。
しかし、生理用品はないようだ。他の女性はどうしているのだろう。だが、男のロゼが聞くわけにもいかない。
時ちゃんの記憶ではちょっと大きめのペチコートの下に布を巻いているだけのようだ。
この国の下着は男女とも薄いペチコートのような物を履いている。特に生理用ペチコートなどはない。ふんどしみたいにしてみようか?いつかそれ用の下着を作ろう。しかし、森で取り換えるわけにはいかない。トイレに行くたびにアパートに戻る。
汚れた布はまとめて、桶に入れた。布の汚れを落とす方法を頭で念じる、いつもの洗濯以上に強化しないと落ちない。汚れと布の分解を念じる。
当初は、時間が掛ったが今では慣れて10秒ほどで出来るようになった。
しかし、生理痛はやって来る。そのたびに白の精霊が身体を軽くしてくれた。
あまり活躍する場がなかった白ちゃんは喜んだ。
あ~これから毎月これが続くのか…
しんどい…久しぶりにお風呂に入りたい。森の拠点に風呂を作ろっかな。
身体が重い時はお風呂に限る。
『今度はなにを作るの?』
土の精霊が聞いてくる。
「お風呂。湯に浸かりたいの。生理で身体が重い時に入りたいんだ」
ロゼは森の拠点に来ていた。
間引きは終わっているため、こんな森の奥まで誰も来ない。
たまに、野菜や果物の収穫や自分用の薬草などを採取には来ていたが最近は長居しない。
森はすでに雪が積もっている。まだ11月だと言うのにすごく寒い。一応自分の周りには寒くないように結界を張っているが少しは感じるようにしている。
じゃないと季節感がないからね。
『お湯に浸かりたいの?』
なにやら精霊たちが顔を見合わせている。
なんか変なこと言ったかな?お風呂はこの世界だってあったはず、家にはないが大衆大浴場のようなものはあったはずだ。もちろん私は行かないけど。
「どうかした?」
『近くに暖かい水があるよ』
『大きな池、昔から暖かい水が出ているの』
「え?それ温泉じゃない?行きたい!時ちゃん連れって!」
なんと温泉!火山とかこの世界にもあるのかね。
ちがう理由もあるのかな?まあいい、温泉、温泉
転移した先は、真っ白な白銀の世界。すでに雪が積もっている。誰もまだ踏み入れたことがないような世界。シンと静まり返っている。目の前には精霊たちが言っていたような池がある。湖と言えるほど大きくない。泉というのかな?
泉の周りには木々があり、森の奥深い場所だと予測できる。泉の中には大きな木がある。古木のようで真っ白な幹が泉から生えているかのようだ。
その泉からは湯気が出ている。
静か過ぎてゾクリとする。神様でも出てきそうだ。
「ちょっとみんな、ここヤバイ所じゃないの?私みたいな一般人が来ていい場所じゃないんじゃない?まずいよ。帰ろう…」
『なんで?なにかヤバイ?』
緑の精霊が笑っている。
『そうだよ。ここは昔から病気の人とか来て身体を休めていた場所だよ。』
『そうそう、今は魔素が大きくなっちゃって人間が入って来れなくなっちゃっただけ』
『そうだよ。みんな喜ぶ!』
それぞれの精霊がなにやら、大丈夫だと言っている。
近づいて泉に手を入れて見る。暖かい。40度くらいかもう少し熱いかな?ちょうどいい湯加減だ。
ロゼは服のまま入る。ここで裸になる勇気はなかった。
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