少年たちの親たち
毎週3はザリの工房、他3日は薬草の引継ぎ、護衛の訓練で時間は過ぎて行った。
集中できたのがよかったのか、ロゼはようやく低級ポーションを作れるようになった。
エトもギルドから薬草辞典を借り、闇の日や薬草園に行かない日には写本して、種類・名前・用途など独自に勉強を始めた。もうロゼを超えたかもしれない。
ミタとウキも、魔獣を剣や弓で狩ってきては、捌いて調理まで出来るようになった。今、10㎝の属性玉の練習に入っている。
3人は薬草園に行かない日は、ギルドの依頼をこなし、生活習慣を身につけて独立出来るように頑張っていた。ミタとウキは、ロゼに貰った給金を半分家族に渡していたがそれでも探されて取られてしまう。靴の底やベルトに隠したり、色々な戦法を取って応戦していた。
ちなみにエトはギルド長のお墨付きでギルドに銀行を開設していた。ミタとウキはまだ、未成年のため親の許可が必要になる。親が許可を出すわけもなく、独自でお金を隠すしかないのだ。
同じ所に全部隠すとバレたときに全財産なくなるぞ、散らして隠せよ、と教えといた。
給金は相変わらず1銀貨2枚だ。多く渡してもミタとウキの2人は親から取られてしまうのだ。アパートに移った日にでもまとめて渡した方がいいだろう。
たまに、ミタとウキのどちらかを森の奥まで連れ出して大きな魔獣にも慣れさせた。最初は下を濡らすくらいにビビッていたが、直になれクマの魔獣にも1人で対応できるまでになった。しかし2人でも絶対に奥まで行くなよ、と注意も忘れない。
ロゼも夏の中盤には、ザリの正式な弟子に昇格することが出来た。ミタとウキもピストル弾の取得に成功した。
エトは今年の冬に、剣と弓をギルドの講習を受けるのだそうだ。
みんなが順調に進んでいた。
ある日、いつものように4人で森に入ろうとしたとき、後ろから人影があることにロゼは気が付いた。ロゼはみんなを止めて、その人影を待ったが現れない。後をつけているのだろう。
「誰だ?出て来い!いるのは分かっている」
ロゼが叫ぶと、木の影から男女3名が現れた。
一人は見覚えがあった。エトの父親だ。他、2名は誰だ。
「父ちゃん!」「母ちゃん!」「父ちゃん…」
ミタの父親に、ウキの母親らしい。
ああ、面倒なことになりそうだ。なんか最近、順調だったからあやしいと思っていたのだ。私の人生、こんな順調に進むなんてないのだ。ロゼは天を仰ぐ。
「ミタの父親のガーヤだ。後をつけてすまん。しかし、息子が何やっているかを確認せねばならんと思って…」
ウキの母親もうなずいている。
「ロゼだ。去年の冬、ピストル弾の講習をしていた者だ。ギルド長に確認してもらってもかまわない。変なことはさせてない。まだ見習い中だしな」
「ああ、ミタからあんたの話は聞いている。どういう事をしているかこの目で確認しようと思っていたんだ。森の中なんて危険じゃないかと」
ガーヤは被っていた帽子を取り両手で持って、もじもじしている。
「訓練を見たいのか?じゃあ西門前の広場でミタとウキで模擬戦でもしてみるか?」
この親たちは薬草園の場所を知りたいのだろうと分かっていたが、すっとぼけることにする。
「い、いやそういうのは…」
「今から行こうとしていた場所まで私たちも連れて行ってほしいのさ、息子が心配なんだ」
ウキの母親がじれったそうに言う。
「…それは出来ない。あそこに行くのには俺の許可がいる。あんた達には出せない」
「親だよ。まだ未成年なんだし!どんな場所で働いているか知る権利がある!」
「そんな権利なんてない。ギルド長には確認している。未成年でも本人がやりたければどんな仕事でも就くことが出来る。それには親の承諾は必要ないとされている。森の移動も安全が確保され、大人が同伴しているのであれば構わない、と言われた。
ちなみに俺の資金で森に結界魔石を埋めている。俺はまだ若いかもしれないが、ピストル弾の発案者として特別に森の出入りを許可されている。あんた達の出る幕はない。そもそも後をつけるなんてルール違反だ。子供を心配しているのであれば、まずギルド長か俺に話を通すのが筋だろう。
行動が謎だし、不愉快だ。それとエトの父親はなにをしている?ギルド長を通さねば、エトとの面会はできないはずだが」
ロゼは早口でまくし立てた。
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