エトと仲間たち
「13歳のわりに身体が小さいな…食べさせてもらってなかったのか?」
「いえ、テーブルの上には他の兄弟と同じ量のご飯を貰っていましたが他の兄弟は食べるのが早くて…半分以上取られていました」
「ああ、そういう事か…男兄弟はよくあることだが…今日からしばらくオレん家にこい。しばらくは生活環境を整えよう」
「え、え、あ、ありがとうございます」
「ギルドのアパートで暮らすにしろ、いきなりはムリだろう。俺の家からロゼのところに通え、俺の家では生活習慣を教えてやる。ロゼ、ちゃんと給金を渡せよ」
「ああ、もちろんだ」
「なにからなにまで、ありがとうございます」
エトは、笑顔でお礼を言う。先ほどの悲壮感はない。
10歳くらいだと思ってずいぶん偉そうにしてしまったな。まいっか、俺の歳のことはエトにも黙っていよう。教えにくくなっても困るからな。エトが年下から学ぶのを嫌がることはないと思うが…。やっぱり威厳は大事だからな。
エトとは明日、ギルドで待ち合わせの約束をして別れた。
朝、ギルドに行くと既にエトはギルドのフロアにいた。レオンと朝2回目の鐘の音で一緒に出てきたらしい。
この国の時間は、教会が鐘を鳴らす。時計はない。
夜明けに1回、陽が水平になる頃に2回、陽が斜めに指す頃に3回、
陽が真上にきたら1回、陽が逆斜めに指す頃に2回、陽が赤くなれば3回、
陽が落ちたら1回、鳴らすのである。
曇りや雨・雪の時など陽の感覚が分からない時は教会に砂時計のような物があり、
調整している。
約束をする際には、昼2回目の鐘の音と言うらしい。
今はもう朝2回目の鐘の音からすいぶんと時が立っている。
「すまん。随分早いな。」
「いえ、ギルド長はもう少し経ってからギルトに行けばいいと言ってくれたのですが、楽しみ過ぎて、居ても立っても居られず!」
エトは楽しみで仕方なかったようだ。
エトの横に2人の男の子がいる。13歳のわりに小柄なエトに比べ、年相応な子たちだ。エトの友達だろう。
「友達か?」
「はい、ミタとウキです」
エトが答える。
ミタは薄い青の髪と瞳をしていて、ウキは金髪でブラウンの瞳をしていた。
「はじめまして、ミタだ。水の精霊と契約をしている」
「どうも、俺はウキ。風の精霊だ」
「幼馴染で、彼らも兄弟が多く今は冒険者です。朝、フロアで待っていたら偶然会って。昨日の話を彼らにしていたところです」
エトは簡単に彼らとの関係と自分の話を簡単にしたと説明をしてくれた。
ロゼは、じっと彼らを見ていた。
「師匠…?」
「ああ、悪い。お前たちも13歳?しばらくは冒険者?」
2人は顔を見合わせ
「「そうです」」
「今日はもう依頼の予定はあるのか?」
ロゼは2人に聞く。
「いや、まだだ。未成年の仕事の依頼は、朝3の音くらいしか出ないので」
「そうか、では今日から護衛の仕事をしないか?エトの護衛だ。護衛の仕事は俺が教えるから大丈夫だ。一応見習い扱いにするから給金も少ないが払うぞ」
「「「え?」」」
「じゃあ行こう」
ロゼは3人をぐいぐい引っ張って、連れ歩いて行く。
「あの、師匠どういう…」
エトが引っ張られながら聞く。
「歩きながら話そう。2人はこれからエトが薬草を採取する仕事をすると聞いているだろう?」
2人は頷く。
「エト、錬金術師が使う薬草は魔素がない所では育たないんだ。魔素がある所は森の中。森の中は魔獣がいる。一人では危ない。俺は水の精霊がいて攻撃も出来るがエトは攻撃が出来ないだろう。そこで2人に護衛として一緒に森に向かえばこれから俺がいなくなってもいいだろう」
ロゼはいい考えだと説明する。
「エトも仲のいい友達なら安全に採取できていいだだろう?」
西門の手前で一同は止まる。
「な?」
ロゼはエトを見てにっこりと笑っている。
いいも悪いも既に西門まで来てしまっていた。2人は戸惑っているがいやではなさそうだ。
「でも、俺たち攻撃魔法はまだ出来ないよ?冬の間少し剣と弓を習ったくらいだし」
2人はギルドの講習を受けたようだ。
「攻撃魔法は俺がおしえる。後、これから行く所は秘密だ。エトが薬草を栽培しているってことも秘密。エトはまだ小さいから良からぬ奴らから狙われることもあるかもしれん」
3人はドキっとする。確かに薬草ほしさに変な大人たちが言い寄って来るかもしれない。
「約束してくれるか?」
「「わかりました」」
「では、行こう」
一同は西門を出て森に向かう。
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