解決
「ユ、ユロラン経由の1番地でイセ農場だが」
ようするにユロラン側にある西門を出て1番最初の農地というアドレスだ。イセとは農地の主人の名前である。
イージュレンから見た駅馬車の道は右側が魔素の多い森で左側には農地が広がっている。ちなみにイージュレンの農地は8番地まである。
「イセ農場ね…」
レオンはなにかの書類をペラペラと捲り、親たちをにらむ。さきほどの笑顔はない。
「おかしいですなぁ。教会に養子縁組の申し出を出されていないようですよ。勝手な養子縁組は罰金刑になりますが…」
いつの間にか教会から資料を取り寄せていたようだ。
養子縁組は教会で申し出をして領主と教会の偉い人の快諾が必要になる。申し出の際に教会から色々と調べられるのだ。
「ち、違います。今から縁組の申し出をするのです。今は息子に合うか見習いに行かせているだけです」
エトの父親は全力で否定した。
「ああ、そうでしたが、早合点でしたな」
レオンは笑顔に戻る。
あからさまに、ほっとする親たち。
「では、本人が合わないと言ったらこの話は無くなるのかな?」
にっこりと笑顔で、腕組みをしたロゼが親たちに聞いた。レオンが頭を抱えている。
「え?そ、そちらの方は…」
親たちは初めてロゼを認識した。
「エトをギルトまで連れて来てくれた人だ」
レオンが紹介をする。
「そうでしたか、この度はありがとうございました」
エトの両親は頭を下げてお礼を言う。
「で、どうなんだ?本人の主張は通るのか?」
「そ、それはもちろん、養子縁組は本人のサインも必要ですし。本人次第です」
エトの両親は笑顔で対応する。
「おお、よかったなエト。農家の縁組を考え直してくれるそうだぞ」
棒読みである。
「え、は、はい!」
エトは急に自分に振られて困惑気味だ。
「は?どういうことだ?」
里親候補のイセがアドレス以降初めて口を開いた。
「もう縁組は決まっている!本人次第とはどうなっている!」
「ん、いや、エトは森にいたんだが誰かに攫われたようだった。自力で逃げたところを俺が拾ったって訳だ。で、腹が空いている言うことで飯屋に行って飯を食わせていたら、つらいと泣き出してな、色々と話を聞いた。養子縁組先がいやだがなかなか親には言い出せないと…」
ロゼは真っすぐにイセを見る。
「な、な、なにを…」
「失礼だが…丁度いい機会なのであなたの農場でエトになにをさせてきたか今この場で照らし合わそうと思うのだが、如何か?」
レオンが仕切りをロゼから奪い戻した。
「なにをって…」
イセは汗を掻き、そわそわと落ち着きがない。
その様子を見て、レオンはため息を吐いく。
「この養子縁組を破棄にするのであれば見逃してやろう。罰金もなしだ。未遂だからな。後、エトに働いた分の給金を渡せよ。エトの両親も支度金とやらをイセに返金するのだな」
元々、正式な養子縁組に支度金などと言うものはない。
エトの両親は自分たちに矛先が来た事で慌てた。
支度金も見逃されると思ったらしい。
「な、なんのことでしょう…」
「知らん。金のことはそちらで話をするがいい。エトはしばらくギルドで預かる。エトに話があるのであれば、ギルド長であるこの俺に話を通せ。勝手に接触するようなことがあればこの件はきちんと上にあげて調査することになる。わかったな」
イセ夫婦は首をブンブンと縦に振って、慌てて帰って行った。エトの両親も頷き、そのまま一度もエトを見ずに部屋を出て行ってしまった。
部屋には、レオン、ロゼ、エトが残された。
「おお、うまくいったな。血を見ずに解決できてよかったな」
正直もう少し揉めると思っていた。レオンのイカツイ顔面もこういう時は役に立つ。
あっけらかんと言うロゼにレオンは
「おい、ちょっとはエトに気を使え!」
「あんな親捨てればいい。エトはギルドのアパートにでも移ればいいだろう」
「捨てろって、おまえ…」
「俺は親を捨てたぞ。クソ親だったからな」
ロゼは自分のことは言わない方針だったが、うつ向いたままの少年を見て気が変わった。エトは顔を上げた。少し、涙目だったがちょっと驚いている。
「…おまえの親のことなんて聞いたことなかったが」
レオンが言う、
「聞かれてないからな。エトは男だろう。いずれ1人だ。少し早まっただけだ。」
「ふう、まったく…そうだな。で、エトおまえは何歳だ?」
「13歳です」
え?年上だったのか…
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