ルキとカヤ
「ルキ、じゃあ私帰るわね。お店、飛び出して来ちゃったから」
「教えてくれてありがとう。あっロゼのこと秘密よ」
「わかってる。言わないわ」
2人は分かれた。カヤはお店に戻るとお昼の忙しいときに勝手に飛び出したことで父の料理長からすごく怒られた。カヤは毎日お昼の忙しい時のみ皿洗いの手伝いをしていた。
昼食タイムが終わりカヤは本職の仕事場に戻る。皿洗いは忙しかろうと思いカヤから言い出したことだ。給金だって貰っていない。それなのになんであんなに怒られないといけないのか、ちょっと納得がいかない。皿洗いやめようかな…と思いつつ職場に戻る。
「カヤお疲れ!怒られなかった?」
ルキが作業を止めて心配そうに言ってきた。
「怒られた…ちょっと抜け出しただけなのに納得いかない…」
カヤはムスッとして機嫌が悪い。
「あ~まぁ勝手に抜け出しちゃったらお店が回らなくなるから…。機嫌直しなって。
アイス食べに行こう。奢るから。私も休憩したかったし、ね!」
ルキはカヤを連れ出し、近所で評判のカフェに連れて行った。
ルキは、赤い髪にブラウンの瞳をした長身のキレイな子だ。カヤは小柄でオレンジ系の髪にブラウンの瞳、目は大きくたれ目で可愛らしい顔つきをしている。
「ありがとう、ルキ。でもルキのせいじゃないからおごってもらわなくてもいいわ」
「いいのよ!情報料よ!情報料!」
「そう?ありがとう、では遠慮なく。フフ」
この世界にもアイスはある。最近、南の方で甘味が取れる研究が進んでいるため甘いお菓子が庶民にも広まっている。アイスもその1つだ。
「カヤはもういいのよね。大丈夫なのよね?」
アイスを食べながらカヤに聞く。
「な、なにが…」
「ロゼのこと、好きだったでしょ?」
「そうね…。ピストル弾の講習のときはちょっといいなって思ったかな」
「今は婚約者様がいるもんね」
ルキはからかうように言う。
「う、うん。」
顔を赤らめるカヤ。
「その割に急いで私に知らせに来たわね。昼食タイムが終わってからでもよかったのに」
カヤは顔を真っ赤にした。
「ほんとね。なんでお店飛び出しちゃったんだろう?」
「まだ…気になっているの?結婚して王都に行くでしょ?」
「うん。それは決めてる。」
カヤはロゼに告白して振られている。
それを知った冒険者がカヤに告白したのだ。そして今や婚約者だ。
「ニールは素敵な人よ。冒険者を辞めて料理人になるって言ってくれたし」
「そう思うよ。今はカヤの店で修行してるんでしょ?」
「うん、でもまだ下働きね。皮むきとか野菜を切ったりとか」
「それにしても、ご両親も思い切ったわね。王都に行くなんて」
「ずっと出店したかったけど場所代が高いって諦めていたみたい。去年姉が店の料理人と結婚して、安心したのか2人に店を譲るって言いだして。聞いたときはびっくりした。私も結婚が決まって親としての務めを果たしたから夢だった王都で勝負したいのかもしれない」
「なんでそれでカヤ夫妻まで王都に行くのよ?」
ルキはカヤが結婚して王都で暮らすとしか聞いていなかった。というか聞けなかった。カヤの結婚がショックだったからだ。
「王都で成功してももう年だしね。その後は私たちにその店も譲るって。その後両親は自分の故郷に向かうって言ってる」
「ずいぶんと行動的ね」
「ほんと」
「結婚はともかく行先まで勝手に決めないでほしいわ。私とカヤは協同経営者なんだから」
「それは私がごめん。私も初めて告白されて浮かれていたから…」
「もういいけど」
「ロゼも成人したら王都に行くつもりだよね?」
カヤは小声で話す。
「そうだと思うよ。錬金のアカデミーに入るだろうね」
「それでロゼにまかせてって言っていたけど、なにをどうするつもりなの?」
「ああ、ほら間引き不参加者は苦労するって話よ。あんなのうそだけど。あれは間引きに参加しない冒険者が増えるから適当にギルトがでっち上げただけ。父さんが言っていたわ。秘密だけど。
でも感謝はするけど、不参加の冒険者に嫌がらせとかしないわよ。まあでも冒険者なのに間引きに参加しないとは何たることかって言っている人は何人かいる。ギルドがそう仕向けただけだけど。」
「そうなんだ。でもルキもロゼに言っていたよね」
「言った。実際にロゼが参加していれば間引きはいつもより早く終わるだろうって父さん言っていたし」
「ルキのお父さん、ギルド長だもんね」
「そう」
「それで、どうするの?ほっといても大丈夫ってこと?」
「ほっといても大丈夫だと思う。それでも噂する人もいるからなんとなく違う噂を流そうと思っている」
「どんな噂?」
カヤは前のめりになる。
「噂好きのおばさんがいるのよね。明日、品物を受け取りに来るの。だからその時に…」
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