障子に目あり
「俺です」
「いや、うそだろう。どう見ても16.7歳だろう!」
「そう見えるらしいな、でも12歳だ。だから間引きも断った。どうせ弾かれるのは分かっていたし」
「な、なんで黙っていたんだよ!」
「聞かれなかったから。それに未成年でギルドをウロチョロしていては身元とか調べられたりとか、厄介そうだったんで」
ロゼはさらりと打ち明ける。
「ザリを信用している。だから打ち明けた。黙っている必要はないが敢えて言わないでもらえると助かる」
「身元を調べられると困るのか?」
「すごく困る」
「…わかった。敢えては言わない。聞かれたら言うけどな。それでいいな?」
「ありがとう、それでいい」
店を出てザリと別れた。
すると、先ほどギルドにいた女性がいた。ルキとカヤとか言ったか。まだ、文句が言い足りないのか、腕組みをしてロゼに向かって歩きだした。
「本当に12歳なの?」
ザリとの話を聞かれていたようだ。ロゼが驚いていると
「あの店、カヤの実家なの。普通に話していれば聞こえてしまうわよ?」
「そ、そう…」
ガヤガヤしていたしそんなに大きな声も出してはいなかったが、聞き耳をされていたのだろう。そういえば、厨房にそのような女の子がいたような気がする。
「年齢のことは言わないでくれると助かる」
「へぇ…あんなに強気でいろんな女の子の告白も退けたのに弱みを握っちゃたかしら」
クスクスと笑っている。カヤが心配そうな顔をしている子だとすると、クスクス笑っている子はルキだろう。
面倒くさい。もう帰っていいだろうか。
「で、帰りたいのだが、帰っていいか?」
ロゼは正直に言ってみた。
「え?な、なによ。年齢のことはどうするのよ!言うかもしれないわよ!」
「言いたければ言えばいい。なにもルール違反はしていない。偽ってもいない。勝手に成人していると大人が勘違いしているだけだ。なんの責任もない」
「む、かわいくないわね!!そこは甘えて秘密にしてと、お願いするところでしょ!」
「何を言っているのか、わからない」
「くっ…ふぅもういいわ。別に言ったりしないわよ。私たちも悪かったし、まぁまかせてよ」
「なんのことだ?」
「冬のことよ。だからまかせて」
「だから、なにをまかせる?」
「いいから!まかせて。恩を着せて嫁に貰ってもらおうとも思ってないわ。年下なんていやだし!」
なにをまかせるのかわからなかったが冬のこととは、なぜ彼女・婚約者をつくらないか問題だろう。拉致問題にはルキやカヤは関わっていなかった。
とにかくまかせてと、言ってルキたちはさっていった。
なにも任せたくない。ほっといてくれたらいいのにと思う反面ちょっと楽しかった。女の子と普通に話をするのは前世以来だ。ユロランに居た時も近くには女の子が住んでいなかったし、学校も行ってないので女友達は出来なかった。それも成人してからだと思っていた。さっきの話し方だと、ルキとはいい友達になれそうな気がする。
2年後王都に行かないかな…いや適齢期のお嬢さんだ。行くわけないか…。ん?女でも錬金術師ってなれるのだろうか?前の世界ではあたりまえに職業選択の自由があったが、この世界は女性に対して働く自由とかあるんだろうか?アカデミーも男で行くしかないのか?いや男でいるのは15歳以降ムリだと結論を出している。んーー。なんか詰んだ?
錬金の講習でも女性の姿を見た覚えがない。
あれこれと考えながら歩いていると、
「し、師匠――!」
と声がする。なにげなく振り向くが、誰もいなかった。誰が師匠といったのかわからなかったが、気にせず歩き出した。
そうするとまた
「師匠、待ってください。師匠――!」
と声がする。振り向いても誰もいない。
「下です。師匠、下です」
下…?そのまま下に目をやるとブラウンの髪に緑の瞳をした小柄な男の子がロゼを見上げている。いや、誰だ。子供の知り合いはいない。
「あ、あの、ぼ、僕を弟子にしてください!」
俺は今日、ザリの弟子になったばかりだ。なのに、弟子も出来てしまうのか…
いや、なんの弟子かわからない。話を聞かないと…。
「ちょっと待て、お前は誰だ?なんの弟子志願だ?」
ロゼはザリと入った店ではない飯屋に入る。腹は減っていないのだが…。
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