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ロゼの講習

ロゼは秋に12歳になった。


11月上旬雪が降り始め、魔獣狩りは春までお休みだ。今年の冬は講習で忙しくなりそうだ。


時・緑・土・火・水・風・闇の日があるがギルドで時間割を調整してくれた。

時・土・水の日、午前・午後にロゼが教える講習日

緑・火・の日、午前が乗馬の講習日

緑・火・風の日、午後から錬金術の講習日、風の日の午前はフリーだ。


 キツキツに詰め込んできたな。しかも私が教える講習が多い。週に3日もあるのか。


 募集をかけたら258人の応募があったそうだ。予約制ではない。来たいときに来られる日に来るので、多めに日にちを取ったのだそうだ。講習を1回受ければ取得できるというタレコミもあるようだ。それは本人次第だとなと思うが。

 水・火・風・土の属性なら誰でも講習は受けられることで冒険者ではない人たちや女性も多くいたらしい。


258名×300ベニー=77400ベニー

774万円だ。金貨77枚に10銀貨4枚だ。4回の分割で支払われるとのこと。毎月1日に17,500デニーがギルド銀行に入金されるとのことになった。金貨7枚に10銀貨4枚はその場で支払ってもらった。



 ギルドの練習場はそんなに広くはないので、1回の講習で10名までとすることにした。早い者順だ。1・2回講習を受ければ取得できそうだということもあり、初日は7名ほどしかいなかった。その中にセド・キシ・ニール、ご陽気3人組もいた。


「なんだ“クマを一撃で倒せる技が身に付く”の講習の先生はロゼだったのか!」


なんだそのネーミングは


「なんだーそれなら100ベニーも払わないくてもよかったよな。友人枠で無料だ」

カカカっと笑うセド。


 ギルドは個人に100ベニー徴収して3分の2はギルド持ちになのか。そんなんでやっていけるのだろうか?


「なんで無料なんだ。そんな訳ないだろう。ギルド通してないなら割高だ」

冷たく言い渡すロゼ。


「あのガキが講習の先生なのかよ」

と講習に来た生徒たちがピリつき出した。

「おい、おまえ!本当にクマを一撃で倒したのかよ!」

「こっちは100ベニー払っているんだぞ。元取れるのか!」

と、知らない連中が吠え出した。


ロゼはその連中を睨み付け

「うるさい!まずは見せるからガタガタ吠えるな!!」

その一言で練習場は静まり返った。珍しく怒鳴ったことで、セドたちもビビっている。


フン、50のおばさんは吠える若造なんぞ屁でもないのだよ。


 ロゼはまとに向かって指をピストル型にして構える。最初の頃より魔力を使わないで扱えるようになっていた。指の先にクルクルと回転するビー玉サイズの水の塊が見える。その塊を一気に放出する。


パシュン


まとの真ん中には1㎝ほどのキレイな穴が開いていた。



「なんだ、あれくらいなら既に出来るぞ!」

セドは、大きな炎を出現させ、並んでいる的に向かって発射した。的は燃えて灰になった。

「俺もだ!」

キシが、風を起こし、的を真っ二つにした。

「俺も!」

ニールがウォーターボールを放出し、的は吹き飛んだ。

三人ともドヤ顔だ。


ロゼはまた他になにか言いそうな奴らが出てくる前に

「全然違う!的をよく見て見ろ!誰が的を灰にしたり、真っ二つに割れと言った!」


意気揚々と、的を破壊した三人はドヤ顔を引っ込めた。ロゼはよく見えるように的を生徒の前まで持ってきた。


「よく見ろ。的に小さな穴が開いているだろう。これをやれと言っている。この小さい穴を作るんだ!これが出来なければ合格ではない!」


生徒たちは的に小さい穴を作るべく、自身の自慢の魔法を放つが的は見事に粉々になったり、吹き飛んだりしていた。思っていたより難しいのだと分かってきた。


「おい、どうすればいい」

最初に悪態を付いてきた男がロゼに教えを乞うてきた。

「おまえ、年上の講習者にもそんな態度で教えを乞うのか?」

ロゼは腕組みをし、いつもより声のトーンを低くしながら言った。

「えっいや…すまない。どうすればいいかおしえてほしい」


「…ふん、いいだろう」


 これでやり易くなったか、こんな輩は絶対にいると思っていた。年下のひょろい奴だとバカにする態度で接するに違いなかった。そうなると教えるのが困難になる。金を貰っている以上は取得してもらわなければ困るのだ。


 バカの見本を3人衆が引き受けてくれたのはありがたかった。打合せなどはもちろんしてはいないが、素じゃないことを祈ろう。


「指の一点に集中しろ。人差し指に小さな玉を作るようイメージするんだ」

ロゼが人差し指を上に掲げ、実践する。


 人差し指にビー玉サイズの水の玉を作る。それを生徒に見せる。とりあえず、その作業が出来ないことには進まないのでその練習を一人一人見て回る。


「出来た者は60数えろ。そのままの形で」

ひーっと練習場から悲鳴がする。なかなかハードな内容のようだ。

 ロゼは特にそんな訓練をしてはいないがとりあえず難しくしていたら実践するときに楽だろうと思う。

 最初は、指の上に1㎝の玉を作るのは難しいようでとりあえず10㎝くらいの大きさから訓練している。


 1時間もすると10㎝の玉を作るのに成功している者が出てきた。キシもその一人である。後はそれをすんなり出せるかの訓練である。

 3時間みっちりと玉が出せる訓練をした。そんな訓練は今までしたことがなかったようで7名の生徒はヘトヘトである。


「今日の午前の講習はこれで終わり、お疲れ様」

 ロゼは練習場を後にする。練習場を見るとみんな魔力を使い過ぎて返事も出来ないようだった。


練習場の外に出ると、レオンとムカイがいた。

「ずいぶんと初日から、飛ばしていたようだな」

レオンがなにか複雑そうな顔をしている。

「みんな今日は足腰立たないだろう」

ムカイが気の毒そうな顔で言った。


「…そうか?でもあれ以外でどうしろと言うんだ?」


 ピストルがない世界でピストルのイメージは表現できない。ならば、魔法で作るしかない。あのやり方がいいと思うのだが。


 講習にはレオンとムカイも応募している。どこまで出来るのか楽しみである。

そう思いながら、二人ににっこりと笑い掛ける。

「悪魔め…」

レオンが引きつらせた顔でポツリと言った。


 悪魔なんてこの世界にもいるんだなぁとロゼは思うのだった。


 午後には、違う10名の参加者になった。午前中の奴らの何人かは医務室で寝ているらしい。


 おお、頑張り屋さんね。

 

ロゼは倒れるほど頑張ったのだなと思っているらしい。ロゼがやらせていたのだが…。ロゼは午後の生徒の半分も医務室送りにした。


 どうやらこの国の戦士たちは魔力コントロールなどは苦手のようだ。自身の魔力と精霊の力のみで魔法を使いるらしい。


 まっ、それでもいいと思うけど。


 ただ細かいことに秀でている者は結構簡単に取得していった。

特に女性。男性は力任せに魔法を使っていたようだが女性は家事など細かいことに多く使用していたためそんなに難しくはなかったようだ。1回目の講習で属性の玉を出現させ、2回目の講習で合格していくのだ。


 このロゼが考案した魔法の撃ち方は魔力量がそんなに必要ではないこともわかった。魔力量が少ない者でも1日数発は撃ち込むことが出来る。


 それには冒険者ギルドも想定外だったようで、ずいぶんと驚いていた。噂を聞きつけた、女性たちが自分たちも講習を受けたいと言ってきた。募集は終了していたが追加募集が行われることになった。


 最初の頃に受けた3人衆のキシは3回目で合格していた。ニールは6回目だ。ムカイは意外と2回目で合格していたが、セドはまだ合格出来ずにいた。レオンもだ。どうやら、魔力量が多く力任せだった者は、習得しづらいようだ。


講習の際には何度も人に向けて撃ってはいけないと注意ちゅうい喚起かんきも忘れない。


 最初の生徒は1回に10名だったが、最終的に1回30名に増えた。冬も中盤になり講習を何度も受ける者がいるため、まだ1度も受けていない者から講習が受けられないとクレームが入るようになったからだ。

他にも予約制にしたり、3回目以降からは玉が10㎝に安定するまで来るなと提示した。




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よろしくお願いします(^◇^)

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